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第52話「2022/10/12 ⑩」
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ぼくのかわいい彼女は、ユワが執事ちゃんの身体に女性器だけでなく男性器をつけたがっていることに対し、
「わかる~~!!」
と、何故か理解を示していた。
「ロリコさん? なんでわかっちゃうのかな?」
ぼくは一応、ロリコの意見を聞いてみることにした。
彼女には、敵対関係にあったシヨタが、ぼくたちの味方になるような提案をした信頼と実績があったからだ。
その言動から、一見お馬鹿さんのように見えるが、実はすごく頭のいい女の子だったからだ。
このどうしようもなくしょうもない話を解決する糸口を今回も提案してくれるかもしれなかった。
「だって、この身体にもし男性器がついてたら、ロリコがご主人様を『やらないか』できるんですよ!!」
やっぱりお馬鹿さんでした!!
「やらないよ?」
ロリコはこの一年半あまり、一体いつの時代のネットを見ていたんだろうか。
そんな装備で大丈夫か、とか、強いられているんだ! とか、そんな時代のネットしか見れない仕様だったのだろうか。
ニコニコ動画で初音ミクばっかり聴いてたり、ハレ晴レユカイを踊ってみたとかばかり観ていたのだろうか。
この一年あまり、ぼくがネットで最高のコンテンツだと思っているのは、さらば青春の光とテレビプロデューサーの佐久間宣行さんのYouTubeなんだけど。
一緒に観てたような気がするのは夢なのかな。それとも、前の世界に記憶を忘れてきちゃったのかな。
「どうしてですか!?」
「どうしてもなの」
『君も大変だな……』
とうとうシヨタに同情されてしまった。
「あーあ、わかってくれるのは、ロリコちゃんだけかぁ……
君たちさ、時代に逆行してちゃだめだよ。
大体この国は元々、江戸時代までは同性愛なんてありふれてて普通のことだったのに、明治になって世界に出ていくために、同性愛を禁じてる宗教を信じる大国の真似をして、同性愛を禁じたんだよ?
それを今さら、同性愛オッケーでーすって大国が言い出したからって、右にならえで元に戻そうとしてるんだよ?」
「雨野の場合、同性愛とかの話じゃないよね?」
執事ちゃんの顔がユワにそっくりな理由を訊ねたとき、
『ユワ様はご自分のことが大好きですから』
確か執事ちゃんはそう言っていたが、本当にその通りだったということなのだろう。
性行為を行う場合も、自分をモデルにした執事ちゃんとしたいということだった。
「あ、そっか。ボクはもうひとりの自分のナユタと愛し合いたいわけだから、同性愛とは違うのか」
「そうだぞ。それはもう、自慰行為とも近親相姦とも違う、現代人には未知すぎる三世紀くらい未来の性の世界の話だぞ」
だからもう、その話はやめてくれ。頼む。
「まぁ、そんな感じでさ、男性器をつけるかつけないか、つけるならどんな形で、どんな大きさがいいかで揉めちゃってね……」
続けるよね、やっぱり。
「いや、執事ちゃんはいらないって言ってるんだろ。何、勝手に形とか大きさとか決めようとしてるんだよ」
「とりあえず、イズモくんのやつ、写真に撮らせてくれない?」
「頼むから、人の話聞こうね!?」
ユワは、レデクスのカメラアプリを起動させると、ソファーの上を四つん這いで移動して、ぼくににじり寄ってきた。
テレビから出てきた貞子のようだった。
「とうとう正体を現したな! 女狐め!!」
ロリコが、ユワとぼくの前に立ちふさがり、ぼくの貞操は守られたかと思いきや、
「あ、そうだ」
と、ユワは車内にあった紙袋を手に取ると、
「ロリコちゃん、これ、あげる」
それをロリコに渡した。
「なんですか? これ」
「今日のログインボーナスでうちに届いた服」
「え? あの赤ずきんちゃんみたいなやつですか!?」
「そーそー、ロリコちゃんに似合いそうだったから、あげようと思って持ってきたんだ」
「まじですか!? ユワ様!! これ、超ほしかったやつ!!」
ぼくのかわいい彼女は、
「うちの主人のつまらないものでよろしければ、どうぞ何枚でも写真をお撮り下さいませ」
ユワがログインボーナスでただでもらった服と引き換えに、ぼくの体をユワに売った。
そして、執事ちゃんの身体につけられる男性器には、ぼくのつまらないものが採用されることになったのである。
ちなみにそのつまらないものは1時間もあれば出来上がってしまうとのことだった。
男性器を機械の身体で再現するための内部構造は、すでにヒラサカグループにデータやサンプルがあり、数枚の写真から3DCGのモデルを作成し、その人工筋肉や人工皮膚を3Dプリンターで作成するだけなのだという。
ロリコは、それだけを1個もらって帰るとか言い出したので、いつかぼくは「やらないか」されてしまうかもしれない……。
「わかる~~!!」
と、何故か理解を示していた。
「ロリコさん? なんでわかっちゃうのかな?」
ぼくは一応、ロリコの意見を聞いてみることにした。
彼女には、敵対関係にあったシヨタが、ぼくたちの味方になるような提案をした信頼と実績があったからだ。
その言動から、一見お馬鹿さんのように見えるが、実はすごく頭のいい女の子だったからだ。
このどうしようもなくしょうもない話を解決する糸口を今回も提案してくれるかもしれなかった。
「だって、この身体にもし男性器がついてたら、ロリコがご主人様を『やらないか』できるんですよ!!」
やっぱりお馬鹿さんでした!!
