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【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。
第107話
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召喚魔法大国ヘブリカ。
召喚魔法使いたちは、世界各国の伝説上の存在や、それ以上の存在を召喚する。
召喚には、通常召喚と機動召喚、究極召喚が存在する。
通常召喚は、リバーステラのロールプレイングゲームに登場する召喚士が使う召喚魔法に近い。
伝説上の存在や、それ以上の存在を一時的に召喚し、その力を借りる召喚魔法である。
陰陽師や戯使遣いといった存在が、式神や戯使を召喚するのも、通常召喚と言える。
機動召喚は、魔法戦士のような剣にも魔法にも長けた存在が、伝説上の存在や、それ以上の存在から武器だけを、戦いながら借りる、機動性に優れた召喚魔法である。
究極召喚は、術者が伝説上の存在や、それ以上の存在に自らの身や魂を明け渡し、一体化する。
術者は二度と人の姿に戻ることはできず、伝説上の存在や、それ以上の存在がこの世界に術者の代わりに生きることになる。
究極召喚を行った者はヘブリカの歴史上ひとりだけだ。
1000年前の第二次魔導大戦で、ヘブリカはカインズと呼ばれる人種の同盟の長として、アベルズに属する国の大半を一度その領土とした。
しかし、極西の島国が浮上し、9つの首を持つ要塞となった際に、戦況は一瞬で逆転した。
だから、ヘブリカのその召喚魔法使いは、極西の島国、つまりはジパングの力を手に入れようとした。
だが、術者の意に反し、究極召喚によって現世に現れた者は、ジパングに対し無条件降伏を宣言した。
その者の名は、ワイナミョイネン。
以来、ワイナミョイネンは、ヘブリカの長でありつづけている。
ワイナミョイネンは、白い髭を長く伸ばした、老人でありながらも逞しい体を持ち、広大な知識と魔法の力を持っていた。
大胆で判断力にも優れていた。
召喚魔法使いたちが召喚する、多くの伝説上の存在の中でも最高クラスの英雄であった。
彼が究極召喚によって現世に現れる前は、伝説以上の存在については、長年謎とされていた。
テラには、神話がひとつしかなかったからだ。
その存在とは、テラから失われたか、意図的に排除された神話に登場する存在ではないのか、と。
伝説の中には、明らかにそれ以前の神話の存在が見え隠れするものがあったからだ。
ワイナミョイネンは、
「私は古代の英雄でもあり、神でもある」
そう宣言した。
「世界の創造も、ハオジ・マワリーなどいう者が行ったことではない。私によるものである」
と。
その後、ワイナミョイネンは、彼に肉体と魂を差し出した召喚魔法使いの力を使い、究極召喚とは異なる、通常召喚を半永久的に継続させる継続召喚魔法を産み出した。
それは、ワイナミョイネンだけが使える特殊な召喚魔法であり、彼に死が訪れるまでは、継続召喚魔法は継続され続けるものであった。
そうして召喚されたイルマリネン、レンミンカイネンのふたりをまず右腕と左腕とし、続いてクッレルヴォ、ヨウカハイネン、アイノ、ロウヒ、キュッリッキといった者たちを召喚した。
彼らは「カレワラ」と名乗り、ヘブリカを完全に独裁国家とした。
ワイナミョイネンは、そしてヘブリカは、17年前、テンス・テラから来た秋月レンジら救厄の聖者たちと「我々」という組織や「匣」との戦いを、ただ傍観する立場を貫いた。
互いに潰し合わせ、万が一大厄災を起こそうとする者が現れるようなら、その者だけはヘブリカが排除する。
そしてまた、その十数年後に訪れるであろう世界の理を変える力を持つ兄弟もまた潰し合わせるのが目的だった。
彼は、アカシックレコードがやってくることを予知していた。
その力を欲していた。
アカシック・インパクトが起き、アトランダム、レムレス、ギガラニカが姿を現した。
アトランダムは、ジパングの陰陽師がすでに跡形もなく破壊した。
レムレスは金字塔(ピラミッド)を狙っている。
ギガラニカもまたおそらくは南ヘブリカ大陸の金字塔を狙っているはずだ。
今ならアカシックレコードを手に入れられる。
ようやくそのときが来た。
彼は、召喚魔法使いすべてに究極召喚を命じた。
そして彼は、ヘブリカの召喚魔法使いたちが、通常召喚も機動召喚も究極召喚も使えなくなっていることを知った。
自ら継続召喚していた者たちが目の前で消えていくのを見た。
「アカシックレコードは、私たちの存在を利用するつもりか……」
