小説投稿サイト攻略指南小説「美少女フィギュアのパンツを見るのが何より好きな俺は、理想のヒロインのパンツ見たさにラノベ作家になることにした。」

雨野 美哉(あめの みかな)

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第9話「小説投稿サイト攻略指南(仮)」①

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 俺は1限の講義が始まる午前9時までの間、近くにある公園でひとり過ごすことになった。

 正直なところ、西日野が本当に小説を書いてくれるのか、深夜や徹夜明けのテンションで思わず口走ってしまっただけじゃないのか不安ではあった。
 だが、破魔矢梨沙という作家はその作品の内容だけでなく、筆の速さに定評がある作家でもあったから、本当に小説を書いてくれたならいつでも投稿できるよう今のうちに準備しておくことにした。

 一番有名な小説投稿サイトは、やはり「小説家になりやがれ」であり、書籍化やアニメ化への最短コースだろう。
 しかし、このサイトはあまりに有名すぎるために、投稿者も投稿作品も他のサイトと比べると桁違いだ。いくらあの破魔矢梨沙といえども、ペンネームが違えば評価されずに埋もれてしまう可能性があった。

 他に有名なのは「カケヨメ」、「オメガポリス」、「ノベルアッパー」といったところだろうか。
 なりやがれよりは投稿者や投稿作品が少ない分、作品が評価されずに埋もれてしまう可能性は低いように思えた。

 なりやがれもそうだが、各サイトは常に何かしらのジャンルの賞を開催している。だが、いずれも閲覧回数が少なければ最終審査にはたどりつけないようだ。

 オメガポリスだけは閲覧回数ではなく、独自のポイント制度を採用しており、24時間以内のポイントが1500を超えていれば書籍化申請が出せるシステムがあった。
 申請すれば閲覧数が少なくとも編集者が読むことになるのだろうか。それとも閲覧数が少なければ門前払いだろうか。そこまではよくわからないが、書籍化に一番近いのはオメガポリスのようにも思えた。

 カケヨメとオメガポリスがなりやがれと大きく違うのは、アフィリエイト機能があり、ヨーチューバーのように広告収入だけで生計を立てることも不可能ではないということだろう。ノベルアッパーにはどうやら読者が作者にお布施をする機能があるようだった。

 破魔矢梨沙をつかまえておいて、どこまでいけるかはまだ未知数だと言うのはおそれ多い話だが、本当に未知数なのだから仕方がない。
 だが、広告収入が発生したなら、西日野に全額もらってもらうつもりだった。彼女にとってははした金だろうが、通販サイトのポイントに還元できるようだから、本業の破魔矢梨沙の活動の資料購入くらいには役立つだろう。

 どのサイトも結局は閲覧回数がものを言うというわけだが、どうやらサイトごとに読者層が異なるようだ。
 なりやがれやカケヨメではまったく読まれなかった作品が、オメガポリスやノベルアッパーでは多く読まれたり、その逆もあるのだという。
 だから俺は一応その4つに「とりにくチキン」の名でアカウントを作成することにした。

 投稿を開始するのは、西日野がある程度小説を書き進めてからがいいだろう。
 毎日決まった時間に更新するのが望ましいようだ。どのサイトも予約投稿機能があるようだから、これについては特に問題はない。
 問題は何時に更新するかだ。
 読者はパソコンからではなくスマホで読むことが多い。スマホで時間を潰すのは、やはり通学や通勤の時間帯と帰宅ラッシュの時間帯だろう。午後6時か7時頃の更新が良いのだろうか。午前と午後どちらが良いのかはやってみなければわからなかった。

 また、1ページあたりの文字数も重要になってくる。
 1ページあたりに掲載できる文字数は最大数万文字に一応はなってはいるが、仮に1ページに1万文字もあったら、おそらく読者は読む気を失うだろう。それに10万文字の長編作品が10日で連載終了になってしまうことにもなる。
 10日で連載終了してしまっては、最新更新作品としてサイトのトップページに紹介されるのが、その10日間だけになり、後は作品がただ埋もれていくだけだ。
 できるだけ長期間、半年か、あるいは1年か、毎日決まった時間に更新し続けていく必要があった。

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