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第82話「2022/10/16 ③」
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シヨタはぼくのレデクスを操作する右手はそのままに、左手をぼくの方に向けた。
人差し指の先の爪の部分がパカッと開き、中からタイプCケーブルがシュルシュルと伸びてきた。
シヨタはレデクスの画面を見ながら素早く指を動かしており、そのケーブルを見てはいなかった。
ケーブルはまるで彼とは別に意思があるように、ぼくの手にあるユワのレデクスにゆっくりと近づき、充電ケーブルを差す場所を探し、こっちこっちとぼくが手招きやると、うまく挿さってくれた。
「挿さったみたいだな。パスワードの解析を始める。
ちゃんと"eyePhone14"は注文したし、これからロリコの服を選ぶところだから安心してくれ」
「え、あ、うん。でも、なにそのエロい触手みたいなやつ……キモいよ?」
「君の身体にもついてる機能だぞ」
「ついてないから。たとえついてたとしても、そんなのついてないから」
エクスマキナは、そのすべての指先の爪の下に、左手は各種ケーブル、右手はペンライトやドライバー、カッターナイフ、缶切りといった、便利グッズを内蔵しているという。
「そうか、残念だな。
せっかく右手の人差し指と中指がピンクローターのようになってるのに、ロリコは使わないんだな。
ご主人様の前で使ってみせたら、喜んでくれるだろうに」
「ご主人様! ロリコにもやっぱりついてましたー!!」
「嘘だぞ。信じるなよ」
「まじか、コラ。おい、その人差しと中指、2本とも詰めたるぞ」
こうやって3人で過ごす楽しい時間だけがずっと続いたらいいのに、とぼくは思った。
世界を書き換える力とか、そんなよくわからないものに巻き込まれて、まわりで人がどんどん死んでいく。
ぼくは弱いからロリコやシヨタに守ってもらわなければならない。ふたりの手を汚させなければいけない。
そんなことは、ぼくはもうたくさんだった。
ユワのレデクスのロック画面のパスワードはすぐに解析され、ロックは解除された。
パスワードがわかった瞬間、シヨタがおや? という顔をした。
「どうかしたの?」
「パスワードは"4427"だったんだが、比良坂コヨミの端末と同じなんだ。
比良坂コヨミは前の世界からずっと同じだから、我が主の生年月日かと思っていたんだが」
「ぼくの生年月日は、2005年8月15日だよ。
でもそれは、ぼくが児童養護施設に預けられた日であって、本当の生年月日はぼくも知らない」
「そうか……仮に比良坂コヨミが主の本当の生年月日を知っていたとしても、2004年4月27日だと、主は学年がひとつ変わってしまうな」
「そうだね。母さんが一年だけぼくを育ててくれた可能性もあるけど。"4427"……? なんだかわかる?」
「いや……何だろうな」
0000~9999までの4桁の数字の組み合わせは全部で1万通りある。
約11%が「1234」にしており、「0000」や「4321」、「1010」など、規則性がつかみやすく予想しやすいものが全体の約27%を占めているという。
ちなみに最下位である1万位のパスワードは「8068」らしい。
「"4427"には規則性はないはすだ。予想もしにくいだろう。偶然の一致かもしれない。深い意味はなさそうだな」
「2004年4月27日で"4427"なら、上村コノカ様の誕生日だよ?」
ロリコが言った。
「それか……」
「それだな……」
この街には比良坂47のファンしかいないのだろうか。
あとロリコの推しの人気がヤバすぎた。
ロックの解除には成功したが、その中にはナユタはいなかった。
ユワ曰く、ナユタは「岩戸に隠れた」ことがあったから、そういった場所にいるのではとシヨタがくまなく探してくれた。
シヨタは、その「岩戸」がレデクスのプログラムの最奥部にある「アカシャの門」であることを突き止めてくれたが、そこにもナユタはいなかった。
人差し指の先の爪の部分がパカッと開き、中からタイプCケーブルがシュルシュルと伸びてきた。
シヨタはレデクスの画面を見ながら素早く指を動かしており、そのケーブルを見てはいなかった。
ケーブルはまるで彼とは別に意思があるように、ぼくの手にあるユワのレデクスにゆっくりと近づき、充電ケーブルを差す場所を探し、こっちこっちとぼくが手招きやると、うまく挿さってくれた。
「挿さったみたいだな。パスワードの解析を始める。
ちゃんと"eyePhone14"は注文したし、これからロリコの服を選ぶところだから安心してくれ」
「え、あ、うん。でも、なにそのエロい触手みたいなやつ……キモいよ?」
「君の身体にもついてる機能だぞ」
「ついてないから。たとえついてたとしても、そんなのついてないから」
エクスマキナは、そのすべての指先の爪の下に、左手は各種ケーブル、右手はペンライトやドライバー、カッターナイフ、缶切りといった、便利グッズを内蔵しているという。
「そうか、残念だな。
せっかく右手の人差し指と中指がピンクローターのようになってるのに、ロリコは使わないんだな。
ご主人様の前で使ってみせたら、喜んでくれるだろうに」
「ご主人様! ロリコにもやっぱりついてましたー!!」
「嘘だぞ。信じるなよ」
「まじか、コラ。おい、その人差しと中指、2本とも詰めたるぞ」
こうやって3人で過ごす楽しい時間だけがずっと続いたらいいのに、とぼくは思った。
世界を書き換える力とか、そんなよくわからないものに巻き込まれて、まわりで人がどんどん死んでいく。
ぼくは弱いからロリコやシヨタに守ってもらわなければならない。ふたりの手を汚させなければいけない。
そんなことは、ぼくはもうたくさんだった。
ユワのレデクスのロック画面のパスワードはすぐに解析され、ロックは解除された。
パスワードがわかった瞬間、シヨタがおや? という顔をした。
「どうかしたの?」
「パスワードは"4427"だったんだが、比良坂コヨミの端末と同じなんだ。
比良坂コヨミは前の世界からずっと同じだから、我が主の生年月日かと思っていたんだが」
「ぼくの生年月日は、2005年8月15日だよ。
でもそれは、ぼくが児童養護施設に預けられた日であって、本当の生年月日はぼくも知らない」
「そうか……仮に比良坂コヨミが主の本当の生年月日を知っていたとしても、2004年4月27日だと、主は学年がひとつ変わってしまうな」
「そうだね。母さんが一年だけぼくを育ててくれた可能性もあるけど。"4427"……? なんだかわかる?」
「いや……何だろうな」
0000~9999までの4桁の数字の組み合わせは全部で1万通りある。
約11%が「1234」にしており、「0000」や「4321」、「1010」など、規則性がつかみやすく予想しやすいものが全体の約27%を占めているという。
ちなみに最下位である1万位のパスワードは「8068」らしい。
「"4427"には規則性はないはすだ。予想もしにくいだろう。偶然の一致かもしれない。深い意味はなさそうだな」
「2004年4月27日で"4427"なら、上村コノカ様の誕生日だよ?」
ロリコが言った。
「それか……」
「それだな……」
この街には比良坂47のファンしかいないのだろうか。
あとロリコの推しの人気がヤバすぎた。
ロックの解除には成功したが、その中にはナユタはいなかった。
ユワ曰く、ナユタは「岩戸に隠れた」ことがあったから、そういった場所にいるのではとシヨタがくまなく探してくれた。
シヨタは、その「岩戸」がレデクスのプログラムの最奥部にある「アカシャの門」であることを突き止めてくれたが、そこにもナユタはいなかった。
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