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第10話「小説投稿サイト攻略指南(仮)」②
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ネット小説において、1ページあたりの文字数はどれくらいが妥当なのだろうか?
週刊漫画雑誌などでは、電車1駅で20ページ程度の1話を読み終わるのが良いとされているらしい。1駅というと5分程度ということだろうか。
小説ならば1500文字から2000文字ということになるのだろうか。
改行などを含めて400文字原稿用紙に換算した場合、6~8枚といったところだろう。
だが、その文字数で読者が翌日の更新を楽しみにするだけの引きを用意するのは、いくら破魔矢梨沙でも長編小説では難しいのではないだろうか。
1日に更新するのが2ページ、3ページならどうだろうか。
2ページならなら3000~4000文字、3ページなら4500~6000文字になる。
これを先ほどのように改行を含めて原稿用紙に換算した場合、12~24枚くらいにはなる。
たしか日本を代表するホラー小説家は、デビュー作でありシリーズ化もされた小説で、17ページに一度ずつ引きとなる箇所を作っては中だるみによって読者が飽きてしまわないようにしていたらしい。
あれは単行本や文庫化された際のページ数だったのだろうか。400字詰め原稿用紙の枚数だったのだろうか。
どちらにせよ、引きとなる部分を作るためにはそれだけの枚数が必要となるということだ。
やはり毎日同じ時間に、1日2、3ページの更新が必要になってくる。
それを半年以上続けるとしたら、一体俺は西日野にどれだけの長編小説を書いてもらわなければならないのだろう。
1日あたりの平均を5000文字とした場合、半年で100万文字だ。単行本1冊あたりが10万文字だとしたら、10冊分も書いてもらわなければいけない。
1年かけてもらうなら20冊分だ。
本業の破魔矢梨沙の活動の邪魔になってしまっては、彼女の一ファンとしてあまりにもったいなさすぎる。彼女は学生であり、新作のためにアルバイトもしているのだ。
ある程度読者が定着するか、単行本一冊分程度連載したところで、毎日更新や1日あたり5000文字の連載は一旦やめるべきだろう。
彼女に極力負担がかからない形で連載を続けていくのがいいだろう。
そのあたりは俺の意思を彼女にしっかりと伝え、彼女の意見を優先しなければいけないなと思った。
それに、投稿サイトでは単行本や文庫と違い文章は横書きになる。電車に揺られながらでも読みやすいように、改行を頻繁に行う必要もあった。
それを彼女が最初からするのか、素人の俺が手を加えていいものなのかも応相談案件だった。
俺も彼女と同じだけの文才があったなら、彼女にしっかりと休養や本業の時間をとってもらっている間、スピンオフのような形で本編の裏側を描いたりすることもできるのだが、ないものねだりをしても仕方のない話だ。
とにかく俺は彼女に無理をさせないことを何よりも考えなければいけない。そう思った。
その日の講義をすべて終えると文芸部の部室に向かった。
部室には西日野がひとりいるだけで、
「他の部員は?」
と俺が訪ねると、文芸部の部員は正式には彼女ひとりしかいないことを告げられた。
つまり、彼女が文芸部に入部したときには彼女ひとりだった、ということだろうか?
