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第51話 天然両親
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「ピノアは、レンジくんの家に、サトシさんのところにお世話になってたから、うちに毎日遊びに来れるわけじゃなかった。
だから、自分がいない日も、わたしはちゃんといるよってふたりに伝えたかったんだと思う。
魔法のことはよくわからないし、ピノアは絶対そんなことに使いたくなかったはずだけど、他に使えるものがなくて、自分のフィギュアにムスブを封印したんだ」
もはや、どこからツッコんでいいのか、レンジにはわからなかった。
ただ、雨野家はやばい、ピノアのせいでさらにやばくなってる、ということはわかった。
ピノアもタカミたちも、ムスブを完全に封印できたと思っていた。
しかし、その封印はあくまで一時的なものであり、時間はかかるかもしれないが、力自体をなくさせるか、コントロールする方法を見つけ、いずれは封印を解くつもりだったという。
だが、見つからないまま、十五年が過ぎてしまった。
「でもまさか、肉体しか封印できてなかったなんて……
しかもただ魂だけの存在になったわけじゃない……力を持っていた……
封印されたことも知らず、力を使って自分に都合のいいように自分自身を騙して、ぼくたちといっしょにずっと生活していただなんて……」
「あの子は真実を知っても、わたしたちのことは許すと言ったわ。
今でもナユタが憎いのね……ナユタだけじゃなくピノアのことも殺すって言ってた……」
「ナユタのことはともかく、ピノアのことは自分を封印したからじゃないと思うよ。
今、ナユタとピノアが付き合ってるから、それが許せないんだと思う。
あの子もずっとピノアのことが大好きだったんだろうね」
「そう……
え? ミカナ、今なんて!?」
「え? だから、ナユタとピノア、今付き合ってるって。
この三週間くらい、ナユタの部屋で毎日めっちゃせっくすしてたけど、もしかして気づいてなかったの……?」
「まったく気づいてなかった……
最近ピノアがやけにナユタにべったりだとは思ってたけど……母性本能のもっていきどころがなくて、ナユタにおっぱいをまたあげたりしてるのかなって……」
「ぼくもだ……
たまに二階から変な声が聞こえてくるなぁくらいだった……」
「それ、ピノアのあえぎ声だからね!?
あと、二階からすっごいベッドがギシギシいってたから!!」
「ピノアはよくおかしな遊びを思いつくから……ベッドの上で跳びはねて遊んでるものかと……トランポリン買ってあげようかなとか考えてたよ……うち、庭あるし」
「その新しい遊びで、ふたりでキャハハウフフしてたわけじゃなかったのね……てっきりミカナもいっしょに跳びはねてるとばかり……
わたしとしたことが迂闊だったわ……」
うそでしょー、普通気づくでしょーとミカナは呆れていた。
なんだか、ピノアの次にやばそうなはずのミカナが、レンジとステラの目にはまともに見えていた。
だが、ステラには真依の鈍感さは他人の気がしなかった。たぶん自分も気づかないような気がした。
「ピノアってさ、ある日突然なんの前触れもなく何かしたりするでしょ? まぁ、わたしもだけど。
ナユタに自分が異世界人だってこと話してなかったのに、知ってるものだと思い込んで、1ヶ月くらい前にナユタに身の上話をしちゃったみたいなんだよね。
主に恋ばな。レンジくんとステラさんとの三角関係とか、アンフィスさんのこととか。あと、セーメーさん。
向こうにいたバッハとかモーツァルトとかベートーベンとか、あとピカソとかさ、あ、ジョン・レノンもピノアのこと好きだったみたいだし。でも、あくまで向こうのジョン・レノンだよ。
あ、あと、向こうに映画はないけど、演劇はあったでしょ? 向こうでは舞台俳優してるジャン・レノと名前が似てるからどっちがどっちかわかんなくなってた」
ピノアはマリー・アントワネットやオノ・ヨーコと並んでいたのか……
と、レンジは思った。
ピノアすげえ。マジ半端ない。
あまりの驚きにレンジの語彙力は、小学生レベルにまで落ちていた。
「魔法の話とかも出てきたから、それでナユタはピノアが異世界人だってこと、はじめて知ったみたいだよ。
ピノアが、レンジくんとステラさんの写真とか、サクラちゃんの写真とかを見せたりしてたら、ナユタがサクラちゃんのことかわいいかわいいって誉めて倒して、あの子、やきもちやいちゃったの。
で、その一週間後に、ウィッグとカラコンつけて、VRゲームで遊んでたナユタに添い寝して、サクラちゃんのふりしたうえに、寝ぼけたふりして、ちゅーをせまったらしいよ」
