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第8話「2022/10/08 ①」
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翌日の昼、ぼくとコヨミはぼくが住む学生寮の最寄駅であるオハバリ駅で待ち合わせていた。
改札口から出てきたコヨミは、ロリコの格好がぼくの趣味だと思ったのか、セーラーパーカーというのだろうか、白いセーラー服のような萌え袖のパーカーを着ており、その大きめのサイズのパーカーにほとんど隠れてしまうような紺色のミニスカートに、細く長い白い生足に、厚底の白いブーツという格好をしていた。
バッグまでセーラーパーカーに合うような学生らしさとかわいさがあるものを選んでくれていた。
いつもいっしょにいるハムスターのアルジャーノンは今日はいっしょじゃなかった。
高校のブレザー姿の彼女もかわいかったが、目の前の彼女はいつもよりかわいく見えた。
やはりぼくの趣味はロリコンと呼ばれるものかもしれない。高校生のうちにこのおかしな性癖は直さなければと思った。高校生活は残り一年半しかないから大学生までに直そう。
ぼくはといえば、ジャケットにシャツにスキニーパンツにスニーカーという非常に無難な格好で、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
彼女が執事好きとは思ってはいなかったが、それっぽい服を着て来るくらいの遊びをしてもよかったのではないかと思った。
「むむむ……まさかロリコの真似をしてくるなんて………
でも、まだまだ甘いです。ニーハイもランドセルも忘れてくるなんて、とんだお間抜けさんです」
当然とばかりにロリコはいつもの格好でぼくの隣におり、コヨミに敵対心を燃やしていた。
コヨミはおそらく、ニーハイは普段学校でぼくが見慣れているから、あえて生足で来たのだろう。
ぼくはそう思ったが、ロリコには言わないことにした。
それからランドセルは小学生でも週末のデートに背負ってこないからな?
ぼくの隣にロリコがいるように、コヨミの隣にも、ぼくにそっくりのシヨタという執事がいた。
ロリコとシヨタはなぜかにらみ合っていて、
『ロリコのご主人様にそっくりな執事がいるんなら、そのショタ執事で満足してたらいいのに』
『そちらこそ、こんなに見目麗しいロリBBAがいるのなら、お嬢様に迷惑のかからない場所で、その露出狂の変態コスプレ女で満足してもらいたいものだな』
メイドと執事が相手の主人に向けた言葉を代打しあっていたかと思えば、
『BBAって、Bachelor of Business Administrationの略かしら。
わたしが商科大学を卒業した学士に見えるなんて、あなたなかなか見る目があるわね』
『普通にババアなんだが?』
『殺すぞ』
すぐに筆舌に尽くしがたい互いの悪口の言い合いになってしまったため省略する。
ていうか、お前ら普通に相手が見えたり会話できたんだな。
「シヨタ? ちょっといいかしら?」
咎めるようにコヨミに名前を呼ばれたショタ執事は、「ひぃぃぃっ!」と怯えた声を上げ、ぼくの透過型ディスプレイから姿を消した。おそらくコヨミの視界からも姿を消したのだろう。
どうやらシヨタにとって、コヨミは怒らせると怖いお嬢様らしかった。
「ロリコちゃんも、できれば今日は、イズくんとわたしをふたりきりにしてくれないかな?」
『嫌です! ロリコはご主人様から離れません!!
