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第53話 預かり知らぬ戦い
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「ピノアがテラからリバーステラに転移してきたのは、すべての匣を破壊する『黒き匣』と対になる存在、すべての匣を再生する『白き匣』のせいなんだ」
レンジもステラもその匣の存在を知らなかった。
「草詰アリスは原初のテラで黒き匣を生み出した。
同時に、彼女が預かり知らぬところで、その白き匣が生まれていたんだ。
そして、大厄災が起きるたびに、アリスは新たな世界に必ず生まれ、必ず黒き匣を生み出した。その度に白き匣も生まれていた」
レンジたちはイレブンス・テラで、アリスを閉じ込めるためだけにテラを作り、放射性物質のごみ処理場にもした、リバーステラの「我々」という組織を壊滅させた。
その「我々」さえも操っていた「匣」を、黒き匣によってすべて破壊した。
役目を終えた黒き匣は消滅したが、白き匣は存在し続けていたという。
白き匣は、すべての匣を再生するためにリバーステラに渡ろうとしていた。
テラには、ひとりひとりがその気になれば匣を破壊するどころか、世界を滅ぼせるだけの力を持つ者たちがいたからだった。
レンジやステラやピノアをはじめとする救厄の聖者と呼ばれる者たちだった。
当時のテラは、大気中からエーテルが失われたことにより、魔法もまた失われていた。
だが、自らの肉体を構成するエーテル細胞にをエーテルの代わりにすることによって、魔法を使うことができる魔人が存在した。
白き匣は、すべての匣を再生する匣。
すべての匣の最後の砦だ。
彼は、自分が破壊されることを恐れたのだ。
「白き匣は、それ自体の形状を変化させてゲートになることはできても、そのゲートを自分で渡ることができなかった。
だから、誰かにゲートをくぐらせて、その誰かを交通手段として、ゲートを維持しながら少しずつその誰かの衣類や持ち物に擬態していき、渡りきる瞬間にゲートを閉じ、完全に擬態することでリバーステラに渡るしかなかった」
「でも、白き匣は、匣を破壊したレンジくんたちの関係者を巻き込んで、その交通手段にしようとしてた。
だから、戦う力を持ってないサクラちゃんのことを交通手段にしようと、17年間監視してたみたい。
エウロペの城のバルコニーに擬態してサクラちゃんを待っていたみたいだけど、その日に限ってピノアがバルコニーに来ちゃって。
ピノアといっしょにうちに来た白き匣は、おにーちゃんは世界の理を変える力を失ってしまってたけど、わたしがまだその力を持っていたことに気づいてた。
だからすべての匣を再生することよりも、先に力を手に入れようとしたんだ」
「レンジくんやショウゴくんは、2020年から異世界に行ったでしょう?
