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【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。
第91話
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「さすがはレンジとステラの子だね。
って普通の人なら言うところだろうけど、そういう台詞は、偉大な両親を持つキミには、何の褒め言葉にはならないだろうからボクは言わないよ。
純粋にキミの才能と、才能に見合うだけの努力をしたキミを認めてる。
夜中じゃなかったら拍手をしたいところだよ」
この人はやっぱりすごい人だな、とサクラは思った。
父や母やピノアが信頼する人なだけある、と。
それからサクラは、イルルと少しだけ話をした。
イルルは、この世界ではアルビノの魔人として生まれることができたが、大厄災が起きる前の世界では、ライトとリードという双子の男の子で、優れた魔法の才能を持ちながらも、ただの人として生まれたために、ピノアをライバル視していたが結局ピノアにはかなわなかったそうだった。
ステラやピノアは、前の世界の双子のイルルより4つ年上だった。
魔人として生まれたことで、魔術学院の他の生徒たちよりもはるかに優れた魔法の才能があった。
ふたりは才能に見合うだけの努力をしたからこそ、誰よりも優れた魔法使いになれたが、まわりの生徒たちは目の前でふたりが自分たち以上の努力をしていたにもかかわらず、それが全く目に入っていなかったそうだ。
魔人だからいいよね、努力しなくても何でも簡単にできちゃうんだもんね、などと言われ、どれだけ努力してもふたりにはかなわないと魔術学院をやめてしまう者までいたそうだ。
「当時のボクは、そういう連中が本当に嫌いだった。
ふたりが連中の何倍も努力しているのを知っていたからね。
まぁボクも、勝手にステラのことを超えた気になっているような、自分を過大評価してる何もわかってない子どもだったけど。
ピノアに本当に憧れてた。尊敬していたし、大好きだった。
ただの人がアルビノの魔人を超えることは無理なのはわかっていた。
でも、ピノアに認められるだけの魔法使いになりたかった」
だから彼女は前の世界でもこの世界でもずっと努力を続けているのだという。
「親から受け継いだ才能を誉めても、親を誉めてることにしかならない。
キミが今している努力をボクは純粋に応援するよ。
へんたいだけど」
イルルは、人を誉めなれていないのか、からかうように最後に余計な言葉を付け加えた後で、
「ちなみにボクは両性具有だから、媚薬の魔法を自分に使ったときは、千古の時の比じゃなかった。死ぬかと思った」
と言った。うらやましいだろう、と。
うらやましかった。
でも、部屋に戻ってすぐに魔法を覚え、自分に媚薬の魔法をかけてするおなにーはすごく気持ちよかった。
新しい魔法を覚えたら、自分へのご褒美に媚薬の魔法でおなにーしてもいい、というルールを決めて、毎日必死で魔法の勉強をした。毎日いっぱいおなにーした。
魔法を覚えるたびに、自分がただの人でしかないことに不満を覚えるようにもなっていた。
だからサクラは、リサが自ら人工的に魔人になり、さらにその血液を父の魔装具のような形状に変化させるのを見て、この人もすごい人だなと思った。
きっと魔法はまだ何も使えないはずだ。
それなのに、ピノアや彼女がお世話になっている父の実家の祖父から聞いた話だけで、エーテルをうまく使えば、サクラの母方の祖父が人工的に生み出された魔人であったように自分も魔人になれるであろうことや、エーテル細胞を持つ魔人の血液には、母やピノアやイルルも知らないような秘密があることに気づいていたのだ。
彼女はそれを試すために、異世界にやって来たのだ。
きっと他にも何か目的があってやってきたに違いなかった。
イルルが自分を応援してくれているように、サクラもまた彼女を応援したいと思った。
リサもまた、ピノアと同じで、サクラにとっては叔母だからだ。
サクラはまだ恋を知らなかったが、リサが、彼女の兄であるサクラの父のことを恋愛的な意味で好きだということには気づいていた。
父や母やエウロペの人々が、異世界に転移した数ヵ月前、サクラはいっしょに異世界に行けなかったが、ナユタとピノアが戦いを終わらせてくれたあとで、サクラもまた異世界に行き、一週間ほど父の実家でリサと生活を共にしたからだ。
彼女が父を見る目は、母が父を見る目と同じであり、ピノアがナユタを見る目や、異世界に行きナユタを連れて帰ってくる前までの父を見る目と同じだった。
兄妹だけど、父のことが大好きなんだな、とわかった。
リサは、自分の髪の毛と母かピノアの銀色の髪の毛のDNAを見比べていたから、人と魔人は同じ世界を見ていても見えている情報量が違うということには気づいているはずだ。
だが、自分が自ら人工的に魔人になったことを、母やピノアやイルルが見ればすぐに気づくだろうということにまでは気づいていないようだった。
サクラは少しの間だけ、自分に母たちの注意を引き付けようと思った。
リサが集めたエーテルよりもさらにたくさんのエーテルを、さらに凝縮したものをいくつも作り出し、サクラは抱きしめるようにしてそれらを取り込んだ。
そして、サクラは、翡翠色の髪と翡翠色の瞳を持つ、限りなくエーテルに近い存在の魔人へと進化した。
