37 / 104
第37話(第20’話)「改変前の世界(テラ0028)③」
しおりを挟む
それから一週間ほど、ぼくは高校を無断欠席した。
コツコツ貯めていた県内通貨で、50インチのテレビと最新のゲーム機をふたつ、ソフトをそれぞれ何本か買った。
ぼくはまずは勇者となって仲間たちと魔王討伐の旅に出た。
魔王を倒すと、今度は悪魔召喚師となり、悪魔を使役し世界中の神話の神々や天使、悪魔と戦い、世界を再創世した。
その後は、コンピューターによって人類が絶滅寸前にまで追いこまれてしまった世界を、戦車に乗って旅をした。
異世界に転移した高校生にもなり、異世界で出会った仲間たちと、10年ほど前に同じように異世界に転移したことで神隠しにあったとされていた父親を探す旅にも出た。
そのゲームは「キヅイセ」というアニメをゲーム化したもので、ロリコにとても顔や服装がよく似ている準ヒロインのピノアという女の子を見る度にぼくの胸は張り裂けそうになった。
ゲームなんてほとんど遊んだことがなかったから、最初は3DCGの綺麗な画面の視点切り替えで車酔いのような症状になったりもしたが、すぐに慣れた。
ストーリーをただ追いかけるだけで、サブクエストなどをやり込んだりしなかったら、ゲームは1本あたり2日か3日あればクリアできてしまった。
まるでノルマでもあるかのように、ぼくは一日中ゲームをし、ゲームをしたまま気を失うように眠り、目を覚ますと再開した。
遊ぶゲームがなくなりそうになると、通販サイトで上位のゲームを片っ端からカートに入れて購入した。
エクスにはクラスメイトたちやコヨミからは毎日"RINNE"のメッセージが来ていたが、ぼくは一度もそれをチェックすることはなかった。すべて非通知にし、メッセージが届いたことさえわからないようにした。
ぼくはただ、ロリコを待っていた。
ロリコさえいてくれたら、ぼくはそれでよかった。
彼女には酷いことをしてしまったから、以前のような関係に戻れるとは思ってはいなかった。
一生そばにいてくれなくてもいい。
ただ一目会えたら、一言謝ることができればよかった。
けれど、一週間が過ぎても二週間が過ぎても、ロリコは帰ってきてくれなかった。
毎日のログインボーナスはすべて県内通貨に換金して、ゲームソフトを購入した。
月曜日は最新の映画のチケット、火曜日は近隣の県の名産品、水曜日は流行の洋服やアクセサリー、木曜日はご当地アイドルグループのライブチケット、金曜日は県内通貨10万円、土日祝は一日を47時間に拡張できるチケット。
一番いらないログインボーナスは、赤いエクスだけのものだからか換金できず、仕方なく使ってゲームをする時間に当てた。
3週間が過ぎる頃、ロリコが帰ってきてくれない代わりに、週末のログインボーナスを利用してコヨミがぼくの部屋にやってきた。
ぼくのエクスを手に持って、生体認証で無理矢理ロックを解除させると、勝手にその日を彼女に合わせて47時間にした。
ぼくの部屋は、遊び終わったゲームソフトや、栄養補助食品のゴミや空になったペットボトルで足の踏み場もないほどになっていた。
コヨミはぼくが黙々とゲームを続ける横でそれを片付けると、一週間以上風呂に入っていなかったぼくを無理矢理裸にし、自分も裸になって風呂に入らせた。
ぼくは特に抵抗しなかった。
あれだけ好きだった女の子の裸を見ても何も思うことはなく、ただ黙って頭や体を洗われた。
肌寒い脱衣場の鏡の前で、裸のままドライヤーで髪を乾かされながら、この子がロリコだったらどんなによかっただろうとぼくは思った。
ぼくの髪を乾かし終わると、コヨミはぼくを後ろから抱きしめた。背中に柔らかくて暖かい胸の感触があった。彼女もまだ裸のままだった。
「ごめんね、ごめんなさい」
彼女はぼくを抱きしめながら、何度も謝罪の言葉を口にした。
「何を謝ってるの?」
ぼくは本当に彼女が何について謝っているのかわからなかった。
「わたし、イズくんの気持ち、全然考えてなかった……
わたしの家の都合とか、わたしの気持ちばっかりイズくんに押しつけて……」
