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第25話 犠牲の上の勝利
しおりを挟む白虎はスキルが使える。
それに今まで一歩も動かずデュランと戦っていた魔獣だ。
本気になれば俺たち2人がかりでも倒せるかどうか…
白虎が動いた。姿が消えた?!
すると横にいたはずのデュランがいない。
速すぎて反応できない
白虎は俺たちに突進してデュランを吹き飛ばしていた。
デュランは空中で槍を使い、なんとか防いだようだが、今使っている槍はAランクのワイバーンの素材で作っているものだ。
どれだけ耐えられるか分からない。
「デュラン!俺に対してスキルを使え!白虎をお前ごと撃ち落とす!」
〈雷帝〉
雷を両手に溜めて一気に放出する。
空中の白虎に向けて雷の刃が襲う。
デュランのスキルはこうした時に使える。当たらないと確信できるから、多少の無茶でも何とかなる。
が、白虎は身体を翻し、爪で全て受け流した。
そして地面に着地する。
反応が早い!
でも避けたということは当たるとマズいんだろう。
ここからは先は数で勝負だ
〈雷帝〉〈炎帝〉〈氷雪〉〈浮遊〉
雷、炎、氷で作った槍を大量に作成する。
そしてそれらを〈浮遊〉で浮かせる。
俺が手を前に出し合図を送る。
俺の後ろに控えていた大量の槍が白虎に向かう。
白虎は咆哮し、槍を消し飛ばす。
やはり強いが咆哮中は動けないのだろう。
それを見逃す程、デュランは甘くないぞ
後ろに回り込んだデュランの槍が、白虎の胴体を切り裂く。
白虎はすぐさま俺たちから距離を取ったが、
傷は浅くはない。
血を流し、少しふらついている。
「カイアス様!一気に決めましょう。
白虎のスキルが何なのか不明ですが、使用される前に討伐しましょう。」
「分かった!俺の攻撃に巻き込まれるんじゃないぞ!」
俺はまたスキルを発動し、多属性で一斉に攻撃する。
デュランも槍を構え突撃した。
その時だった。
俺の右側、デュランの左側から謎の斬撃が飛んできた。
デュランはスキルで反応して回避したが、俺は反応が遅れしまった。
斬撃は頭部を掠めた。
血が滴り落ちる。
「クソッ。なんだ?」
斬撃を放ったのは白虎だった。
白虎?なぜ3体いるんだ?
そこには白虎が3体いた。同種なのか?
いや3体共、血を流している場所が同じだ。
これが白虎のスキルか……
〈分身〉
自身の複製を作れる。
マズいな。一体でも勝てないかもしれない白虎が3体か…
これは撤退も視野に入れた方がいいか
白虎が咆哮し、3体同時に突っ込んでくる。
速度も変わらずか…。何か弱点はないのか?
戦闘はより激しさを増す。デュランもスキルを使って回避、攻撃しているが、傷だらけだ。
人間である以上消耗もしてくる。
俺も60%を維持しながら戦う。これ以上の出力をまだ出す事が出来ない。
白虎の情報で焦って出発したのがダメだったな。
スキルの使用上限が俺を苦しめる。
回復のスキルを常に発動させているから、攻撃に回せるスキルの数が少ない。
2対3はダメだ。勝てない!撤退しないと!
その時、デュランの槍が白虎の1体に命中した。すると3体共同じ箇所に傷を負った。
デュランが言う
「分身というよりは分裂に近いようです。全てを本体と同期しています。1体に致命傷を与えればこちらの勝ちです!!」
そうか。そうだな。
なら前にどこで使えばいいのか分からないと言っていたスキルが使えるかもしれないな
また今回も大博打だ。
死ぬ確率の方が高いかな
「カイアス!そのスキルはダメだ!ここで使ってはいけない!!あんたまで死んでしまうよ?」
セーレも止めている。
また心配かけてしまうな…セーレすまない…
でもここで逃げるよりはマシだ!
今まで逃げ続けて来たからなぁ。
もう俺は逃げる事はしたくないんだよ
「デュラン!今から俺が白虎を倒す。その後、俺を助けてくれ。頼んだぞ!」
「え?はい!もちろんです。一体何を……」
スキル
〈平等〉
スキル発動中に相手につけた傷、つけられた傷を相手にも与える。
傷の規模は本人のダメージ量に比例する。
俺は白虎の放つ斬撃の前に飛び出した。
爪は俺の身体を切り裂く
血が溢れ、俺の意識は遠のく。
意外と痛くないんだな。
寒いだけだ。
俺に傷をつけた3体の白虎も同様に血が溢れている。
〈平等〉でつけられる傷の位置はランダムだ。だからこそ、白虎3体の斬撃の傷がそれぞれに与えられる。白虎1体についた傷は他の2体にもつけられる。その為、計9箇所に斬撃が与えられる。
薄れ行く意識の中で白虎が倒れるのを見た。
ははは
ドロップアウトって呼ばれ、スキルも使えなかった奴がSSランクの魔獣を倒せるようになるなんてな
そして俺は倒れた
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