彼女は魔人になるだけでなく、自分の姿までも変化していたことにも気づいていなければ、その姿が、かつて「性欲お化け」と呼ばれ、ピノアさえも震え上がらせるほどの、恐ろしい姿であることを知らなかった。
って普通の人なら言うところだろうけど、そういう台詞は、偉大な両親を持つキミには、何の褒め言葉にはならないだろうからボクは言わないよ。
純粋にキミの才能と、才能に見合うだけの努力をしたキミを認めてる。
夜中じゃなかったら拍手をしたいところだよ」
この人はやっぱりすごい人だな、とサクラは思った。
父や母やピノアが信頼する人なだけある、と。
それからサクラは、イルルと少しだけ話をした。
イルルは、この世界ではアルビノの魔人として生まれることができたが、大厄災が起きる前の世界では、ライトとリードという双子の男の子で、優れた魔法の才能を持ちながらも、ただの人として生まれたために、ピノアをライバル視していたが結局ピノアにはかなわなかったそうだった。
ステラやピノアは、前の世界の双子のイルルより4つ年上だった。
魔人として生まれたことで、魔術学院の他の生徒たちよりもはるかに優れた魔法の才能があった。
ふたりは才能に見合うだけの努力をしたからこそ、誰よりも優れた魔法使いになれたが、まわりの生徒たちは目の前でふたりが自分たち以上の努力をしていたにもかかわらず、それが全く目に入っていなかったそうだ。
魔人だからいいよね、努力しなくても何でも簡単にできちゃうんだもんね、などと言われ、どれだけ努力してもふたりにはかなわないと魔術学院をやめてしまう者までいたそうだ。
「当時のボクは、そういう連中が本当に嫌いだった。
ふたりが連中の何倍も努力しているのを知っていたからね。
まぁボクも、勝手にステラのことを超えた気になっているような、自分を過大評価してる何もわかってない子どもだったけど。
ピノアに本当に憧れてた。尊敬していたし、大好きだった。
ただの人がアルビノの魔人を超えることは無理なのはわかっていた。
でも、ピノアに認められるだけの魔法使いになりたかった」
だから彼女は前の世界でもこの世界でもずっと努力を続けているのだという。
「親から受け継いだ才能を誉めても、親を誉めてることにしかならない。
キミが今している努力をボクは純粋に応援するよ。
へんたいだけど」
イルルは、人を誉めなれていないのか、からかうように最後に余計な言葉を付け加えた後で、
「ちなみにボクは両性具有だから、媚薬の魔法を自分に使ったときは、千古の時の比じゃなかった。死ぬかと思った」
と言った。うらやましいだろう、と。
うらやましかった。
でも、部屋に戻ってすぐに魔法を覚え、自分に媚薬の魔法をかけてするおなにーはすごく気持ちよかった。
新しい魔法を覚えたら、自分へのご褒美に媚薬の魔法でおなにーしてもいい、というルールを決めて、毎日必死で魔法の勉強をした。毎日いっぱいおなにーした。
魔法を覚えるたびに、自分がただの人でしかないことに不満を覚えるようにもなっていた。
だからサクラは、リサが自ら人工的に魔人になり、さらにその血液を父の魔装具のような形状に変化させるのを見て、この人もすごい人だなと思った。
きっと魔法はまだ何も使えないはずだ。
それなのに、ピノアや彼女がお世話になっている父の実家の祖父から聞いた話だけで、エーテルをうまく使えば、サクラの母方の祖父が人工的に生み出された魔人であったように自分も魔人になれるであろうことや、エーテル細胞を持つ魔人の血液には、母やピノアやイルルも知らないような秘密があることに気づいていたのだ。
彼女はそれを試すために、異世界にやって来たのだ。
きっと他にも何か目的があってやってきたに違いなかった。
イルルが自分を応援してくれているように、サクラもまた彼女を応援したいと思った。
リサもまた、ピノアと同じで、サクラにとっては叔母だからだ。
サクラはまだ恋を知らなかったが、リサが、彼女の兄であるサクラの父のことを恋愛的な意味で好きだということには気づいていた。
父や母やエウロペの人々が、異世界に転移した数ヵ月前、サクラはいっしょに異世界に行けなかったが、ナユタとピノアが戦いを終わらせてくれたあとで、サクラもまた異世界に行き、一週間ほど父の実家でリサと生活を共にしたからだ。
彼女が父を見る目は、母が父を見る目と同じであり、ピノアがナユタを見る目や、異世界に行きナユタを連れて帰ってくる前までの父を見る目と同じだった。
兄妹だけど、父のことが大好きなんだな、とわかった。
リサは、自分の髪の毛と母かピノアの銀色の髪の毛のDNAを見比べていたから、人と魔人は同じ世界を見ていても見えている情報量が違うということには気づいているはずだ。
だが、自分が自ら人工的に魔人になったことを、母やピノアやイルルが見ればすぐに気づくだろうということにまでは気づいていないようだった。
サクラは少しの間だけ、自分に母たちの注意を引き付けようと思った。
リサが集めたエーテルよりもさらにたくさんのエーテルを、さらに凝縮したものをいくつも作り出し、サクラは抱きしめるようにしてそれらを取り込んだ。
そして、サクラは、翡翠色の髪と翡翠色の瞳を持つ、限りなくエーテルに近い存在の魔人へと進化した。
彼女は魔人になるだけでなく、自分の姿までも変化していたことにも気づいていなければ、その姿が、かつて「性欲お化け」と呼ばれ、ピノアさえも震え上がらせるほどの、恐ろしい姿であることを知らなかった。
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