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第65話 束の間の休息

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とりあえず起きないと。


身体は痛くないし、どこか不調というわけでもない。


「腹減ったなぁ。何か食べる物ある?」


「かしこまりましたわ。すぐに何か用意致します!」


「あーあとデュランも呼んでくれ」


「かしこまりました。部屋の外にいるはずなので呼んできますね。食事も運んできますのでお待ち下さいませ」


そう言ってレオノーラは出て行った。


そして部屋がノックされデュランが入ってきた。


凄い久しぶりに感じるなぁ。



「カイアス様。身体はもう大丈夫ですか?」



「ああ。大丈夫だよ。なんとかカリグラにも勝てたし、100%の出力を数秒だけなら使えるようになった。順調に強くなってるよ」



「それは良かったです。いつか私もそのカリグラという者も手合わせしたいものです。選定戦の後から姿が見えないそうです。何か引っかかるものがありますね」



居なくなったのか……。



それは確かに気になる。
 
 どこかで復讐でも考えられていたら皇帝になる為の戴冠式に大きな障害となるだろう。


 それなったらまた100%を使い、鎮圧すればいいんだろうがまた意識を失ってしまうだろう。


 そんな何回も意識を失う事は避けたい。
敵1人を倒して自分も行動不能になっていたら何の意味もないからな。


 今はデュランがいるが、1人で行動する時もあるだろう。


そうなったら気絶した時点で俺の負けだ。


その辺もなんとかしないといけないだろう。


まあ。とりあえずは戴冠式までゆっくり休みたいなぁ。
皇帝になったら何したらいいんだろう。


その辺も後で考えよう。



「そう言えばデュラン。俺が寝ている間に何か変化はあったか?」


「そうですね。強いて言うのであればヴィクトリア様が来ましたね」



「そうなの?なんで分かったんだろう」


「ヴィクトリア様は皇族ですからね。敵対している隣国であったとしてもそうした時には呼ばれるものと思います。私たちが捕虜にされたと思ったようで捜索の為に、その周辺の皇国の陣地をほぼ壊滅させたそうです。
 途中であの地下通路から脱出したアイリーンとも再開して2人で壊滅させたらしいです。」



マジか。それは申し訳ないことをしたかな。


流石にそう思った。



「成り行きでこうなったとはいえ何とか連絡すべきだったな。3ヶ月近く放置してたし。また謝らないといけないだろうなぁ」



「いえ。ヴィクトリア様は安心した様子でしたよ。また戴冠式の時にアイリーンを連れて一緒に来るとも言っていたのですぐに会えると思います」


「そうか」




コンコン



また部屋がノックされる。
扉が開く。


そこには食事を持っていたレオノーラがいた。



食事をしながらレオノーラと今後の話をする。


「これから俺はどうしたらいいんだ?皇帝になるっていっても何したらいいのか全く分からないぞ?」



「しばらくは私にお任せ下さい。国内の安定や他国との調整などを行います。カイアス様の要望であった、帝国への侵略も準備いたしましょう。
 この皇国はこれより変わっていきます。スキルに左右されない国を作るんです!皇城で働く者だけでなくドロップアウトなんていう呼び名すらも禁止にしましょう」


「反対も凄そうだな。特に貴族連中からは強くでそうだ。暗殺なんかも暗躍しそうだ」


「そうですね。でもカイアス様が頑張ってここまで連れてきてくれたのです!それくらいでは私も負けませんわ」


「障害となる者がいたら俺が片付けてやるから安心しな」


じゃあしばらくは皇帝やりながらゆっくりするとしようか。


戴冠式を明日に控えた日。


今日もまた部屋でゆっくりする。
 

 レオノーラは仕事があると出て行った。自らのスキルで傀儡にした兵士を護衛として連れて行った。

 デュランは戴冠式まで寝ないで護衛すると言っていたが、俺が気絶していた間もずっと守ってくれていたようで、途中から壁に向かって話し始めたので強引に寝てもらった。


今日はそうだな。1人だし暇だからセーレたちの所へ行こうか。

そして俺は目を閉じる。

また目を開ける。

するとあの部屋への入り口が出てきた。

そして中へ入る。

するとベッドの上でセーレがゴロゴロしていて、部屋の真ん中にある机にはベリスとベリトが向かい合ってゲームをしていた。

というかベリス生きていたのか……。

「2人とも何してるんだ?」

「しっ!!今、大切な場面なの!静かに!」

「え?あっごめん」

今2人に話しかけるのはやめておこう。

俺はベッドに腰掛ける。

「なあ。セーレは何してるんだ?」

「うーん?考え事ー」

「なんだよ。珍しいなぁ」

「いやさぁ。この世界に何か変なのが紛れ込んだ気配があった気がするんだよなぁ。なんか神のやろうが余計な事したんじゃないかなぁってね」

「紛れ込んだ?よく分からんが、どんな敵でも俺とセーレなら負けないだろ?」

「なんだい!嬉しい事言ってくれるじゃないか!」

そしてベッドでそのまま添い寝することになった。

でもさっきセーレが言っていた事が気になる。
世界に何かが紛れ込んだ?
神が余計な事をした?

この先、大きな問題にならない事を祈るばかりだ。
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