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第29話 新たなスキルを求めて
しおりを挟む記憶が混ざり合う。流れてくる。
これは誰だ?泣いている……
女の子?
分からない
もうグチャグチャだ
「カイアス!!」
「あ……………」
俺は目覚めた。なぜか泣いている。
ここはどこだ?
見覚えがあるなぁ。
「セーレ。また心配をかけてしまったな」
後ろにセーレが立っている。
「いやいいさ…。あの状況では仕方がない。やらなきゃ死んでいた。でもまさか100%を出せるなんてね。驚いたよ!」
「あのあとどうなった!デュランは?」
「落ち着きな。今あっちのお前の身体はデュランの家だ。デュランも傷を負ったが、死にはしない。あの後の事を順番に説明してやるよ。」
100%を使用した直後、デュランはウェグリアの家へ転移した。
デュランを守る為の100%だからね
そして周囲に向かってスキルによる攻撃をばら撒きまくった。
もうルーヴェルの街は滅茶苦茶だそうだ
そして100%を使った時の姿だが、私と入れ替わるんだ。
身体は私、意識はカイアスになる。
100%は魔神にしか扱えない。
しかし、魔神が生きた歴史の記憶がただの人間の精神力では、耐えられない。
しかし、真の〈服従〉が使える。
少し雑魚っぽい感じになっていたが、100%の〈服従〉こそ最強と言われる所以らしい
だが、100%を使う為には体を鍛えるだけでは駄目だ。
精神力も備わっていないとすぐに暴走してしまう。
「暴れるお前にヴィクトリアとアイリーンが2人がかりで斬りかかろうとしたが、お前が吹き飛べって叫んだ。そしたら風が2人を巻き上げて街の方へ飛んで行ったよ」
真の〈服従〉は加護すらも一時無効化できるようだ。
それでも完全ではないそうだが
そして、セーレが提案する。
「カイアス 私は今は100%を目指さなくていいと思うんだ。そりゃ、大事だがあんたの身体が保たない。じゃあ使えるスキルを増やそうと思うんだ。」
以前言っていたな
どうやったら増やせるんだ?
「私は私のスキルを当然100%で使える。真の〈服従〉は相手のスキルそのものにすら効果があるんだ」
どういう事だ?
「要は自分のスキルになれって命じたら、元の持ち主を離れ、自分のスキルにできる。 私はそうして悪魔たちのスキルを奪い〈服従〉させていったんだ」
悪魔たちっていうのはどこにいるんだ?
「ここは人間の世界と神が住む神域の間なんだ。悪魔たちは神域の魔界にいる。
私がそこにあんたを連れて行く。今ある46のスキルを50まで増やす。あっちの世界では時間の流れが違うから多少長くなっても影響は少ない。どうだい?」
もちろんやるさ!俺は強くならなくてはならない。
「そうか。それが聞けてよかったよ!じゃあ行こうか。気に入ったスキルがあったら言いな!奪ってやるよ。今回は4つまでだから慎重に選びなよ?じゃあ私の背中に触れな!」
分かった。
俺はセーレの背中に触れる。
真っ暗な世界に光が灯った。
そして、身体が光の中に落ちるような感覚になる。
「カイアス。もう目を開けていいよ。というか閉じなくてもいいんだけど」
俺は目を開ける。
そうなのか
なんか目を開けてたら駄目な雰囲気だったから、しっかり閉じてた。
「うわぁ………」
空気が重苦しい。
薄暗い森の中だ。
奥の方には山が見えるし、雷も鳴ってる。
近くでは変な鳥の鳴き声、獣の吠える声とかも聞こえる
今の時間帯もよく分からないし、周囲が見えているから太陽の光はあるのだろうが、雲で隠れているから方角もよく分からない。
なんか気持ち悪い……
それなのに………
「いやーー!!久しぶりに来たけどやっぱり心地良いねぇ!空気も美味しい!!」
とか言ってはしゃいでる女が前にいた。
空気が美味しい?
美味しいの定義を見失いそうになる。
「なあ……セーレさん」
「なんだい!…ねぇ?なんでそんな体調不良みたいな顔なんだい?」
魔神と人間の感覚はやっぱり異なるようだ。
「さっさと終わらせて帰ろう。なんか気持ち悪くなってきた」
「あー人間ってこの環境辛いのかね?まあいいや。悪魔は基本的にその辺にいるよ。理性もなくスキルを使って襲ってくるから気をつけな?今は私が守るけど宿ってないから、あんたスキル使えないからね?」
マジか……
「じゃあ一緒に行くよ?!」
森の中を30分ほど歩いた。
悪魔ってどんな見た目なんだろう?とか俺にとって必要なスキルはなんだろう?とかヴィクトリアを倒せれば、他のSSランクも倒せる。
あのスキルをどう攻略するのかなど考えを巡らせていたが、この女のせいで集中できん!
「あの…セーレさん?」
「なんだい?」
「なぜ腕を組んでいるんですか?」
「魔界デートみたいでいいじゃないか!いつも直接会うのは頭の中だけで一緒に何かするのは初めてだからね!これくらいいいだろ?」
いいのはいいが、色々当たっているから集中出来ない。
早く悪魔来ないかなあ
とか色々考えていると
やっと来た!来てくれた!これで離してくれる!
前には2体の悪魔がいた。
2体とも小人のような背丈、腰に布を巻いているだけで、肌も真っ黒だ
赤い目がよく目立つ
「ケケケ!ニンゲンダ!クウ!!」
そう言って悪魔たちは手から炎を出した。
炎か……もう持ってるな…それに知性の欠片も感じないセリフだ。
でもこれでとりあえず離してくれるだろう
落ち着かないし…
「…………焼かれて死ね」
「え?」
セーレがボソッとそう言うと、悪魔たちが出していた炎が悪魔自身に襲い掛かる。
悪魔たちは叫びながら燃えて動かなくなった。
「チッ!…………デートの邪魔するなよ。ウジ虫が……」
あのー。セーレ……さん?
「さ!行こうか!もうちょっと知性がある悪魔ならいいスキル持ってるはずだからね!」
「りょ、了解……」
しばらくこのままか
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