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第三部 冬晴(ふゆばれ)
エピローグ
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2020年10月28日の夜、彼は目を覚まし、
「お帰りなさい」
と言ったわたしに、
「ただいま」
と彼は言った。
その声は、人工呼吸器のせいでくぐもってしまっていて、彼はとても嫌そうにしていたので、はずしてあげることにした。
「きれいになったね」
と、彼はそう言ってくれた。
「夢を見ていただけかもしれないけど、ずっと羽衣ちゃんが頑張ってきたのを見ていたよ。
今度はぼくが相当がんばらなきゃ、ぼくが羽衣ちゃんを車や花瓶にしちゃいそうだ」
と、彼は笑った。
そして、まじめな顔をして、
「ぼくと結婚してください」
と、言ってくれた。
でも、すぐに、
「た、退院したら、すぐに指輪を買いに行くから、今のはフライングというか、なんというか……」
と、慌てはじめたので、わたしは12年前と全く変わっていない彼に、思わず笑ってしまった。
わたしはそんな彼の手を握り、12年ぶりにキスをした。
「お帰りなさい」
と言ったわたしに、
「ただいま」
と彼は言った。
その声は、人工呼吸器のせいでくぐもってしまっていて、彼はとても嫌そうにしていたので、はずしてあげることにした。
「きれいになったね」
と、彼はそう言ってくれた。
「夢を見ていただけかもしれないけど、ずっと羽衣ちゃんが頑張ってきたのを見ていたよ。
今度はぼくが相当がんばらなきゃ、ぼくが羽衣ちゃんを車や花瓶にしちゃいそうだ」
と、彼は笑った。
そして、まじめな顔をして、
「ぼくと結婚してください」
と、言ってくれた。
でも、すぐに、
「た、退院したら、すぐに指輪を買いに行くから、今のはフライングというか、なんというか……」
と、慌てはじめたので、わたしは12年前と全く変わっていない彼に、思わず笑ってしまった。
わたしはそんな彼の手を握り、12年ぶりにキスをした。
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**********
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※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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