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第18話「とりにくチキン、始動」⑧
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・異世界において聖書は、救厄聖書と呼ばれており、それをもとに「アカシャの門」、「千のコスモの会」をはじめとする宗教が存在している。
この世界における神の子にあたる人物は、「アンフィス・バエナ・イポトリル」という人物であり、彼はアカシャの門の開祖である。
アカシャの門は、千のコスモの会が主張する天国や地獄といった死後の世界の存在を否定し、すべての生命は死後、宇宙のどこかに存在するアカシックレコードと呼ばれる宇宙誕生から現在に至るまでのすべてが記録されている場所の情報の一部となると説いた。
「アカシックレコードについては、異世界においても主人公の世界でも同じ役割よ。
主人公の世界では、わたしたちが子どもの頃に地球に帰還した『はやぶさ』が、小惑星イトカワを探査する過程で偶然発見していたか、イトカワの探査は単なる名目に過ぎず、最初からアカシックレコードを見つけることが目的で、すでに発見されていることにするつもり」
と、亜美は言った。
「つまり、主人公の世界では、国連かそれ以上のレベルにある存在がアカシックレコードを閲覧しているというわけか」
「そうなるわね。それに2020年に感染致死率100パーセントのウィルスによる世界規模のパンデミックが起きていることにするわ。
発症したら体中の穴という穴から血液や体液を撒き散らす人間噴水になって、半径50メートル以内にいた者はすべて感染する」
「そのウィルスは人類を間引くために作られたわけだな。
アカシックレコードを閲覧できる存在なら、エネルギーの枯渇や食糧危機に関する具体的な発生年がわかるわけだ」
「そうね。今から軌道エレベーターを建造しはじめたところで完成する前にエネルギーが枯渇する。お金もかかる。だからその前に人類を間引いた方が早いし安上がりという考えね」
・救厄聖書には、旧約聖書の創世記においてエデンの園の中央に植えられたとされる生命の樹セフィロトと、北欧神話に登場する世界樹ユグドラシルを元にした、セフィロラシルという世界樹について記されている。
異世界に神話はひとつしか存在しないが、その神話はこの世界の神話をごちゃまぜにしたものである。
・北欧神話にはヴァルキリーという、戦死者の中から勇者の魂だけを選別し、主オーディンの元へ導く戦乙女が存在するが、異世界におけるヴァルキリーは死者を選別することはなく、あらゆる死者の情報をアカシックレコードへと運ぶ役割を担う。
ヴァルキリーになれる資格があるのは、ペインという国に生まれた女だけであり、男はヴァルキリーにはなれないが死霊や死体を操るネクロマンサーになることはできる。
「悪役としてよく扱われるネクロマンサーが死者を冒涜する存在ではない、ということか。面白いな」
「でも、ペインという国以外ではそのことを知っている者はいないの。あくまで諸外国にとってはネクロマンシーは禁忌とされているという設定よ」
そして、亜美はもっとも重要な設定について語り始めた。
・救厄聖書は、その最後に「大厄災」という終末の予言と、それを止めることができる者たち「救厄の聖者」についての予言でしめくくられている。
大厄災が何であるかについて、千のコスモの会は世界最終魔大戦=ハルマゲドンと定義しているが、実際は異なる。
アカシャの門の歴代の法王だけがその内容について知っているが、ひた隠しにしている。
大厄災とは、現在その世界に生きる人々だけでなく、過去に生きた人々や、人類がその世界に存在したという痕跡さえも跡形もなく消滅させる人災である。いわば、人類の歴史そのもののリセットである。
救厄の聖者たちが大厄災を起こそうとする人物に敗北した場合、その者以外の人類の存在は抹消される。人類は存在しなかったことになり、その者がはじまりとおわりを意味するハオジ・マワリーという名の新たな神となり、自らに似せて人を作り、新たな人類の歴史を始める。