「やらないよ?」
ロリコはこの一年半あまり、一体いつの時代のネットを見ていたんだろうか。
そんな装備で大丈夫か、とか、強いられているんだ! とか、そんな時代のネットしか見れない仕様だったのだろうか。
ニコニコ動画で初音ミクばっかり聴いてたり、ハレ晴レユカイを踊ってみたとかばかり観ていたのだろうか。
この一年あまり、ぼくがネットで最高のコンテンツだと思っているのは、さらば青春の光とテレビプロデューサーの佐久間宣行さんのYouTubeなんだけど。
一緒に観てたような気がするのは夢なのかな。それとも、前の世界に記憶を忘れてきちゃったのかな。
「どうしてですか!?」
「どうしてもなの」
『君も大変だな……』
とうとうシヨタに同情されてしまった。
「あーあ、わかってくれるのは、ロリコちゃんだけかぁ……
君たちさ、時代に逆行してちゃだめだよ。
大体この国は元々、江戸時代までは同性愛なんてありふれてて普通のことだったのに、明治になって世界に出ていくために、同性愛を禁じてる宗教を信じる大国の真似をして、同性愛を禁じたんだよ?
それを今さら、同性愛オッケーでーすって大国が言い出したからって、右にならえで元に戻そうとしてるんだよ?」
「雨野の場合、同性愛とかの話じゃないよね?」
執事ちゃんの顔がユワにそっくりな理由を訊ねたとき、
『ユワ様はご自分のことが大好きですから』
確か執事ちゃんはそう言っていたが、本当にその通りだったということなのだろう。
性行為を行う場合も、自分をモデルにした執事ちゃんとしたいということだった。
「あ、そっか。ボクはもうひとりの自分のナユタと愛し合いたいわけだから、同性愛とは違うのか」
「そうだぞ。それはもう、自慰行為とも近親相姦とも違う、現代人には未知すぎる三世紀くらい未来の性の世界の話だぞ」
だからもう、その話はやめてくれ。頼む。
「まぁ、そんな感じでさ、男性器をつけるかつけないか、つけるならどんな形で、どんな大きさがいいかで揉めちゃってね……」
続けるよね、やっぱり。
「いや、執事ちゃんはいらないって言ってるんだろ。何、勝手に形とか大きさとか決めようとしてるんだよ」
「とりあえず、イズモくんのやつ、写真に撮らせてくれない?」
「頼むから、人の話聞こうね!?」
ユワは、レデクスのカメラアプリを起動させると、ソファーの上を四つん這いで移動して、ぼくににじり寄ってきた。
テレビから出てきた貞子のようだった。
「とうとう正体を現したな! 女狐め!!」
ロリコが、ユワとぼくの前に立ちふさがり、ぼくの貞操は守られたかと思いきや、
「あ、そうだ」
と、ユワは車内にあった紙袋を手に取ると、
「ロリコちゃん、これ、あげる」
それをロリコに渡した。
「なんですか? これ」
「今日のログインボーナスでうちに届いた服」
「え? あの赤ずきんちゃんみたいなやつですか!?」
「そーそー、ロリコちゃんに似合いそうだったから、あげようと思って持ってきたんだ」
「まじですか!? ユワ様!! これ、超ほしかったやつ!!」
ぼくのかわいい彼女は、
「うちの主人のつまらないものでよろしければ、どうぞ何枚でも写真をお撮り下さいませ」
ユワがログインボーナスでただでもらった服と引き換えに、ぼくの体をユワに売った。
そして、執事ちゃんの身体につけられる男性器には、ぼくのつまらないものが採用されることになったのである。
ちなみにそのつまらないものは1時間もあれば出来上がってしまうとのことだった。
男性器を機械の身体で再現するための内部構造は、すでにヒラサカグループにデータやサンプルがあり、数枚の写真から3DCGのモデルを作成し、その人工筋肉や人工皮膚を3Dプリンターで作成するだけなのだという。
ロリコは、それだけを1個もらって帰るとか言い出したので、いつかぼくは「やらないか」されてしまうかもしれない……。
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