あなたが創ったこの世界をわたしは壊したい。完全版 （旧題・夏雲 女子高生売春強要事件）

第二部 秋雨（あきさめ）

エピローグ

　１１月２１日昼すぎ、神奈川県横浜市保土ヶ谷の公園前で、同市の高校に通う女子生徒（１６）が全裸で倒れているのを近所の住民が発見した。

　女子生徒は体の４８ヶ所を営利な刃物や鈍器、銃弾などにより損傷しており、病院に運ばれたが、死亡した。

　神奈川県警は殺人死体遺棄事件として捜査本部を設置して調べている。

　保土ヶ谷では夏に、近隣の高校のバスケットボール部で集団覚醒剤所持事件が発生、その後まもなく同高校の女子学生による売春強要事件が発生している。

　相次ぐ悲報に、住民らは衝撃に包まれた。

　全裸で倒れていたのは横浜市の女子高校生・鬼頭結衣さん（１６）。

　雨模様の午後０時４０分ごろ、住民が公園前の道路脇で発見し、すぐに１１０番通報。

　救急隊が駆け付け、最寄りの病院に運ばれたが、死亡が確認された。

　保土ヶ谷署によると、公園のはす向かいにある資材置き場と道路の間の側溝のフタの上に仰向けに倒れていた。

　口の中におう吐物があり、夕方、現場から１００メートル離れた駐車場で、結衣さんのものとみられるＴシャツや半ズボンなどの衣服と黒い靴が見つかった。発見時、心肺停止の状態だった。

　県警は殺人死体遺棄事件と断定して捜査本部を設置。

　何らかの事件に巻き込まれたとみて周辺に不審者がいないか調べるとともに、遺体を司法解剖して死因の特定を急ぐ。

　近くの住民によると、結衣さんは上を向いて足を広げた状態で倒れており、「最初はマネキンかと思った」（男性）という。

　現場そばを正午ごろ通ったという別の男性は「何も気付かなかった」といい、０時半までの約３０分間に遺棄されたとみている。

　捜査本部によると、結衣さんはこの日午前、自宅を１人で出掛けて行方が分からなくなり、午後４時半ごろ、知人の男性が保土ヶ谷署に届けた。

　捜査本部は何者かが結衣さんを連れ去り、現場に遺体を置き去りにした可能性もあるとみている。

　結衣さんは祖父と２人暮らし。両親とは死別している。