あなたみたいな性悪女にご主人様は渡しません!!』
令和生まれのくせに、コヨミに向かって思いっきりあっかんべーをしたロリコだったが、
「だったら仕方ないわね」
コヨミがそう言うやいなや、ロリコの身体に稲妻のようなものが走り、存在しないはずの骨が見えた。
どうやっているのかまではわからないが、エクスを利用しているのは間違いなかった。
シヨタが怯えるはずだと思った。
「おいおい、うちのかわいいメイドに拷問するなよ」
「拷問じゃないよ。調教だよ。そのうちロリコちゃんも病みつきになると思う」
駅の改札で日常用語みたいに調教とか病みつきとか言うなよ。
「普通にシヨタくん、悲鳴を上げて逃げ出してたように見えたけど?」
コヨミは笑顔だったが、その目が笑っていなかったので、それ以上は詮索しないことにした。
『ご主人様……逃げて……ガクッ……』
ロリコはわざとらしく死んだふりをして、彼女もまたぼくの透過型ディスプレイから姿を消した。
彼女にはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
改札口から出てきたコヨミは、ロリコの格好がぼくの趣味だと思ったのか、セーラーパーカーというのだろうか、白いセーラー服のような萌え袖のパーカーを着ており、その大きめのサイズのパーカーにほとんど隠れてしまうような紺色のミニスカートに、細く長い白い生足に、厚底の白いブーツという格好をしていた。
バッグまでセーラーパーカーに合うような学生らしさとかわいさがあるものを選んでくれていた。
いつもいっしょにいるハムスターのアルジャーノンは今日はいっしょじゃなかった。
高校のブレザー姿の彼女もかわいかったが、目の前の彼女はいつもよりかわいく見えた。
やはりぼくの趣味はロリコンと呼ばれるものかもしれない。高校生のうちにこのおかしな性癖は直さなければと思った。高校生活は残り一年半しかないから大学生までに直そう。
ぼくはといえば、ジャケットにシャツにスキニーパンツにスニーカーという非常に無難な格好で、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
彼女が執事好きとは思ってはいなかったが、それっぽい服を着て来るくらいの遊びをしてもよかったのではないかと思った。
「むむむ……まさかロリコの真似をしてくるなんて………
でも、まだまだ甘いです。ニーハイもランドセルも忘れてくるなんて、とんだお間抜けさんです」
当然とばかりにロリコはいつもの格好でぼくの隣におり、コヨミに敵対心を燃やしていた。
コヨミはおそらく、ニーハイは普段学校でぼくが見慣れているから、あえて生足で来たのだろう。
ぼくはそう思ったが、ロリコには言わないことにした。
それからランドセルは小学生でも週末のデートに背負ってこないからな?
ぼくの隣にロリコがいるように、コヨミの隣にも、ぼくにそっくりのシヨタという執事がいた。
ロリコとシヨタはなぜかにらみ合っていて、
『ロリコのご主人様にそっくりな執事がいるんなら、そのショタ執事で満足してたらいいのに』
『そちらこそ、こんなに見目麗しいロリBBAがいるのなら、お嬢様に迷惑のかからない場所で、その露出狂の変態コスプレ女で満足してもらいたいものだな』
メイドと執事が相手の主人に向けた言葉を代打しあっていたかと思えば、
『BBAって、Bachelor of Business Administrationの略かしら。
わたしが商科大学を卒業した学士に見えるなんて、あなたなかなか見る目があるわね』
『普通にババアなんだが?』
『殺すぞ』
すぐに筆舌に尽くしがたい互いの悪口の言い合いになってしまったため省略する。
ていうか、お前ら普通に相手が見えたり会話できたんだな。
「シヨタ? ちょっといいかしら?」
咎めるようにコヨミに名前を呼ばれたショタ執事は、「ひぃぃぃっ!」と怯えた声を上げ、ぼくの透過型ディスプレイから姿を消した。おそらくコヨミの視界からも姿を消したのだろう。
どうやらシヨタにとって、コヨミは怒らせると怖いお嬢様らしかった。
「ロリコちゃんも、できれば今日は、イズくんとわたしをふたりきりにしてくれないかな?」
『嫌です! ロリコはご主人様から離れません!!
あなたみたいな性悪女にご主人様は渡しません!!』
令和生まれのくせに、コヨミに向かって思いっきりあっかんべーをしたロリコだったが、
「だったら仕方ないわね」
コヨミがそう言うやいなや、ロリコの身体に稲妻のようなものが走り、存在しないはずの骨が見えた。
どうやっているのかまではわからないが、エクスを利用しているのは間違いなかった。
シヨタが怯えるはずだと思った。
「おいおい、うちのかわいいメイドに拷問するなよ」
「拷問じゃないよ。調教だよ。そのうちロリコちゃんも病みつきになると思う」
駅の改札で日常用語みたいに調教とか病みつきとか言うなよ。
「普通にシヨタくん、悲鳴を上げて逃げ出してたように見えたけど?」
コヨミは笑顔だったが、その目が笑っていなかったので、それ以上は詮索しないことにした。
『ご主人様……逃げて……ガクッ……』
ロリコはわざとらしく死んだふりをして、彼女もまたぼくの透過型ディスプレイから姿を消した。
彼女にはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
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