マスカレイドアバター ~ひきこもりニート30歳童貞の俺が、魔法使いじゃなくて変身ヒーローになってしまった件。~

雨野 美哉(あめの みかな)

文字の大きさ
上 下
23 / 23

エピローグ

しおりを挟む
 学と蓮治は変身し、十万、いや百万以上の数のマスカレイドアバターを前にしていた。 
「この戦いが終わったら、俺はお前と映画が撮りたい」 
 蓮治が言った。 
 いつかそんな話をふたりでしたことを学は思い出した。 
「そうだな……、でも、俺は罪を償わなくちゃいけない」 
 しかし、学は言った。 
「罪? 何のだ?」 
「俺はこの手で人をたくさん殺したから」 
 蓮治の問いに学はそう答えた。それは蓮治も同じだった。暴走状態にあったとはいえ、そのときの記憶がないとはいえ、何十人という一般人を手にかけていた。四六人のマスカレイドアバターも殺してしまった。それ以前もマスカレイドアバターに変身できるようになってからのわずかな時間で、彼は学と同じようにこれまでの人生で自分に辛酸をなめさせてきた人間を手にかけていた。 
「俺も同じだ。一緒に警察に行くか」 
 蓮治はそう言ったが、学は首を振った。 
「お前にはこの世界を守ってほしい」 
 そう言った。 
 13評議会が、千のコスモの会がまた何かしでかすかもしれない。今、星間戦争を回避できたとしても、いつまたその危機が訪れるかわからない。誰かが世界を守らなければいけない。 
 それができるのは、自分だけなのだ。蓮治は思った。 
「そうか……、じゃ、俺、待ってる。お前が罪の償いを終えるまで」 
 だから蓮治はそう言った。 
 学は仮面の下で笑った。 
「ありがとう。俺がいない間、妹のこと頼んでもいいか?」 
「ははっ、とんだシスコン野郎だぜ」 
 まかせとけ、蓮治は言い、 
「生き残れよ相棒」 
 学の肩を抱いた。 
「ああ」 
 学はうなづき、そしてふたりはマスカレイドアバターの大群に向かっていった。 















「おかえり、お兄ちゃん」 



「ただいま」






しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

処理中です...