上 下
63 / 95

第59話 降参なんて聞こえない

しおりを挟む


な、なるほど。

そうやって教えてくれるのは有難いんだが……。
今、戦闘中……。


「命ずる!スキルを使うな!」


しかし、雷を纏った拳が連発で飛んでくる。

全ての動作が高速だ。


同じ雷のスキルで相殺しているが、拳の威力までは相殺できない。
何発かもらってしまう。


「命ずる!スキルを使うな!!」


ファリオンは変わらず雷を纏った格闘を仕掛けてくる。


〈服従〉が効いていないのか?


「おい!ファリオン!」
 

「……………………」


「無視かよ!」


「いやカイアス。……こいつ多分、自分の耳を潰したんだ。最初は効いていた〈服従〉が今は効果がない。〈服従〉を生物に使う時は認識させないといけない。耳が聞こえない奴には効果がないんだ」


マジかよ。そこまでするのか。
いや死にたくないならそうするか。
それを躊躇せずに行ったのはすごいが……。


 しかし耳が聞こえないのに、なんで俺の全方位からの攻撃に対応できるんだ?


「はい!はい!それはね!周囲に常に弱い雷を飛ばしてるんだよ。それで耳が聞こえなくても飛ばした雷に触れたらそこに何があるのか分かるから反応できるんだと思う。前に魔界にそんな事を言っていた悪魔がいたんだ!」

ベリスは相変わらず元気だ。


そうか。あいつが来た時も姿を消していたはずの俺に気付いたのはそういうことか。

あれも完全に消えたわけではないからな。じゃあ姿を消して撤退する事も出来そうにないか…。

 空中に逃げても雷を使った空中移動や雷を放つ事も出来るだろうから意味はないか。


どうやって反応しているかが、分かった所で今は耐えるしかない。


 と思ったがこいつの攻撃は速い。確かに速いが、あの〈神速〉のヴィクトリア程ではない。


 あいつはもっともっと速く、剣撃の全てが洗練されていた。


 こいつに負けているようではヴィクトリアにも絶対に勝てない!


それで思い出した。

以前、ヴィクトリアとの戦闘で少なからず認められた戦法だ。


 こいつも同じような対策してたら効果はあまりないが…。
やる価値はあると思う。



混合スキル



〈縛鎖:焔〉
〈縛鎖:いかづち
〈縛鎖:科戸しなと


 炎・雷・風の属性で編んだ鎖を3種類、俺の周囲に展開する。炎だけでなく他の属性の鎖も作れるようになった。


やり方は前と同じだ。


 見た目は炎と雷と風を纏っているように見える。


 しかし、それを編み込み鎖にしている。


強度も鋼鉄クラスだ。



中央突破しようものなら鎖で八つ裂きだ。


ファリオンは警戒しているようだ。
先程まで近接戦闘を続けていたが、俺から距離を取った。



だが、俺から距離を取る事は悪手だ。
俺は〈浮遊〉のスキルを使い、周辺の木や岩を持ち上げ投擲する。



 この間には、〈刀剣〉を使い周囲に剣を召喚する。

 こちらに高速で接近してきたらその通り道に剣を置いておけば自滅する。



 そして余った剣は〈浮遊〉で操りファリオンに斬り込む。



 混合スキルを3種同時に使用し、〈浮遊〉や〈刀剣〉を使って攻撃する。
もう頭が忙しい!!


それにファリオンもよく避けている。
が、人間である以上、必ず限界は来るわけで。


 剣の一本がようやくファリオンの右脚の先を斬った。


 斬り落としてはないが、かなりの深傷だろう。


 ファリオンは高速移動する時に必ず踏み込んでいる。脚を負傷すればその踏み込みはもう出来ない。
俺の勝ちだ。数で押し込むしか出来なかったが、勝ちは勝ちだ!


結局、この鎖使わなかったな……。
また別の時に使おう。


そしてファリオンだが……。
やはり足の負傷は致命的のようだ。
もうまともに立ち上がれないようだった。



「これで終わりだ」



「まっ待ってくれ!こ、降参だ!」



「聞こえないな。レオノーラへの侮辱。死をもって償え!」


 周囲に刺さっていた数本の刀剣を〈浮遊〉で引き抜く。
 
 そして、その全てをファリオンに突き刺す。


そのまま息絶えた。


これで2人倒した。
残り5人か………。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。 ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。 制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。 「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」 チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。 そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。 その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。 その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。 この男がどんなスキルを使うのか。 ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。 ※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

処理中です...