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第35話 エングリーズ要塞都市
しおりを挟むもう間も無く目的地に着く。
丸5日ほどかかった。
道中、立ち寄った村々でもデュランは知られていた。
やはりSSランクともなるとかなりの有名人のようだ
SSランクに昇格すると名前と顔の似顔絵が各地の都市や村に配布されるらしい。
どこを拠点にするかも昇格の時に決められるようで、各都市を治める貴族たちは自分の街に来てほしい為、猛烈な勧誘をするのだそうだ。
なぜデュランがウェグリアの街を選んだのかというと…
「キリガネの武具屋があったので……」
だそうだ。
SSランクになるような強者の時点で金とか屋敷とかを用意されてもあまり興味を持てないらしい。
強い魔獣、新しい知識、武器、己を強く更なる高みへ持って行ってくれる。
そういう風なものに惹かれるらしい
俺はよくわからない
が、この移動は色々と勉強になった。
スキルの使い方もある程度は理解が進んだ。
それにベリスとベリトのスキルもだ
まあ目的地が見えてきた……
さすが防衛砦だ。国境線と思われるラインには、スキルで作られたであろう壁や木の柵、バリケード、見張り台も一定間隔で作られている。
あれは投石機か?
岩だけでなくスキルで作る爆弾なんかも飛ばすのだろう
兵士も戦争が始まるのを察知しているのか分かっているのか慌ただしい様子だ。
俺たちが街の入り口まで行くと兵士が走ってきた、そして1列に並び敬礼する。
その奥から指揮官と宰相のような2人がきた。
「【龍槍】デュラン様 遠路遥々、ようこそおいで下さいました。おや?そちらの方は?」
そういや【龍槍】とか二つ名あったな
SSランクはみんな持ってるんだったな
そしてこの宰相みたいな奴だが、既得権益大好きみたいな奴が出てきた。
異様に腰が低く、手をニギニギしている。
こういう奴は相手によってコロコロ態度を変えて、下の者に対してはデカい横柄な態度を取るクズ野郎タイプだ。
「私もこいつ嫌いー なんか黒い影があるー」
ベリスが反応している
セーレ、黒い影ってなんだ?
「こいつ多分、悪魔憑きだね。ただ私たちにも気付かないような下等な奴だ。人間に入れ知恵してるんだろうね。
人間の欲望とかそういうのが好きなんだろう 魔界から出てまでそんな事をするなんて物好きもいたもんだ。」
まあ俺たちに害がないなら放っておいてもいいだろう。
「こちらはカイアス ウェグリアのSランク冒険者だ。私の弟子というわけではないが同行している。」
「これはこれはSランク冒険者のカイアス様ですね。私はこのエングリーズ要塞の防衛補佐をしております、ガージールと申します。以後、御見知りおき下さい……」
そしてもう1人の大剣を持った男が話しかける。
「私は、ジェラルド=エングリーズだ。この砦の防衛隊長を務めている。一応、街を治めている身ではあるが、その辺りはガージールに一任している。何かあればガージールに言ってくれ。よろしく頼む。」
「よろしくお願いします。」
こいつがエングリーズを治めている貴族か…
貴族というより武人だ
こういった奴は、街の統治を補佐に任せて自分は戦争に明け暮れるタイプだろう
街内の環境も見ておくべきだ。
俺と同じようなドロップアウトなんて呼ばれて酷い扱いを受けてしまっている者がいたら助けなくては
それにウェグリアにはフィーナがいる。ウェグリアに連れて行けばなんとかなるはずだ。
だが、スキルが開花しない者……
既に〈魔神〉や〈大天使〉などがいる
他にもいる可能性がある。
セーレもよく分かっていないようだし
補佐のガージールが話す
「さっ!こんな所で立ち話もなんです
砦内の応接室へ案内致します。ではこちらへ!」
俺たちは応接室へ案内される。
そこへの移動の途中でデュランが問いかける。
「他にSSランクの冒険者は来ているのか?この帝国には10人いるだろう」
「既に3名が到着しております。デュラン様で4人目になります。しかし、既にそれぞれの宿舎に戻ったり近隣で鍛錬しております。」
「そうか。また挨拶しておこう」
3人のSSランクが既に到着している。
この戦争では皇国に勝利してもらわなければならない。
SSランクは可能な限り無力化しておこう
応接室での話が終わればその宿舎に向かう。
相手が誰かを知っておかなければ
ガージールに対してベリスのスキルを使うか
「私に任せなさい!何でも覗いちゃうからねー」
「が、頑張ってね。お姉ちゃん、カイアスさん」
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