だったら、昨年度末で廃部になっていなければおかしかった。
「もしかして何かあった? サークル崩壊するような恋愛沙汰とか」
何らかの理由で彼女以外の全員が辞めてしまったのだろうと思ったのだ。
「わたしが入部してすぐ、部員全員で短編小説を書いて、それを全員で批評しあうっていうイベントがあったんだ。
でも実際に書いたのは1年だけで、2~4年の連中は批評するだけだったの」
恋愛沙汰の次にありがちな話だなと思った。
中学や高校の部活でもある新入生いびりの大学バージョンだ。文化部流1年は球拾いだけだぞ的な謎ルール、といったところだろう。
批評というよりは、最初から一切誉めるつもりのない、けなすことが目的の酷評ばかりのものだったに違いない。通販サイトの星ひとつのレビューのようなものだ。
だが、それで1年が全員やる気を失い辞めてしまったとはいえ、2~4年までいなくなってしまうというのはおかしな話だった。
週刊漫画雑誌などでは、電車1駅で20ページ程度の1話を読み終わるのが良いとされているらしい。1駅というと5分程度ということだろうか。
小説ならば1500文字から2000文字ということになるのだろうか。
改行などを含めて400文字原稿用紙に換算した場合、6~8枚といったところだろう。
だが、その文字数で読者が翌日の更新を楽しみにするだけの引きを用意するのは、いくら破魔矢梨沙でも長編小説では難しいのではないだろうか。
1日に更新するのが2ページ、3ページならどうだろうか。
2ページならなら3000~4000文字、3ページなら4500~6000文字になる。
これを先ほどのように改行を含めて原稿用紙に換算した場合、12~24枚くらいにはなる。
たしか日本を代表するホラー小説家は、デビュー作でありシリーズ化もされた小説で、17ページに一度ずつ引きとなる箇所を作っては中だるみによって読者が飽きてしまわないようにしていたらしい。
あれは単行本や文庫化された際のページ数だったのだろうか。400字詰め原稿用紙の枚数だったのだろうか。
どちらにせよ、引きとなる部分を作るためにはそれだけの枚数が必要となるということだ。
やはり毎日同じ時間に、1日2、3ページの更新が必要になってくる。
それを半年以上続けるとしたら、一体俺は西日野にどれだけの長編小説を書いてもらわなければならないのだろう。
1日あたりの平均を5000文字とした場合、半年で100万文字だ。単行本1冊あたりが10万文字だとしたら、10冊分も書いてもらわなければいけない。
1年かけてもらうなら20冊分だ。
本業の破魔矢梨沙の活動の邪魔になってしまっては、彼女の一ファンとしてあまりにもったいなさすぎる。彼女は学生であり、新作のためにアルバイトもしているのだ。
ある程度読者が定着するか、単行本一冊分程度連載したところで、毎日更新や1日あたり5000文字の連載は一旦やめるべきだろう。
彼女に極力負担がかからない形で連載を続けていくのがいいだろう。
そのあたりは俺の意思を彼女にしっかりと伝え、彼女の意見を優先しなければいけないなと思った。
それに、投稿サイトでは単行本や文庫と違い文章は横書きになる。電車に揺られながらでも読みやすいように、改行を頻繁に行う必要もあった。
それを彼女が最初からするのか、素人の俺が手を加えていいものなのかも応相談案件だった。
俺も彼女と同じだけの文才があったなら、彼女にしっかりと休養や本業の時間をとってもらっている間、スピンオフのような形で本編の裏側を描いたりすることもできるのだが、ないものねだりをしても仕方のない話だ。
とにかく俺は彼女に無理をさせないことを何よりも考えなければいけない。そう思った。
その日の講義をすべて終えると文芸部の部室に向かった。
部室には西日野がひとりいるだけで、
「他の部員は?」
と俺が訪ねると、文芸部の部員は正式には彼女ひとりしかいないことを告げられた。
つまり、彼女が文芸部に入部したときには彼女ひとりだった、ということだろうか?
だったら、昨年度末で廃部になっていなければおかしかった。
「もしかして何かあった? サークル崩壊するような恋愛沙汰とか」
何らかの理由で彼女以外の全員が辞めてしまったのだろうと思ったのだ。
「わたしが入部してすぐ、部員全員で短編小説を書いて、それを全員で批評しあうっていうイベントがあったんだ。
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恋愛沙汰の次にありがちな話だなと思った。
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批評というよりは、最初から一切誉めるつもりのない、けなすことが目的の酷評ばかりのものだったに違いない。通販サイトの星ひとつのレビューのようなものだ。
だが、それで1年が全員やる気を失い辞めてしまったとはいえ、2~4年までいなくなってしまうというのはおかしな話だった。
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◆◇◆◇
もくじ
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四章 スノウドロップ
伍章 ジンギ!
六章 あなた好みに切ってください
七章 コバヤシ君の日報
八章 カラスたちの戯れ
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