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第26話 戦闘準備
しおりを挟むルーヴェル卿
スキル至上主義を体現したような奴らしい
そいつはスキルが弱い者を犯人だと決めつけ捕らえては処刑しまくってる。
ルーヴェルの街は何の思い入れもない。
そもそも俺はスキル至上主義を壊す為の復讐をしていたはずだ!
これからルーヴェル卿を殺そう。
「デュラン。俺はこれからルーヴェルの街に侵攻を開始する。ついてきてくれるか?」
「もちろんです。俺はカイアス様に従います。カイアス様がスキル至上主義のこの国を認めないなら俺も認めない!元々、この国スキルが全てという考えは気に入らなかった」
セーレは?
「元々それが目的だからねぇ。ただ、まだ数日は休みな!体力も回復していないだろう。準備が必要だ」
分かった。
俺も装備を整えよう。キリガネから買った装備も壊れてしまった。
ルーヴェル卿の場所、ルーヴェルの戦力など
も調べないといけない。
人の暖かさに触れて、目的を忘れかけていた
俺はこの国を滅ぼす。
今一度原点に戻ろう。
俺はベッドから降りて立ち上がる。
少しふらつくが、問題はなさそうだ。
「デュラン!まずはキリガネの店に行って槍と装備を整えよう。金貨も準備していくか」
「大丈夫ですか?まだお休みになった方がいいのでは?」
「いや!大丈夫だ。俺も時間がおしいからな。さっさと行こう」
そして俺たち2人はウェグリアのキリガネの所に向かう。
やはりデュランがいる事もあるが、俺が寝ている間にウェグリア5人目のSランク冒険者として知らせが組合から発表されたようだ。
街中でも一般人から声をかけられる。
こうした明るい声はやはり慣れない。
そして俺はこれから侵攻する。
民間人は殺さないよう努めるが、難しいかもしれない。
そんな甘い事も言っていられない。
ルーヴェルは中継都市だ。
当然、軍隊もいるし、冒険者もいる。
それらを殲滅し、ルーヴェルを落とす
とか考えていたら着いた。
デュランが先に入り、声をかける。
「キリガネ!槍はできたか?」
奥からドタドタと走る音が聞こえる。
「おう!来たか!デュラン。カイアスも起きたんだな!無事何よりだ!さあデュランこっちへ。白虎の槍を見てくれ!!」
すごいテンションだ。それだけ凄い槍が出来たのだろう。
奥の部屋へ案内され、机の上に置かれた槍が目に入る。
「綺麗だ……」
思わずそんな言葉が出た。
持ち手は純白で、刃は白銀の神秘的な槍だ。
そして俺にもあるようだ。
胴体を守るプレートだが、これも白銀のものだった。
SSランクの魔獣の素材で作られた防具だ。
どんな奴の攻撃も通さないだろう。
これで俺たちの準備は終わった。
一旦家に戻る。
次は相手の戦力の確認だ。
「デュラン。ルーヴェルの街の戦力は分かるか?作戦としては正面から突撃がいい。俺はスキルを使うと姿が変わるから問題ない。デュランお前はどうする?SSランクの地位は失わないでほしいが…」
デュランは少し考えて返答する。
「そうですね。私も全身黒いコートとフード、仮面でも付けて行こうと思います。槍は以前と違いますし、スキルがバレても私とはバレないでしょう」
「分かった。」
「それでルーヴェルの戦力ですが、近接戦闘部隊、遠距離部隊の2種類が約1000人規模です。つまり兵士だけで約2000人います。近接戦闘とはスキルもそれに応じた物です。遠距離も同じです。そこに冒険者も加わります。ルーヴェルにはSSランクはいません。ルーヴェル卿の性格上、SSランクを所属させるのはマズいんです。Sランクは20人ほどいます。」
「なるほどなぁ。つまり総兵数は約2300人クラスってところか」
「はい。街の人口の5%から10%が兵士です。帝都になればもっと上がります。
ただ、カイアス様の〈服従〉であれば制圧も簡単なのでは?」
「それはそうだが…民間人も巻き込んでしまうだろう。対象を限定すれば〈服従〉を上手く発揮出来ないだろうし。とりあえず戦力は分かった。装備も整えた。
ルーヴェル卿の場所はおそらく城の中だと推測する。あとは俺の傷を治し、〈魔神〉の出力を高い状態で維持できるようにする。」
「それが賢明でしょう。」
「決行は十日後にしよう。その間、ルーヴェルのスキルが弱いとなってしまっている者たちには申し訳ないが耐えてもらうしかない。あとデュラン。俺はどうも気配察知や戦闘が弱い。何かアドバイスないか?」
「そうですね。では失礼して。
スキルの面においては申し分なしです。世界的に比べても特異で最強のものでしょう。
ただ使い方が勿体ないです。複数のスキルを同時に使える、これを別々で使うのではなく混ぜるのです。SSランクであれば一つ一つのスキルに対処するのは簡単です。しかし、混合されたスキル、つまり一つに見えるスキルに別の効果が付与されれば対処は困難です。」
「ほーさすがSSランクだね。戦闘職の世界最高峰だ。如何にスキルを上手く使うかに関してはプロだ。しっかり聞いておきな」
というか何でこれをセーレから聞けないんだ?
もしかして自分でもその手があったか?!みたいになってる?
「そ、そ、そんなわけないだろ?!私は神だぞ!!」
そうですか…
デュランが続ける。
「スキルは全くの同時では使えないのですか?雷と炎を両手から出していましたが」
そう言われてみればそうだな。
使えるスキルの上限はあるが、1度に使えるのスキルの上限は指定がなかったな
ただそういう物だと思っていた。
一つ一つ律儀に順番に使っていた。
これを同時に使う……
俺はそもそもこのスキルを使いこなせてなかったようだ。
融合度を高めるとかしか考えてなかったが、これなら出力を抑えた状態でも戦える。
「ありがとうデュラン。何かスキルについて掴めた気がするよ」
デュランは微笑み、会釈する。
「それは良かったです。私如きであればいつでもアドバイスさせていただきます。」
あと十日で戦争を、いや侵略を開始する。
それまでに身体を癒し、スキルを使いこなす。
2人とも頼むぞ
「はい。お任せを」
「はいよー。今度は怪我するんじゃないよ?」
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