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第27話 開戦!
しおりを挟むあれから十日が経った。
基本的には身体を休める事に専念したが、間を見てアルシェに海岸まで連れて行ってもらい、スキルを試した。
もちろんだが、アルシェには今回の侵略の事は伝えていない。
スキルの混合……
スキルはイメージが明確になればなるほどその形になり強くなる。
スキルを混ぜるというのは前例がない為誰のアドバイスも受けられない。
デュランでさえも悩んでいた。
セーレに関しては言うまでもないだろう…
「あ、あ゛あん?!お、お、教えてたら成長出来ないでしょ!あ、あえてだよ!あえて!神である私がそんなこ…………」
今、回想中なので黙っていて下さい
だが、少しずつイメージも掴めてきた。
これを今から、実戦で披露する。
「さあ!出発だ デュラン準備はいいか?」
「いつでもいけます。」
そう言うとデュランは槍を背中に装備して、黒いコート着て、黒のフードを被った。
髪の色も目立つから隠した。
俺もスキルを使う。
「来い。セーレ 50%で行こう」
姿が変わる。
俺の事を知っている奴なら50%でもバレてしまうだろうが、ルーヴェルなら問題ないだろう
敵対する者は始末する
もうデュランにスキルの事を隠す必要もない。
〈空間転移〉
俺はデュランに触れ、スキルを使い、転移する。
ルーヴェルの城門から少し離れた所、門の正面に姿を現す。
城門上の番兵が何名か気付いたようだ。何もない所から、黒の服を着た人間が2人現れたらそりゃ気付くか。
「デュラン 覚悟は出来ているか?もう戻れないぞ?」
「俺はあの日からあなたについて行くと誓いました。どこまでもお供いたします。」
城門の前に兵士が集まり始めた。
俺たちを敵と認識したのだろうか。
確認する必要はない。
先手必勝だ!!
〈炎帝〉〈雷帝〉〈水神〉
三属性を自分の周囲に展開し、混ぜる
混成スキル技 〈ナルハオトミ〉
炎・水・雷が複合された攻撃が螺旋状になり城門に向かう。
そして、数十人いた兵士ごと城門を吹き飛ばした。
城門周辺にいた者は誰も生きていないだろう
大きな爆発と共に開戦する
「さあ!!開戦だ!!」
デュランが槍を構え街の中に入る。
ルーヴェル卿がいる城までほぼ一直線だ
俺もそれに続く。
早速兵士が奥に続く道から集まってきた。
召集が早いな。訓練されているのだろう
その中の兵士の隊長のような人物が叫ぶ
「密集体形!援軍到着まで防御を固めよ!」
デュランが走る道の前に盾を構えた兵士が列を作り、その道を塞いだ。
が、デュランはその盾を踏み台にして空中に飛ぶ。
その奥にいた弓兵が火矢を放つ。誰かがスキルも使っているようだ。
矢はデュランを狙うように移動する。
がデュランには1発も当たらない。
そして盾の後ろに回り込み槍を振るう。
20名ほどいた兵士は頭部を槍で貫かれ、奥の弓兵10名はデュランが拾い投げたダガーが全て頭部または心臓に直撃し、息絶えた。
俺はそれを見届けたあと別のルートから侵攻する。
兵士はデュランが引きつけ、デュランの存在に気付く可能性がある冒険者は俺が殲滅する作戦にしている。
あとは臨機応変に対応していく感じだ。
あった。冒険者組合、ルーヴェル支部だ
既に外は慌ただしくなっているが、
まずは一撃を放つ。
〈炎帝〉
力を溜め巨大な炎の球を作る。
そして空中から放つ。炎はゆっくり落ちていく。
そして、その炎に向けてスキルを使う。
〈風神〉
これ同様に力を溜めて放つ。
風を帯びた炎はさらに勢いと速度を増して冒険者組合を飲み込んだ。
爆発と共に冒険者組合の建物は吹き飛んだ。
人々の叫び声が聞こえる。
冒険者も大体殲滅が完了したか?
