上 下
30 / 95

第27話 開戦!

しおりを挟む


 あれから十日が経った。

 基本的には身体を休める事に専念したが、間を見てアルシェに海岸まで連れて行ってもらい、スキルを試した。

もちろんだが、アルシェには今回の侵略の事は伝えていない。

スキルの混合……


 スキルはイメージが明確になればなるほどその形になり強くなる。
 スキルを混ぜるというのは前例がない為誰のアドバイスも受けられない。


 デュランでさえも悩んでいた。


 セーレに関しては言うまでもないだろう…


「あ、あ゛あん?!お、お、教えてたら成長出来ないでしょ!あ、あえてだよ!あえて!神である私がそんなこ…………」


今、回想中なので黙っていて下さい



だが、少しずつイメージも掴めてきた。


これを今から、実戦で披露する。



「さあ!出発だ デュラン準備はいいか?」


「いつでもいけます。」


そう言うとデュランは槍を背中に装備して、黒いコート着て、黒のフードを被った。

髪の色も目立つから隠した。


俺もスキルを使う。


「来い。セーレ 50%で行こう」


 姿が変わる。
 
 俺の事を知っている奴なら50%でもバレてしまうだろうが、ルーヴェルなら問題ないだろう

敵対する者は始末する


もうデュランにスキルの事を隠す必要もない。


〈空間転移〉


 俺はデュランに触れ、スキルを使い、転移する。
 ルーヴェルの城門から少し離れた所、門の正面に姿を現す。


 城門上の番兵が何名か気付いたようだ。何もない所から、黒の服を着た人間が2人現れたらそりゃ気付くか。



「デュラン 覚悟は出来ているか?もう戻れないぞ?」



「俺はあの日からあなたについて行くと誓いました。どこまでもお供いたします。」


城門の前に兵士が集まり始めた。
俺たちを敵と認識したのだろうか。


確認する必要はない。
先手必勝だ!!



〈炎帝〉〈雷帝〉〈水神〉


三属性を自分の周囲に展開し、混ぜる



混成スキル技 〈ナルハオトミ〉



炎・水・雷が複合された攻撃が螺旋状になり城門に向かう。


 そして、数十人いた兵士ごと城門を吹き飛ばした。

 城門周辺にいた者は誰も生きていないだろう

大きな爆発と共に開戦する



「さあ!!開戦だ!!」



 
 デュランが槍を構え街の中に入る。
ルーヴェル卿がいる城までほぼ一直線だ


俺もそれに続く。

早速兵士が奥に続く道から集まってきた。
召集が早いな。訓練されているのだろう


その中の兵士の隊長のような人物が叫ぶ



「密集体形!援軍到着まで防御を固めよ!」


 デュランが走る道の前に盾を構えた兵士が列を作り、その道を塞いだ。


が、デュランはその盾を踏み台にして空中に飛ぶ。

 その奥にいた弓兵が火矢を放つ。誰かがスキルも使っているようだ。


 矢はデュランを狙うように移動する。

 
がデュランには1発も当たらない。


 そして盾の後ろに回り込み槍を振るう。

 20名ほどいた兵士は頭部を槍で貫かれ、奥の弓兵10名はデュランが拾い投げたダガーが全て頭部または心臓に直撃し、息絶えた。


 俺はそれを見届けたあと別のルートから侵攻する。

 
 兵士はデュランが引きつけ、デュランの存在に気付く可能性がある冒険者は俺が殲滅する作戦にしている。


 あとは臨機応変に対応していく感じだ。


 あった。冒険者組合、ルーヴェル支部だ

既に外は慌ただしくなっているが、
まずは一撃を放つ。


〈炎帝〉


力を溜め巨大な炎の球を作る。


そして空中から放つ。炎はゆっくり落ちていく。

そして、その炎に向けてスキルを使う。



〈風神〉



これ同様に力を溜めて放つ。

 風を帯びた炎はさらに勢いと速度を増して冒険者組合を飲み込んだ。



 爆発と共に冒険者組合の建物は吹き飛んだ。
人々の叫び声が聞こえる。


冒険者も大体殲滅が完了したか?


