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【第四部(全年齢対象部分のみ)】「もしイセ。」もしも、えっちなことをしてる途中で異世界転移しちゃったら。
第1話 プロローグ1 女王暗殺命令1
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17年前、世界から魔法が失われた。
ライシア大陸の西側、エイシア地方のさらに極西、竜の形をした島国には、翡翠色をした双塔の城が存在する。
その城は今、むせ返るほどの鉄さびのようなにおいが充満していた。
そのにおいは鉄さびのものなどではなく、足の踏み場もないほどに転がった死体から流れ出た血のにおいだった。
雲ひとつない空に月が3つ浮かぶ美しい夜に、その惨劇は起きていた。
城内に設置された陰陽エレベーターの中で、血にまみれた甲冑を身にまとった騎士風の男は、苦悶に満ちた表情をしていた。
歯を食いしばり、納得のいかない任務を遂行する中、奥歯が3つも割れていた。そのことにも、口の中に広がる血の味にさえ気づかないほど、彼は苦悩していた。
城には防人(さきもり)や陰陽師と呼ばれる兵士たちがいたが、彼らは何故か無抵抗だった。
それ相応の抵抗があるだろうと覚悟していた。
抵抗してくれた方がまだ良かった。
たとえ無抵抗であろうが、彼らを殺害しなければならなかったからだ。
それが、男が受けた命令だった。
だが男は、そんなことをするために竜騎士になったわけではなかった。
男の名は、ニーズヘッグ・ファフニール。
大陸の東にあるランスの竜騎士団長を務める聖竜騎士だった。
彼は、城のふたつの塔のうちのひとつ、「返璧(たまがえし)の塔」の最上階に向かっていた。
17年前に世界から魔法が失われたのは、魔法の源となる大気中に存在する魔素、エーテルが世界から失われたためだった。
魔法使いたちは手のひらにエーテルを集め、火や水、風や土といったものを司る精霊たちから力を借り、魔法を放つ。
その精霊たちもまた、エーテルの消失とともに、その身を隠していた。
エーテルは、魔法の源となるだけでなく、マキナと呼ばれる魔導機械の動力源にもなっていた。
だが、エーテルが失われても、その国のマキナはいまだに動いていた。
今まさに彼を最上階へと運ぶ陰陽エレベーターがその証拠だ。
魔法大国の女王が、ランスの国王に告げたように、エーテルは失われたのではなく、この国が独占していたのだ。
城が双塔の形状をしているのは、その国は二大女王制という珍しい国家だったからだ。
最上階にある女王の間には、返璧マヨリという女王がおり、もう片方の塔には白璧リサ(しらたま りさ)という女王がいる。
竜騎士団の部隊長を務める四人もまた、今頃は陰陽エレベーターで白璧の塔の最上階に向かっていることだろう。
ニーズヘッグは最上階を目指してはいたが、陰陽エレベーターは最上階まで直通というわけではなかった。
途中で止まらないで欲しかった。
彼が国王から受けた命令は、城にいる者はすべて皆殺しにし、そしてふたりの女王の首を祖国へと持ち帰ることであった。
槍の使い手である彼には、女王の首を斬り落とすためだけの処刑用の剣が渡されていた。
女王の首だけは何としても持ち帰らなければならないが、これ以上無駄な血を流したくなかった。
命に背いたことにより、竜騎士団長の座を降ろされることなったとしても、別に構わないとすら思えた。
たとえ、自分が今持つ処刑用の剣で首をはねられることになったとしても、
だが、その願いもむなしく、陰陽エレベーターは最上階を目前にして停止した。
ニーズヘッグは、自分はもはや、1000年の歴史を持つランスの竜騎士団の、代々の団長だけに与えられる聖竜騎士などではないと思った。
竜騎士ですらない。騎士でもない。
騎士道精神など持たない、人の命を奪うただの暗殺者だ。
そう思い込むことにした。
そうでもしなければ、扉が開いた先にいる者を殺すことは、彼にはもうできなかった。
扉が開いた瞬間に、彼は槍を突き出した。
痛みを感じることもなく、死に対する恐怖すら与えたくなかった。
だから、一瞬で仕留めるために、彼の最大の技を浴びせた。
しかし、その技は簡単に払いのけられた。
彼は何が起きたのかわからなかった。
それは誰にも破られたことのない技だったからだ。
だが、反撃されることはなく、
「ランスの聖竜騎士様ともあろうお方が、こんなところで何をしてらっしゃるのかしら?」
返ってきたのは、そんな言葉だった。
ライシア大陸の西側、エイシア地方のさらに極西、竜の形をした島国には、翡翠色をした双塔の城が存在する。
その城は今、むせ返るほどの鉄さびのようなにおいが充満していた。
そのにおいは鉄さびのものなどではなく、足の踏み場もないほどに転がった死体から流れ出た血のにおいだった。
雲ひとつない空に月が3つ浮かぶ美しい夜に、その惨劇は起きていた。
城内に設置された陰陽エレベーターの中で、血にまみれた甲冑を身にまとった騎士風の男は、苦悶に満ちた表情をしていた。
歯を食いしばり、納得のいかない任務を遂行する中、奥歯が3つも割れていた。そのことにも、口の中に広がる血の味にさえ気づかないほど、彼は苦悩していた。
城には防人(さきもり)や陰陽師と呼ばれる兵士たちがいたが、彼らは何故か無抵抗だった。
それ相応の抵抗があるだろうと覚悟していた。
抵抗してくれた方がまだ良かった。
たとえ無抵抗であろうが、彼らを殺害しなければならなかったからだ。
それが、男が受けた命令だった。
だが男は、そんなことをするために竜騎士になったわけではなかった。
男の名は、ニーズヘッグ・ファフニール。
大陸の東にあるランスの竜騎士団長を務める聖竜騎士だった。
彼は、城のふたつの塔のうちのひとつ、「返璧(たまがえし)の塔」の最上階に向かっていた。
17年前に世界から魔法が失われたのは、魔法の源となる大気中に存在する魔素、エーテルが世界から失われたためだった。
魔法使いたちは手のひらにエーテルを集め、火や水、風や土といったものを司る精霊たちから力を借り、魔法を放つ。
その精霊たちもまた、エーテルの消失とともに、その身を隠していた。
エーテルは、魔法の源となるだけでなく、マキナと呼ばれる魔導機械の動力源にもなっていた。
だが、エーテルが失われても、その国のマキナはいまだに動いていた。
今まさに彼を最上階へと運ぶ陰陽エレベーターがその証拠だ。
魔法大国の女王が、ランスの国王に告げたように、エーテルは失われたのではなく、この国が独占していたのだ。
城が双塔の形状をしているのは、その国は二大女王制という珍しい国家だったからだ。
最上階にある女王の間には、返璧マヨリという女王がおり、もう片方の塔には白璧リサ(しらたま りさ)という女王がいる。
竜騎士団の部隊長を務める四人もまた、今頃は陰陽エレベーターで白璧の塔の最上階に向かっていることだろう。
ニーズヘッグは最上階を目指してはいたが、陰陽エレベーターは最上階まで直通というわけではなかった。
途中で止まらないで欲しかった。
彼が国王から受けた命令は、城にいる者はすべて皆殺しにし、そしてふたりの女王の首を祖国へと持ち帰ることであった。
槍の使い手である彼には、女王の首を斬り落とすためだけの処刑用の剣が渡されていた。
女王の首だけは何としても持ち帰らなければならないが、これ以上無駄な血を流したくなかった。
命に背いたことにより、竜騎士団長の座を降ろされることなったとしても、別に構わないとすら思えた。
たとえ、自分が今持つ処刑用の剣で首をはねられることになったとしても、
だが、その願いもむなしく、陰陽エレベーターは最上階を目前にして停止した。
ニーズヘッグは、自分はもはや、1000年の歴史を持つランスの竜騎士団の、代々の団長だけに与えられる聖竜騎士などではないと思った。
竜騎士ですらない。騎士でもない。
騎士道精神など持たない、人の命を奪うただの暗殺者だ。
そう思い込むことにした。
そうでもしなければ、扉が開いた先にいる者を殺すことは、彼にはもうできなかった。
扉が開いた瞬間に、彼は槍を突き出した。
痛みを感じることもなく、死に対する恐怖すら与えたくなかった。
だから、一瞬で仕留めるために、彼の最大の技を浴びせた。
しかし、その技は簡単に払いのけられた。
彼は何が起きたのかわからなかった。
それは誰にも破られたことのない技だったからだ。
だが、反撃されることはなく、
「ランスの聖竜騎士様ともあろうお方が、こんなところで何をしてらっしゃるのかしら?」
返ってきたのは、そんな言葉だった。
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