でもタカミたちは、サトシさんと同じで2009年から異世界に行って、サトシさんは2021年に帰ったけど、タカミたちは2009年に帰ってきた。
わたしは、異世界から帰ってきてからの12年間、ミカナの様子がずっとおかしかったことに気づいてたから、タカミやミカナといっしょに異世界に行ったメイに、ピノアが来たことやずっとミカナの様子がおかしかったことを、LINEで相談したの。
そのときはじめてわかったんだけど、タカミもミカナも知らなかったけど、メイも同じ力を持ってたことがわかった。
向こうの世界のジパングに転移した三人は、三人とも同じ力を持ってたの。
メイはいつか元の世界に帰ったとき、タカミやミカナの力がまだ残っていたら、その力を狙って異世界からやって来る者がいるんじゃないかって異世界にいるときから予測してて、ずっと力を隠してたの。
ミカナの影武者を用意してくれて、白き匣から守ってくれただけじゃなく、ミカナの力をわたしに、メイの力をタカミにくれた。
わたしたちはそうやって、白き匣からミカナを守って、白き匣はピノアが消滅魔法で消滅させてくれた」
スーパーピノアちゃん・サンドリオンは、きっとそのとき生まれた魔法なのだろう、とレンジとステラは思った。
レンジもステラもその匣の存在を知らなかった。
「草詰アリスは原初のテラで黒き匣を生み出した。
同時に、彼女が預かり知らぬところで、その白き匣が生まれていたんだ。
そして、大厄災が起きるたびに、アリスは新たな世界に必ず生まれ、必ず黒き匣を生み出した。その度に白き匣も生まれていた」
レンジたちはイレブンス・テラで、アリスを閉じ込めるためだけにテラを作り、放射性物質のごみ処理場にもした、リバーステラの「我々」という組織を壊滅させた。
その「我々」さえも操っていた「匣」を、黒き匣によってすべて破壊した。
役目を終えた黒き匣は消滅したが、白き匣は存在し続けていたという。
白き匣は、すべての匣を再生するためにリバーステラに渡ろうとしていた。
テラには、ひとりひとりがその気になれば匣を破壊するどころか、世界を滅ぼせるだけの力を持つ者たちがいたからだった。
レンジやステラやピノアをはじめとする救厄の聖者と呼ばれる者たちだった。
当時のテラは、大気中からエーテルが失われたことにより、魔法もまた失われていた。
だが、自らの肉体を構成するエーテル細胞にをエーテルの代わりにすることによって、魔法を使うことができる魔人が存在した。
白き匣は、すべての匣を再生する匣。
すべての匣の最後の砦だ。
彼は、自分が破壊されることを恐れたのだ。
「白き匣は、それ自体の形状を変化させてゲートになることはできても、そのゲートを自分で渡ることができなかった。
だから、誰かにゲートをくぐらせて、その誰かを交通手段として、ゲートを維持しながら少しずつその誰かの衣類や持ち物に擬態していき、渡りきる瞬間にゲートを閉じ、完全に擬態することでリバーステラに渡るしかなかった」
「でも、白き匣は、匣を破壊したレンジくんたちの関係者を巻き込んで、その交通手段にしようとしてた。
だから、戦う力を持ってないサクラちゃんのことを交通手段にしようと、17年間監視してたみたい。
エウロペの城のバルコニーに擬態してサクラちゃんを待っていたみたいだけど、その日に限ってピノアがバルコニーに来ちゃって。
ピノアといっしょにうちに来た白き匣は、おにーちゃんは世界の理を変える力を失ってしまってたけど、わたしがまだその力を持っていたことに気づいてた。
だからすべての匣を再生することよりも、先に力を手に入れようとしたんだ」
「レンジくんやショウゴくんは、2020年から異世界に行ったでしょう?
でもタカミたちは、サトシさんと同じで2009年から異世界に行って、サトシさんは2021年に帰ったけど、タカミたちは2009年に帰ってきた。
わたしは、異世界から帰ってきてからの12年間、ミカナの様子がずっとおかしかったことに気づいてたから、タカミやミカナといっしょに異世界に行ったメイに、ピノアが来たことやずっとミカナの様子がおかしかったことを、LINEで相談したの。
そのときはじめてわかったんだけど、タカミもミカナも知らなかったけど、メイも同じ力を持ってたことがわかった。
向こうの世界のジパングに転移した三人は、三人とも同じ力を持ってたの。
メイはいつか元の世界に帰ったとき、タカミやミカナの力がまだ残っていたら、その力を狙って異世界からやって来る者がいるんじゃないかって異世界にいるときから予測してて、ずっと力を隠してたの。
ミカナの影武者を用意してくれて、白き匣から守ってくれただけじゃなく、ミカナの力をわたしに、メイの力をタカミにくれた。
わたしたちはそうやって、白き匣からミカナを守って、白き匣はピノアが消滅魔法で消滅させてくれた」
スーパーピノアちゃん・サンドリオンは、きっとそのとき生まれた魔法なのだろう、とレンジとステラは思った。
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