「お前!よくもーー!風刃!」
「〈風力操作〉風刃の威力を最大に!!」



こちらに向かって巨大な風の刃が複数飛んできた。



〈服従〉



「命ずる。風よ止まれ あいつは……」

風の刃は霧散した。

 以前、俺が住んでいた小屋の近くで、魔獣に襲われてた奴か。フィーナを囮にして逃げた奴らだ。


確か名前は……カーグとリリィ


 それ以外に冒険者は見当たらない。たまたま助かったか…
隠れていれば命は助かったものを……


「命ずる。そこの冒険者2人 自らが持つ剣で自害せよ…」


 2人は抵抗していたようだが、自分が持っていた剣やナイフで首を切り裂きそのまま倒れた。



 これで冒険者は殲滅した。
Sランクであっても不意を突けば、こんな簡単に進むのか?


まあいい。考えるのは後だ。今は城を目指す


ルーヴェル卿待っていろ。


 俺は空中を移動しながら城を目指す。道中、遭遇した兵士は自害させるか焼き殺した。


 スキルによる攻撃が飛んできても 〈服従〉の前では無力だった。

 そして城の前の門を破壊して突入する。門の周辺は大量の兵士が倒れている。ルーヴェル卿がいるであろう、城の入り口まで死体が続く。
 ほぼ全てが自害した。

 デュランはまだ着いていないようだな。

先に行く。


城の扉を蹴破る。中にいた兵士が俺に斬りかかる。


「命ずる。この場にいる者、全員動くな」

 俺を中心に人が停止する。


そして


「命ずる。全員、自らの武器で自害せよ」


 俺はそれを繰り返し、王の間と書かれた部屋の扉を開ける。


入ると同時に矢が複数飛んできた。


「命ずる。止まれ」


 俺の目の前で矢は止まり落下し、それを放った兵士も停止した。



 兵士に囲まれて守られている奴がいた。太ってるおっさんって感じの見た目だ。

あいつがルーヴェル卿だな。



「お前がルーヴェル卿か?お前を殺しにきた」


その太った男が話す。


「な、なんのようだ!いきなり襲い掛かりおって!ワシをオルドラン=ルーヴェルと知っての事か?!ワシが何をしたんだ!」


「お前は、スキルが弱い者を証拠もなく処刑していたな?その報いを受けてもらう」



「ハッ!スキルが弱い奴なんぞ。生きてても邪魔なだけだろ?使えないくせに飯は食うし、寝床も用意してやらないといけない。
だったら始末してやった方がこの世界のた………」


「もういい。黙れ」


言葉の途中で止めた。〈服従〉は使っていないから、まだ話している。


やはり不愉快極まりない!




「命ずる。兵士たちよ。ルーヴェル卿に矢を放て!」


「な、なんだ?!お前たち!どうした?!なぜワシを狙う!やめろ!やめてくれ!
やめ…………」



ルーヴェル卿の身体に十数本の矢が突き刺さる。そしてそのまま死んだ。



残りの兵士も自害させた。



 侵攻はするが、占領はしない。
まだ俺たちが攻撃したとバレるわけにはいかない。
他のやつが統治する事になるだろう。



 だがこれで、この街も少しはマシになるんじゃないか


さて、帰ろうか…


 目的は達成した。あとはデュランと合流してウェグリアへ帰還する。



城を出た。
すると何かが城の壁を突き破って飛んできた



なんだ?


それはデュランだった。 ボロボロだ。



「デュラン!!」



「カ、カイアス様!目的は達成しましたか?すぐにここを離れましょう!なぜ彼女がここに……」
 


「どうした?一体何があったんだ。」



奥から誰か来る。誰だ?



女性2人だ。


1人は金色の髪をなびかせている。


手には金色の大剣を持っている。 


そしてもう1人は……

白く長い髪、そして光輝く剣を2本所持している。


「あ、あの子は………ア、アイリーンさん?」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。 ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。 制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。 「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」 チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。 そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。 その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。 その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。 この男がどんなスキルを使うのか。 ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。 ※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様

処理中です...