あっ、とタカミと真依は声を上げた。
なぜウィッグとカラコン? と思った日がふたりにはあったらしい。
だから、自分がいない日も、わたしはちゃんといるよってふたりに伝えたかったんだと思う。
魔法のことはよくわからないし、ピノアは絶対そんなことに使いたくなかったはずだけど、他に使えるものがなくて、自分のフィギュアにムスブを封印したんだ」
もはや、どこからツッコんでいいのか、レンジにはわからなかった。
ただ、雨野家はやばい、ピノアのせいでさらにやばくなってる、ということはわかった。
ピノアもタカミたちも、ムスブを完全に封印できたと思っていた。
しかし、その封印はあくまで一時的なものであり、時間はかかるかもしれないが、力自体をなくさせるか、コントロールする方法を見つけ、いずれは封印を解くつもりだったという。
だが、見つからないまま、十五年が過ぎてしまった。
「でもまさか、肉体しか封印できてなかったなんて……
しかもただ魂だけの存在になったわけじゃない……力を持っていた……
封印されたことも知らず、力を使って自分に都合のいいように自分自身を騙して、ぼくたちといっしょにずっと生活していただなんて……」
「あの子は真実を知っても、わたしたちのことは許すと言ったわ。
今でもナユタが憎いのね……ナユタだけじゃなくピノアのことも殺すって言ってた……」
「ナユタのことはともかく、ピノアのことは自分を封印したからじゃないと思うよ。
今、ナユタとピノアが付き合ってるから、それが許せないんだと思う。
あの子もずっとピノアのことが大好きだったんだろうね」
「そう……
え? ミカナ、今なんて!?」
「え? だから、ナユタとピノア、今付き合ってるって。
この三週間くらい、ナユタの部屋で毎日めっちゃせっくすしてたけど、もしかして気づいてなかったの……?」
「まったく気づいてなかった……
最近ピノアがやけにナユタにべったりだとは思ってたけど……母性本能のもっていきどころがなくて、ナユタにおっぱいをまたあげたりしてるのかなって……」
「ぼくもだ……
たまに二階から変な声が聞こえてくるなぁくらいだった……」
「それ、ピノアのあえぎ声だからね!?
あと、二階からすっごいベッドがギシギシいってたから!!」
「ピノアはよくおかしな遊びを思いつくから……ベッドの上で跳びはねて遊んでるものかと……トランポリン買ってあげようかなとか考えてたよ……うち、庭あるし」
「その新しい遊びで、ふたりでキャハハウフフしてたわけじゃなかったのね……てっきりミカナもいっしょに跳びはねてるとばかり……
わたしとしたことが迂闊だったわ……」
うそでしょー、普通気づくでしょーとミカナは呆れていた。
なんだか、ピノアの次にやばそうなはずのミカナが、レンジとステラの目にはまともに見えていた。
だが、ステラには真依の鈍感さは他人の気がしなかった。たぶん自分も気づかないような気がした。
「ピノアってさ、ある日突然なんの前触れもなく何かしたりするでしょ? まぁ、わたしもだけど。
ナユタに自分が異世界人だってこと話してなかったのに、知ってるものだと思い込んで、1ヶ月くらい前にナユタに身の上話をしちゃったみたいなんだよね。
主に恋ばな。レンジくんとステラさんとの三角関係とか、アンフィスさんのこととか。あと、セーメーさん。
向こうにいたバッハとかモーツァルトとかベートーベンとか、あとピカソとかさ、あ、ジョン・レノンもピノアのこと好きだったみたいだし。でも、あくまで向こうのジョン・レノンだよ。
あ、あと、向こうに映画はないけど、演劇はあったでしょ? 向こうでは舞台俳優してるジャン・レノと名前が似てるからどっちがどっちかわかんなくなってた」
ピノアはマリー・アントワネットやオノ・ヨーコと並んでいたのか……
と、レンジは思った。
ピノアすげえ。マジ半端ない。
あまりの驚きにレンジの語彙力は、小学生レベルにまで落ちていた。
「魔法の話とかも出てきたから、それでナユタはピノアが異世界人だってこと、はじめて知ったみたいだよ。
ピノアが、レンジくんとステラさんの写真とか、サクラちゃんの写真とかを見せたりしてたら、ナユタがサクラちゃんのことかわいいかわいいって誉めて倒して、あの子、やきもちやいちゃったの。
で、その一週間後に、ウィッグとカラコンつけて、VRゲームで遊んでたナユタに添い寝して、サクラちゃんのふりしたうえに、寝ぼけたふりして、ちゅーをせまったらしいよ」
あっ、とタカミと真依は声を上げた。
なぜウィッグとカラコン? と思った日がふたりにはあったらしい。
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