その世界に生きる人々は知るよしもないが、すでに大厄災は9度も起きており、主人公が転移した世界は10番目の世界である。
この世界における神の子にあたる人物は、「アンフィス・バエナ・イポトリル」という人物であり、彼はアカシャの門の開祖である。
アカシャの門は、千のコスモの会が主張する天国や地獄といった死後の世界の存在を否定し、すべての生命は死後、宇宙のどこかに存在するアカシックレコードと呼ばれる宇宙誕生から現在に至るまでのすべてが記録されている場所の情報の一部となると説いた。
「アカシックレコードについては、異世界においても主人公の世界でも同じ役割よ。
主人公の世界では、わたしたちが子どもの頃に地球に帰還した『はやぶさ』が、小惑星イトカワを探査する過程で偶然発見していたか、イトカワの探査は単なる名目に過ぎず、最初からアカシックレコードを見つけることが目的で、すでに発見されていることにするつもり」
と、亜美は言った。
「つまり、主人公の世界では、国連かそれ以上のレベルにある存在がアカシックレコードを閲覧しているというわけか」
「そうなるわね。それに2020年に感染致死率100パーセントのウィルスによる世界規模のパンデミックが起きていることにするわ。
発症したら体中の穴という穴から血液や体液を撒き散らす人間噴水になって、半径50メートル以内にいた者はすべて感染する」
「そのウィルスは人類を間引くために作られたわけだな。
アカシックレコードを閲覧できる存在なら、エネルギーの枯渇や食糧危機に関する具体的な発生年がわかるわけだ」
「そうね。今から軌道エレベーターを建造しはじめたところで完成する前にエネルギーが枯渇する。お金もかかる。だからその前に人類を間引いた方が早いし安上がりという考えね」
・救厄聖書には、旧約聖書の創世記においてエデンの園の中央に植えられたとされる生命の樹セフィロトと、北欧神話に登場する世界樹ユグドラシルを元にした、セフィロラシルという世界樹について記されている。
異世界に神話はひとつしか存在しないが、その神話はこの世界の神話をごちゃまぜにしたものである。
・北欧神話にはヴァルキリーという、戦死者の中から勇者の魂だけを選別し、主オーディンの元へ導く戦乙女が存在するが、異世界におけるヴァルキリーは死者を選別することはなく、あらゆる死者の情報をアカシックレコードへと運ぶ役割を担う。
ヴァルキリーになれる資格があるのは、ペインという国に生まれた女だけであり、男はヴァルキリーにはなれないが死霊や死体を操るネクロマンサーになることはできる。
「悪役としてよく扱われるネクロマンサーが死者を冒涜する存在ではない、ということか。面白いな」
「でも、ペインという国以外ではそのことを知っている者はいないの。あくまで諸外国にとってはネクロマンシーは禁忌とされているという設定よ」
そして、亜美はもっとも重要な設定について語り始めた。
・救厄聖書は、その最後に「大厄災」という終末の予言と、それを止めることができる者たち「救厄の聖者」についての予言でしめくくられている。
大厄災が何であるかについて、千のコスモの会は世界最終魔大戦=ハルマゲドンと定義しているが、実際は異なる。
アカシャの門の歴代の法王だけがその内容について知っているが、ひた隠しにしている。
大厄災とは、現在その世界に生きる人々だけでなく、過去に生きた人々や、人類がその世界に存在したという痕跡さえも跡形もなく消滅させる人災である。いわば、人類の歴史そのもののリセットである。
救厄の聖者たちが大厄災を起こそうとする人物に敗北した場合、その者以外の人類の存在は抹消される。人類は存在しなかったことになり、その者がはじまりとおわりを意味するハオジ・マワリーという名の新たな神となり、自らに似せて人を作り、新たな人類の歴史を始める。
その世界に生きる人々は知るよしもないが、すでに大厄災は9度も起きており、主人公が転移した世界は10番目の世界である。
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