「お前!よくもーー!風刃!」
「〈風力操作〉風刃の威力を最大に!!」
こちらに向かって巨大な風の刃が複数飛んできた。
〈服従〉
「命ずる。風よ止まれ あいつは……」
風の刃は霧散した。
以前、俺が住んでいた小屋の近くで、魔獣に襲われてた奴か。フィーナを囮にして逃げた奴らだ。
確か名前は……カーグとリリィ
それ以外に冒険者は見当たらない。たまたま助かったか…
隠れていれば命は助かったものを……
「命ずる。そこの冒険者2人 自らが持つ剣で自害せよ…」
2人は抵抗していたようだが、自分が持っていた剣やナイフで首を切り裂きそのまま倒れた。
これで冒険者は殲滅した。
Sランクであっても不意を突けば、こんな簡単に進むのか?
まあいい。考えるのは後だ。今は城を目指す
ルーヴェル卿待っていろ。
俺は空中を移動しながら城を目指す。道中、遭遇した兵士は自害させるか焼き殺した。
スキルによる攻撃が飛んできても 〈服従〉の前では無力だった。
そして城の前の門を破壊して突入する。門の周辺は大量の兵士が倒れている。ルーヴェル卿がいるであろう、城の入り口まで死体が続く。
ほぼ全てが自害した。
デュランはまだ着いていないようだな。
先に行く。
城の扉を蹴破る。中にいた兵士が俺に斬りかかる。
「命ずる。この場にいる者、全員動くな」
俺を中心に人が停止する。
そして
「命ずる。全員、自らの武器で自害せよ」
俺はそれを繰り返し、王の間と書かれた部屋の扉を開ける。
入ると同時に矢が複数飛んできた。
「命ずる。止まれ」
俺の目の前で矢は止まり落下し、それを放った兵士も停止した。
兵士に囲まれて守られている奴がいた。太ってるおっさんって感じの見た目だ。
あいつがルーヴェル卿だな。
「お前がルーヴェル卿か?お前を殺しにきた」
その太った男が話す。
「な、なんのようだ!いきなり襲い掛かりおって!ワシをオルドラン=ルーヴェルと知っての事か?!ワシが何をしたんだ!」
「お前は、スキルが弱い者を証拠もなく処刑していたな?その報いを受けてもらう」
「ハッ!スキルが弱い奴なんぞ。生きてても邪魔なだけだろ?使えないくせに飯は食うし、寝床も用意してやらないといけない。
だったら始末してやった方がこの世界のた………」
「もういい。黙れ」
言葉の途中で止めた。〈服従〉は使っていないから、まだ話している。
やはり不愉快極まりない!
「命ずる。兵士たちよ。ルーヴェル卿に矢を放て!」
「な、なんだ?!お前たち!どうした?!なぜワシを狙う!やめろ!やめてくれ!
やめ…………」
ルーヴェル卿の身体に十数本の矢が突き刺さる。そしてそのまま死んだ。
残りの兵士も自害させた。
侵攻はするが、占領はしない。
まだ俺たちが攻撃したとバレるわけにはいかない。
他のやつが統治する事になるだろう。
だがこれで、この街も少しはマシになるんじゃないか
さて、帰ろうか…
目的は達成した。あとはデュランと合流してウェグリアへ帰還する。
城を出た。
すると何かが城の壁を突き破って飛んできた
なんだ?
それはデュランだった。 ボロボロだ。
「デュラン!!」
「カ、カイアス様!目的は達成しましたか?すぐにここを離れましょう!なぜ彼女がここに……」
「どうした?一体何があったんだ。」
奥から誰か来る。誰だ?
女性2人だ。
1人は金色の髪をなびかせている。
手には金色の大剣を持っている。
そしてもう1人は……
白く長い髪、そして光輝く剣を2本所持している。
「あ、あの子は………ア、アイリーンさん?」
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