そして、彼もまた、かつて彼に肉体と魂を差し出した術者の究極召喚が解け、その肉体から強制的に別の場所に移された。
術者の体は塵芥となり、崩れ落ちた。
召喚魔法使いたちは、世界各国の伝説上の存在や、それ以上の存在を召喚する。
召喚には、通常召喚と機動召喚、究極召喚が存在する。
通常召喚は、リバーステラのロールプレイングゲームに登場する召喚士が使う召喚魔法に近い。
伝説上の存在や、それ以上の存在を一時的に召喚し、その力を借りる召喚魔法である。
陰陽師や戯使遣いといった存在が、式神や戯使を召喚するのも、通常召喚と言える。
機動召喚は、魔法戦士のような剣にも魔法にも長けた存在が、伝説上の存在や、それ以上の存在から武器だけを、戦いながら借りる、機動性に優れた召喚魔法である。
究極召喚は、術者が伝説上の存在や、それ以上の存在に自らの身や魂を明け渡し、一体化する。
術者は二度と人の姿に戻ることはできず、伝説上の存在や、それ以上の存在がこの世界に術者の代わりに生きることになる。
究極召喚を行った者はヘブリカの歴史上ひとりだけだ。
1000年前の第二次魔導大戦で、ヘブリカはカインズと呼ばれる人種の同盟の長として、アベルズに属する国の大半を一度その領土とした。
しかし、極西の島国が浮上し、9つの首を持つ要塞となった際に、戦況は一瞬で逆転した。
だから、ヘブリカのその召喚魔法使いは、極西の島国、つまりはジパングの力を手に入れようとした。
だが、術者の意に反し、究極召喚によって現世に現れた者は、ジパングに対し無条件降伏を宣言した。
その者の名は、ワイナミョイネン。
以来、ワイナミョイネンは、ヘブリカの長でありつづけている。
ワイナミョイネンは、白い髭を長く伸ばした、老人でありながらも逞しい体を持ち、広大な知識と魔法の力を持っていた。
大胆で判断力にも優れていた。
召喚魔法使いたちが召喚する、多くの伝説上の存在の中でも最高クラスの英雄であった。
彼が究極召喚によって現世に現れる前は、伝説以上の存在については、長年謎とされていた。
テラには、神話がひとつしかなかったからだ。
その存在とは、テラから失われたか、意図的に排除された神話に登場する存在ではないのか、と。
伝説の中には、明らかにそれ以前の神話の存在が見え隠れするものがあったからだ。
ワイナミョイネンは、
「私は古代の英雄でもあり、神でもある」
そう宣言した。
「世界の創造も、ハオジ・マワリーなどいう者が行ったことではない。私によるものである」
と。
その後、ワイナミョイネンは、彼に肉体と魂を差し出した召喚魔法使いの力を使い、究極召喚とは異なる、通常召喚を半永久的に継続させる継続召喚魔法を産み出した。
それは、ワイナミョイネンだけが使える特殊な召喚魔法であり、彼に死が訪れるまでは、継続召喚魔法は継続され続けるものであった。
そうして召喚されたイルマリネン、レンミンカイネンのふたりをまず右腕と左腕とし、続いてクッレルヴォ、ヨウカハイネン、アイノ、ロウヒ、キュッリッキといった者たちを召喚した。
彼らは「カレワラ」と名乗り、ヘブリカを完全に独裁国家とした。
ワイナミョイネンは、そしてヘブリカは、17年前、テンス・テラから来た秋月レンジら救厄の聖者たちと「我々」という組織や「匣」との戦いを、ただ傍観する立場を貫いた。
互いに潰し合わせ、万が一大厄災を起こそうとする者が現れるようなら、その者だけはヘブリカが排除する。
そしてまた、その十数年後に訪れるであろう世界の理を変える力を持つ兄弟もまた潰し合わせるのが目的だった。
彼は、アカシックレコードがやってくることを予知していた。
その力を欲していた。
アカシック・インパクトが起き、アトランダム、レムレス、ギガラニカが姿を現した。
アトランダムは、ジパングの陰陽師がすでに跡形もなく破壊した。
レムレスは金字塔(ピラミッド)を狙っている。
ギガラニカもまたおそらくは南ヘブリカ大陸の金字塔を狙っているはずだ。
今ならアカシックレコードを手に入れられる。
ようやくそのときが来た。
彼は、召喚魔法使いすべてに究極召喚を命じた。
そして彼は、ヘブリカの召喚魔法使いたちが、通常召喚も機動召喚も究極召喚も使えなくなっていることを知った。
自ら継続召喚していた者たちが目の前で消えていくのを見た。
「アカシックレコードは、私たちの存在を利用するつもりか……」
そして、彼もまた、かつて彼に肉体と魂を差し出した術者の究極召喚が解け、その肉体から強制的に別の場所に移された。
術者の体は塵芥となり、崩れ落ちた。
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