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第41話 SSランクの猛攻

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さて…相手はSSランク2人




 先程、ヴィクトリアが言っていた〈軟化〉と〈硬化〉から推測するに物体の硬さを変化させるスキルを持った2人組


 それで地面の硬度を操り波のようにしてこちらに進んでいるのか



これは…俺のスキルと非常に相性が悪い



 なぜなら俺の〈必中〉は、俺自身が攻撃と判断できなければ発動しない。


 これは攻撃だと分かっていても回避するイメージが掴めなければ発動も遅れる。

スキルの発動が遅れれば俺は死ぬ



 アイリーンもいるがどこまで戦闘に加われるか分からない



 とうとう俺たちの前まで土の波が来る
そして停止した



 土はゆっくりと落ちてきて2人の男女が俺たちの前に姿を現す。



「あれ?ここに1位がいただろ?どこに行った?なあロージア」



男が話す。ヴィクトリアが目当てか



「………………」



女はロージアというのか……何も話さない



「まあいいや お前らも冒険者だろ?1位が戻ってくるまでお前らで暇つぶしさせろ さっき何か言ってたみたいだしな!」



やる気みたいだな


やってやる カイアス様に無様な姿は見せられない!




「暇つぶしで済めばいいがな!それにここで死んでもらうと言ったんだ!かかってこい!」



男はニヤリと笑う



「ハッ!面白い奴だ 俺はリグド こっちはロージアだ これで会うのは最後だからなぁ 名を聞いておこうか」



「貴様らのような侵略者に名乗る名前などない!」




 俺は服の内側に仕込んである小型のナイフを3本取り出す。

 数は数十本と温存してきたから充分ある



〈必中〉



それをリグドに向かって投擲する。
ナイフは真っ直ぐリグドの頭に向かって進む



 しかしリグドの前に土の壁が出来上がる
ナイフはその壁に阻まれた



2人とも一歩も動いていない
だが目の色は常に赤色だ
スキルを常時発動させているようだ



リグドはニヤリと笑う表情を変えないまま話す



「おいおい いきなりじゃねえか?面白れぇ!やってやるよ!行くぞロージア!」



「……………」



ロージアは何も話さないが、2人とも戦闘態勢に入ったようだ



大地がうねり出す



足元が沈む



動きづらい



そして大地の形が変わり鋭い爪のような形になり襲い掛かる



〈必中〉



爪の形になった土は俺を避けて地面に刺さる



しかしその土が砂に変わる
俺の脚が埋もれた。



そしてその砂が固まり動きを拘束される



「しまった!」



こいつら相手に立ち止まって攻撃を凌ぐ事こそ悪手か!



回避に全力を尽くすべきだった
また判断を誤ってしまった



「もう終わりなのか? 暇つぶしにもならない」



 そして先程と同じ大地の爪が俺に向かってくる。


なんとかスキルで回避を………



その時、俺の脚を拘束している土の一部が伸びて俺の視界を塞いだ



駄目だ… 


 視界を封じられると攻撃が認識できない



何も出来なかった。俺が判断を見誤った 


ここまでか……




「諦めてはダメです」  



少女の声が聞こえた



 そして俺の脚や視界を塞いでいた土やこちらに向かっていた土の爪もバラバラになっていた



アイリーンが助けてくれたのだ



「すまない!助かった」



「貴方がいなくなるとカイアスが悲しみます ヴィクトリア様が戻るまで耐えましょう」



カイアス様……



そうだな
勝ちにこだわるのは無駄だ
生きて合流する事が最善だ



 そこからはアイリーンの援護により戦いやすくなった。


足元が固められる前に動き続け
2人を牽制し続ける



 アイリーンに俺が持つナイフを投げ渡し、聖剣化してから投擲する
そのナイフは土の壁など容易に貫通する



がアイリーンの投擲では当たらない



 俺が投擲すればいいのだが、常に動き続けないといけないから聖剣を受け取れない



 それに相手もその事を気付いているようだ

 俺たちが近付かないように大地を操っている。



 アイリーンが今度は聖剣化したナイフを俺の方向に向かって闇雲に投げる。



「ハッ!どこに投げてるんだ?」



 しかしそのナイフは俺に向かって軌道を変えながら進む。
俺はそのナイフの持ち手を掴みそのままリグドに向かって全力で投げた

そのナイフはリグドとロージアの守りを抜け
リグドの頬をかすめる。

土の壁で軌道が逸れてしまったか…

 そしてアイリーンもその隙をついてリグドの背後から斬りかかる。
 それも避けられたが傷をつけた

 しかしアイリーンに俺のスキルを伝えておいてよかった。

 俺たちが合流さえしなければ勝てると相手が思い込んでくれたおかげでこの戦法が使えた

 俺のスキルは避けようとすれば必ず当たるように動く
 俺もそうすればナイフを誘導できる



「痛えなぁ……傷をつけられたのは久しぶりで痛みっていうのを忘れてたぜ ロージア こいつら



リグドの頬から血が流れた  



何かロージアと話している


その時だった



アイリーンの動きが止まった



「どうした?なぜ止まる?」



「あ、脚が………」



 よく見るとアイリーンが着ている防具の一部が固まっていた


自然の物でなくても操れるのか



そしてそのままアイリーンの周囲が沈みだす


「アイリーン!!」



俺は咄嗟に飛び出していた
アイリーンが飲み込まれた穴に入る


アイリーンの姿はなんとか捉えている。


中は砂が川のように流れており俺たちは流された。

そして、どこかの牢屋の中に辿り着いた。
四方を岩で囲まれいる。入り口もない

しかし、アイリーンも一緒だ
俺たちが入ってきた穴は塞がる。

かなりの距離を移動してしまった。

「ここはどこだ?」

「分かりません 閉じ込められましたね それにここには何もない… 私のスキルも役に立ちません………」

不安そうだった

「大丈夫だろう ヴィクトリア様やカイアスもいる 必ず助けに来てくれるさ
ここで待つとしよう」

「………はい」
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