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第66話 皇帝になった挨拶

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昨日も絶倫の魔神と色々あった。



 昨日の今日だから無いと思っていたらこれだもんなぁ。
 双子は興味津々に輝いた目でこっちを見ていたからさらに気不味い雰囲気だった。

セーレは全く気にしていなかったが。


そして今日、戴冠式を迎える。


 俺は第126代目のジ=ザグナス皇国皇帝となる。

 皇城の中を歩き、まずは着替えなくてはならないそうだ。


皇国伝統の衣装があるらしい。



 更衣室に案内されてメイドが着替えを手伝ってくれる。

 伝統衣装ってどんなものかと思ったら
普通に貴族が着ていそうなものだった。



黒色の紳士服っていうのか?
よく分からんが今まで着てたのに色々飾りが付いただけだ。
ジャラジャラしてうるさいけど。



着替えが終わり部屋を出る。
そのままメイドに連れられて廊下を歩く。


 そして途中にレオノーラとデュランに合流した。
 相変わらずデュランは従者という扱いなので少し離れた距離を歩いている。
俺は気にしないがそういうものらしい。



俺はレオノーラと横並びで歩く。
レオノーラは緊張しているようだ。
俺はそうでもない。


すると見たことのある大きな扉の前に着いた。


 以前、ここから中に入りカリグラやラシードと一悶着あったんだよなぁ。
 その2人は何処にいるのだろう。姿が見えないというのが気掛かりだ。


 他の皇族の兄弟、姉妹も会った事がない。


そして扉が開いた。


「「「わあああああ!!!!」」」



そんな歓声と拍手に迎えられた。
俺の入場と同時に楽器隊による演奏も始まる。


正直驚いた。

 俺やレオノーラが目指す国は一般的には受け入れられないと思っていた。
 まあ反対する奴は全員、服従させるつもりではいたけどね。


「「皇帝カイアス様!万歳!万歳!」」


そんな歓声がむず痒い。
やはり経験がないからか、妙にソワソワしてしまう。

そして俺の前には玉座がある。
しかし先代の皇帝がいない。
どうしたんだ?



すると玉座の横に執事がいた。
選定戦の時に案内してくれた執事だ。



「カイアス様。この度はおめでとうございます。私は代々ザグナス家に仕えております。セバスチャンと申します。以後何なりもお申し付け下さい」


お、おお………。
セバスチャン…………。
本当に実在したのか。



「ありがとう。よろしく頼む。で、先代の皇帝がいないようだが?」



「先王様は体調が優れずこちらに来られない状況です。そしてこれよりカイアス様が皇帝となり戴冠は皇女レオノーラ様からしていただきます」


「分かった。一度くらいは会っておきたいと思っていたが仕方ないか。ではこのまま戴冠式に移ろう。長い話は嫌いだ。手短に行こう」


「かしこまりました。ではレオノーラ様、皇帝の証である王冠と剣をこちらへ」


 そこには綺麗なドレスを着たレオノーラが王冠を持って立っていた。
 そしてその横には宝石で彩られた宝剣を持ったデュランがいた。


 本来はデュランはここまで来てたいけないそうだが、俺の希望とレオノーラが気を利かせてくれて実現できた。

 
 そして俺はレオノーラの前に跪き、頭を下げる。



レオノーラは俺の頭に王冠を被せる。


 そして立ち上がると同時に今度はデュランが跪き俺に宝剣を差し出した。



それを受け取る。
これで名実ともに俺が皇帝となった……らしい。


こうした伝統とかいうのもよく分からない。これで良いならそれで良いんだ。


 そして観衆を前にスピーチをして欲しいとの事だ。
 言葉なんて何も考えていなかったが、
まあいいだろう。


俺は玉座の前に立ち、観衆の前で口を開く。


デュランとレオノーラは側に控えている。


俺はデュランに一つ耳打ちをする。
デュランはすぐに応じてくれた。


うーん。始まりの挨拶とかご機嫌取りとかそんな物は必要ないだろう。
今、俺が何をしたいのか。
これからどうするのか。
それを端的に分かりやすく伝えるとしよう。
さて………と。どうなるかな。


「えーこの度、ジ=ザグナス皇国こうていとなったカイアスです。よろしく。レオノーラに選ばれたという時点で今後の方針など既に察している人もいるだろう。
 俺はスキルによって人生の全てが決まってしまうこの世界の考えには絶対に反対だ。まず手始めとしてその考えが根強い隣国、ゴールドーラ帝国に宣戦布告する!!」

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