そんなことか、とぼくは思った。
コツコツ貯めていた県内通貨で、50インチのテレビと最新のゲーム機をふたつ、ソフトをそれぞれ何本か買った。
ぼくはまずは勇者となって仲間たちと魔王討伐の旅に出た。
魔王を倒すと、今度は悪魔召喚師となり、悪魔を使役し世界中の神話の神々や天使、悪魔と戦い、世界を再創世した。
その後は、コンピューターによって人類が絶滅寸前にまで追いこまれてしまった世界を、戦車に乗って旅をした。
異世界に転移した高校生にもなり、異世界で出会った仲間たちと、10年ほど前に同じように異世界に転移したことで神隠しにあったとされていた父親を探す旅にも出た。
そのゲームは「キヅイセ」というアニメをゲーム化したもので、ロリコにとても顔や服装がよく似ている準ヒロインのピノアという女の子を見る度にぼくの胸は張り裂けそうになった。
ゲームなんてほとんど遊んだことがなかったから、最初は3DCGの綺麗な画面の視点切り替えで車酔いのような症状になったりもしたが、すぐに慣れた。
ストーリーをただ追いかけるだけで、サブクエストなどをやり込んだりしなかったら、ゲームは1本あたり2日か3日あればクリアできてしまった。
まるでノルマでもあるかのように、ぼくは一日中ゲームをし、ゲームをしたまま気を失うように眠り、目を覚ますと再開した。
遊ぶゲームがなくなりそうになると、通販サイトで上位のゲームを片っ端からカートに入れて購入した。
エクスにはクラスメイトたちやコヨミからは毎日"RINNE"のメッセージが来ていたが、ぼくは一度もそれをチェックすることはなかった。すべて非通知にし、メッセージが届いたことさえわからないようにした。
ぼくはただ、ロリコを待っていた。
ロリコさえいてくれたら、ぼくはそれでよかった。
彼女には酷いことをしてしまったから、以前のような関係に戻れるとは思ってはいなかった。
一生そばにいてくれなくてもいい。
ただ一目会えたら、一言謝ることができればよかった。
けれど、一週間が過ぎても二週間が過ぎても、ロリコは帰ってきてくれなかった。
毎日のログインボーナスはすべて県内通貨に換金して、ゲームソフトを購入した。
月曜日は最新の映画のチケット、火曜日は近隣の県の名産品、水曜日は流行の洋服やアクセサリー、木曜日はご当地アイドルグループのライブチケット、金曜日は県内通貨10万円、土日祝は一日を47時間に拡張できるチケット。
一番いらないログインボーナスは、赤いエクスだけのものだからか換金できず、仕方なく使ってゲームをする時間に当てた。
3週間が過ぎる頃、ロリコが帰ってきてくれない代わりに、週末のログインボーナスを利用してコヨミがぼくの部屋にやってきた。
ぼくのエクスを手に持って、生体認証で無理矢理ロックを解除させると、勝手にその日を彼女に合わせて47時間にした。
ぼくの部屋は、遊び終わったゲームソフトや、栄養補助食品のゴミや空になったペットボトルで足の踏み場もないほどになっていた。
コヨミはぼくが黙々とゲームを続ける横でそれを片付けると、一週間以上風呂に入っていなかったぼくを無理矢理裸にし、自分も裸になって風呂に入らせた。
ぼくは特に抵抗しなかった。
あれだけ好きだった女の子の裸を見ても何も思うことはなく、ただ黙って頭や体を洗われた。
肌寒い脱衣場の鏡の前で、裸のままドライヤーで髪を乾かされながら、この子がロリコだったらどんなによかっただろうとぼくは思った。
ぼくの髪を乾かし終わると、コヨミはぼくを後ろから抱きしめた。背中に柔らかくて暖かい胸の感触があった。彼女もまだ裸のままだった。
「ごめんね、ごめんなさい」
彼女はぼくを抱きしめながら、何度も謝罪の言葉を口にした。
「何を謝ってるの?」
ぼくは本当に彼女が何について謝っているのかわからなかった。
「わたし、イズくんの気持ち、全然考えてなかった……
わたしの家の都合とか、わたしの気持ちばっかりイズくんに押しつけて……」
そんなことか、とぼくは思った。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる