173 / 266
【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第173話 アンサー
しおりを挟む
処刑されたキリストが三日後に復活を遂げたという話はレンジも知っていた。
だが、父とショウゴによれば、キリストはその後、数人の使者を連れて日本に渡来したという説があるのだという。
日本にはキリストの墓が存在し、伊勢神宮にはユダヤ人がダビデの星と呼んでいた六芒星が刻まれたものが存在するという。
キリストが来日した際に、ロンギヌスの槍もまた日本に持ち込まれ、草薙の剣と呼ばれるようになったということだった。
「匣は、箱の形をしているとは限らないんだ。
ロンギヌスの槍は、形状を自由に変化させることが出来た」
だから、日本に持ち込まれてからは、剣の形となり、草薙の剣と呼ばれるようになったのだという。
「ロンギヌスの槍を手にした者が世界を制する力を持つ、という話は知っているか?」
レンジは父の言葉にうなづいた。
「だから、第二次世界大戦のとき、ヒトラーが血眼になってそれを探してたって何かで読んだことがあるよ」
彼もまさか同盟国であった日本にそれがあったとは思いもよらなかっただろう。
「ロンギヌスの槍が世界を制する力を持つと言われていたのは、キリストの処刑の際に使われたからでも、形状が変化するからでもないんだ。
匣はすべて、古代のリバーステラに、現在のリバーステラやテラよりもはるかに進歩した文明がもたらした、超小型大容量記憶端末だったからだ」
アンサーと呼ばれる、外宇宙からやってきた古代宇宙飛行士という存在が複数存在し、72個の匣をもたらしたのだという。
日本に存在した3つの匣は、元々邪馬台国が持っていたが、大和朝廷に奪われたのだという。
その後は大和朝廷の王が代々管理していたが、藤原家がそれを奪い、朝廷の実権を握ってしまった。
そして平将門の手に渡り、次は平氏の時代が訪れたが、壇之浦の戦いの際に源義経がそれを手にした。
壇之浦では、幼い天皇が草薙の剣と共に入水自殺をしたとされているが、天皇は剣を義経に託していた。
だから源頼朝は匣を奪うために義経を殺そうとしたが、義経は匣を頼朝に差し出し、そして大陸へと渡り、チンギス・ハンになったという。
「じゃあ、明智光秀が本能寺の変を起こしたのも……」
「匣の存在に気づいた秀吉が、光秀に命じたからだ。
だが、同じ命令を彼は家康からも受けていた。
光秀は、用済みになれば自分が秀吉に殺されるとわかっていた。
だから、家康に天下を取らせ、天海という名の坊主になり、江戸幕府を支える重鎮となった」
江戸時代の末期に起きた黒船の来訪もまた、鎖国を終わらせ、日本にある3つの匣を奪うのが目的であったという。
幕末の時代、新選組は幕府が持つ匣を守るために戦った。
だが、坂本龍馬が匣のひとつを手にしてしまったため、原田佐之助ら新選組の隊士たちは土方歳三の指示を受け、匣を奪うために龍馬を暗殺した。
そのときにはもう、土方歳三の目的は、近藤勇に天下を取らせることへと変わっていたという。
幕府への忠誠心は彼には元々なく、彼にあるのは近藤勇への忠誠心だけであった。
近藤勇を征夷大将軍とする新たな幕府を開くこと、そして匣の力で沖田総司の結核を治すことが彼の目的だった。
だが、土方歳三は匣を手にすることも、龍馬を暗殺することもかなわなかった。
匣はすでに西郷隆盛たちに渡されており、龍馬は西郷らによって殺害されていた。
幕府は滅び、再び天皇が匣をすべて手にした。
しかし、匣は間もなく軍のものになり、最終的には東條英機の手に渡った。
そして、日本には二発の原爆が落とされた。
日本でも原爆の開発は進められていたが、原子力を利用した発電や核兵器は、匣がもたらした技術であった。
合衆国もまた匣を複数所持しており、匣がもたらした技術の威力と試すと同時に、匣を奪うために原爆を落とした。
日本に存在した3つの匣はGHQに奪われた。
合衆国はその後も戦争を続け、00年代にアフガニスタンとイラクから匣を回収し、そのすべてを揃えた。
それが、日本における匣をめぐる戦争の歴史であった。
匣はすべて回収し、アリスが作ったという73番目の匣によって完全に消滅させなければいけなかった。
匣は大東洋に沈んでいると思われたが、それ自体に移動手段があるのか、まるで願いをかなえたあとのドラゴンボールのように、すでに世界中に散っていた。
ドラゴンボールは七つ集めれば良いが、匣は72個もあった。
ジパングのふたりの女王・マヨリとリサが匣の大体の場所をサーチし、レンジとピノア、ショウゴとイルルは二人で一組となり、サトシとサタナハマアカは単独で匣を探すことになった。
だが、父とショウゴによれば、キリストはその後、数人の使者を連れて日本に渡来したという説があるのだという。
日本にはキリストの墓が存在し、伊勢神宮にはユダヤ人がダビデの星と呼んでいた六芒星が刻まれたものが存在するという。
キリストが来日した際に、ロンギヌスの槍もまた日本に持ち込まれ、草薙の剣と呼ばれるようになったということだった。
「匣は、箱の形をしているとは限らないんだ。
ロンギヌスの槍は、形状を自由に変化させることが出来た」
だから、日本に持ち込まれてからは、剣の形となり、草薙の剣と呼ばれるようになったのだという。
「ロンギヌスの槍を手にした者が世界を制する力を持つ、という話は知っているか?」
レンジは父の言葉にうなづいた。
「だから、第二次世界大戦のとき、ヒトラーが血眼になってそれを探してたって何かで読んだことがあるよ」
彼もまさか同盟国であった日本にそれがあったとは思いもよらなかっただろう。
「ロンギヌスの槍が世界を制する力を持つと言われていたのは、キリストの処刑の際に使われたからでも、形状が変化するからでもないんだ。
匣はすべて、古代のリバーステラに、現在のリバーステラやテラよりもはるかに進歩した文明がもたらした、超小型大容量記憶端末だったからだ」
アンサーと呼ばれる、外宇宙からやってきた古代宇宙飛行士という存在が複数存在し、72個の匣をもたらしたのだという。
日本に存在した3つの匣は、元々邪馬台国が持っていたが、大和朝廷に奪われたのだという。
その後は大和朝廷の王が代々管理していたが、藤原家がそれを奪い、朝廷の実権を握ってしまった。
そして平将門の手に渡り、次は平氏の時代が訪れたが、壇之浦の戦いの際に源義経がそれを手にした。
壇之浦では、幼い天皇が草薙の剣と共に入水自殺をしたとされているが、天皇は剣を義経に託していた。
だから源頼朝は匣を奪うために義経を殺そうとしたが、義経は匣を頼朝に差し出し、そして大陸へと渡り、チンギス・ハンになったという。
「じゃあ、明智光秀が本能寺の変を起こしたのも……」
「匣の存在に気づいた秀吉が、光秀に命じたからだ。
だが、同じ命令を彼は家康からも受けていた。
光秀は、用済みになれば自分が秀吉に殺されるとわかっていた。
だから、家康に天下を取らせ、天海という名の坊主になり、江戸幕府を支える重鎮となった」
江戸時代の末期に起きた黒船の来訪もまた、鎖国を終わらせ、日本にある3つの匣を奪うのが目的であったという。
幕末の時代、新選組は幕府が持つ匣を守るために戦った。
だが、坂本龍馬が匣のひとつを手にしてしまったため、原田佐之助ら新選組の隊士たちは土方歳三の指示を受け、匣を奪うために龍馬を暗殺した。
そのときにはもう、土方歳三の目的は、近藤勇に天下を取らせることへと変わっていたという。
幕府への忠誠心は彼には元々なく、彼にあるのは近藤勇への忠誠心だけであった。
近藤勇を征夷大将軍とする新たな幕府を開くこと、そして匣の力で沖田総司の結核を治すことが彼の目的だった。
だが、土方歳三は匣を手にすることも、龍馬を暗殺することもかなわなかった。
匣はすでに西郷隆盛たちに渡されており、龍馬は西郷らによって殺害されていた。
幕府は滅び、再び天皇が匣をすべて手にした。
しかし、匣は間もなく軍のものになり、最終的には東條英機の手に渡った。
そして、日本には二発の原爆が落とされた。
日本でも原爆の開発は進められていたが、原子力を利用した発電や核兵器は、匣がもたらした技術であった。
合衆国もまた匣を複数所持しており、匣がもたらした技術の威力と試すと同時に、匣を奪うために原爆を落とした。
日本に存在した3つの匣はGHQに奪われた。
合衆国はその後も戦争を続け、00年代にアフガニスタンとイラクから匣を回収し、そのすべてを揃えた。
それが、日本における匣をめぐる戦争の歴史であった。
匣はすべて回収し、アリスが作ったという73番目の匣によって完全に消滅させなければいけなかった。
匣は大東洋に沈んでいると思われたが、それ自体に移動手段があるのか、まるで願いをかなえたあとのドラゴンボールのように、すでに世界中に散っていた。
ドラゴンボールは七つ集めれば良いが、匣は72個もあった。
ジパングのふたりの女王・マヨリとリサが匣の大体の場所をサーチし、レンジとピノア、ショウゴとイルルは二人で一組となり、サトシとサタナハマアカは単独で匣を探すことになった。
0
お気に入りに追加
329
あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる