130 / 161
【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。
第130話 秋月文書外典3-3
しおりを挟む
レンジは、超々長刀と化した刀を思い切り振りかざすと、メテオスクエアごと巨大化しつづけるティラノサウルスを真っ二つに切り裂いた。
血飛沫と断末魔の悲鳴を上げ、建物を半壊させながら崩れ落ちていくティラノサウルスを見ながら、
「二階のゲームセンターに生存者は?」
大事なことを聞き忘れていたことに気づいた。
「残念ながら、君に連絡を入れたときにはすでに生存者はいなかったよ」
「そっか」
良かった、と言いかけて、何も良くはないことに気づいた。
神殺しに、一般市民を巻き込み、自分が人を殺さなかったことに安堵している自分に嫌気がさした。
人死にが出ていることにかわりはないのだ。
「そのバカみたいに長い刀は一度置いて、二階のゲームセンターに向かってくれ」
「バカみたいは余計だ。カッコいいの間違いだし」
「ティラノサウルスのせいか君のせいかはもうわからないけど、エレベーターもエスカレーターも壊れている。
だが南側の階段から二階にのぼれるはずだ」
「ジオラマの卵から孵化したって奴等がまだいるわけか」
「今はまだ小型だが、いずれ、というより間もなく、親のように巨大化するだろうアンサーが19体もね」
「ていうか、こいつら、レイヤードレベルいくつなんだよ? なんで向こうから来てくれちゃってるの?」
「レイヤードレベルは不明。
しかし、わざわざ向こうからレベルゼロに降りてきたのには何か理由があるはずだ」
「理由?」
レンジは階段を駆けあがりながら尋ねる。
店内では、「小型」とヨモツが表現した恐竜型のアンサーが、客と従業員の死体を食い散らかしていた。
確かに先ほどの超大型に比べたら小型ではあったが、すでに一般成人男性よりはるかに巨大化していた。
レンジは半壊した店内を全速力で駆けた。
自動防衛機能としてのカマイタチ現象が、小型を次々と細切れにしていった。
「あくまで憶測にすぎないけれど、そのアンサーたちは元々は肉体を持っていなかったのかもしれない」
「肉体を? どういうことだ?」
「魂、あるいは精神、それだけが、本来のレイヤードレベル? の世界に存在し、狩りをするためにはレベルゼロで肉体を用意しなければいけなかった、としか考えられない」
「迷惑極まりないな」
「まったくだ。こんな真夜中に。
おまけに、君が親を真っ二つにし、その子供の大半を細切れにしたというのに、まだ小型が数体生きている。
20体もアンサーが同時に同じ場所に出現した例は過去にない。
君が真っ二つや細切れにしたのは」
「あんまり真っ二つとか細切れとか言わないでくれない? なんか俺がやばい奴みたいに聞こえる」
「戦い方はかなりクレイジーだと思うけどね」
「で? 話の続きは?」
「人の話の腰を折っておきながら、ひどい言いぐさだ」
「悪かったよ」
「目標はもしかしたら、君の八十三式の名前と同じ意味合いの存在かもしれない」
秋月レンジの八十三式強化外骨格の名は、
「全一(ぜんいつ)?」
すべてはひとりのために、ひとりはすべてのために、そんな意味の名がつけられていた。
「つまりは、全部でひとりのアンサーってことか」
「あるいは、残る小型ティラノのどれかが本体で、あとはダミーか、だね。どちらにせよ……」
「小型ティラノを全部殲滅すればいいんだろ?」
「なあ、もう、朝になっちゃったよ」
戦いを終えたレンジは、ヒヒイロカネが元通りの形に修復をはじめたメテオスクエアの屋上でひとり朝日が登り始めるのを見ていた。
「比良坂さん? おーい」
骨伝導で耳から脳へ直接伝わる比良坂ヨモツの寝息を聞きながら、レンジはため息をつくしかなかった。
「こちら、秋月レンジ。研究班の人、聞こえるかな。
てか、チャンネル? 周波数? 電話番号? なんかよくわかんないけど、そういうの合ってる? 聞こえる?」
ヨモツの代わりに、彼の部下である研究班と呼ばれるチームに連絡をとることにした。
レンジは、客や従業員、それからアンサーの死体の回収を依頼すると、その場に崩れ落ちるように意識を失い、眠った。
彼が目を覚まし帰宅する十数時間後、のび太の顔面にめりこむジャイアンのパンチのような一撃をりさから食らうことを、彼はまだ知らないし、世界なんてものは知らなくていいことばかりだ。
知って後悔するか、知らずに後悔するか。
結局世界とは、そういうものだ。
血飛沫と断末魔の悲鳴を上げ、建物を半壊させながら崩れ落ちていくティラノサウルスを見ながら、
「二階のゲームセンターに生存者は?」
大事なことを聞き忘れていたことに気づいた。
「残念ながら、君に連絡を入れたときにはすでに生存者はいなかったよ」
「そっか」
良かった、と言いかけて、何も良くはないことに気づいた。
神殺しに、一般市民を巻き込み、自分が人を殺さなかったことに安堵している自分に嫌気がさした。
人死にが出ていることにかわりはないのだ。
「そのバカみたいに長い刀は一度置いて、二階のゲームセンターに向かってくれ」
「バカみたいは余計だ。カッコいいの間違いだし」
「ティラノサウルスのせいか君のせいかはもうわからないけど、エレベーターもエスカレーターも壊れている。
だが南側の階段から二階にのぼれるはずだ」
「ジオラマの卵から孵化したって奴等がまだいるわけか」
「今はまだ小型だが、いずれ、というより間もなく、親のように巨大化するだろうアンサーが19体もね」
「ていうか、こいつら、レイヤードレベルいくつなんだよ? なんで向こうから来てくれちゃってるの?」
「レイヤードレベルは不明。
しかし、わざわざ向こうからレベルゼロに降りてきたのには何か理由があるはずだ」
「理由?」
レンジは階段を駆けあがりながら尋ねる。
店内では、「小型」とヨモツが表現した恐竜型のアンサーが、客と従業員の死体を食い散らかしていた。
確かに先ほどの超大型に比べたら小型ではあったが、すでに一般成人男性よりはるかに巨大化していた。
レンジは半壊した店内を全速力で駆けた。
自動防衛機能としてのカマイタチ現象が、小型を次々と細切れにしていった。
「あくまで憶測にすぎないけれど、そのアンサーたちは元々は肉体を持っていなかったのかもしれない」
「肉体を? どういうことだ?」
「魂、あるいは精神、それだけが、本来のレイヤードレベル? の世界に存在し、狩りをするためにはレベルゼロで肉体を用意しなければいけなかった、としか考えられない」
「迷惑極まりないな」
「まったくだ。こんな真夜中に。
おまけに、君が親を真っ二つにし、その子供の大半を細切れにしたというのに、まだ小型が数体生きている。
20体もアンサーが同時に同じ場所に出現した例は過去にない。
君が真っ二つや細切れにしたのは」
「あんまり真っ二つとか細切れとか言わないでくれない? なんか俺がやばい奴みたいに聞こえる」
「戦い方はかなりクレイジーだと思うけどね」
「で? 話の続きは?」
「人の話の腰を折っておきながら、ひどい言いぐさだ」
「悪かったよ」
「目標はもしかしたら、君の八十三式の名前と同じ意味合いの存在かもしれない」
秋月レンジの八十三式強化外骨格の名は、
「全一(ぜんいつ)?」
すべてはひとりのために、ひとりはすべてのために、そんな意味の名がつけられていた。
「つまりは、全部でひとりのアンサーってことか」
「あるいは、残る小型ティラノのどれかが本体で、あとはダミーか、だね。どちらにせよ……」
「小型ティラノを全部殲滅すればいいんだろ?」
「なあ、もう、朝になっちゃったよ」
戦いを終えたレンジは、ヒヒイロカネが元通りの形に修復をはじめたメテオスクエアの屋上でひとり朝日が登り始めるのを見ていた。
「比良坂さん? おーい」
骨伝導で耳から脳へ直接伝わる比良坂ヨモツの寝息を聞きながら、レンジはため息をつくしかなかった。
「こちら、秋月レンジ。研究班の人、聞こえるかな。
てか、チャンネル? 周波数? 電話番号? なんかよくわかんないけど、そういうの合ってる? 聞こえる?」
ヨモツの代わりに、彼の部下である研究班と呼ばれるチームに連絡をとることにした。
レンジは、客や従業員、それからアンサーの死体の回収を依頼すると、その場に崩れ落ちるように意識を失い、眠った。
彼が目を覚まし帰宅する十数時間後、のび太の顔面にめりこむジャイアンのパンチのような一撃をりさから食らうことを、彼はまだ知らないし、世界なんてものは知らなくていいことばかりだ。
知って後悔するか、知らずに後悔するか。
結局世界とは、そういうものだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる