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【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第171話 大厄災の魔法を超える魔法
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ショウゴもどきは手強かった。
ダ・ヴィンチ・ソードとディカプリオ・ブレイドをけり飛ばされてしまい、レンジとショウゴもどきのスピードはほぼ互角であった。
ショウゴもどきの甲冑が魔法も魔法剣も無効化してしまうだけでなく、合体銃剣は接近戦も遠距離攻撃も可能だったからだ。
「大事な剣を、たかが精霊もどきを二匹消滅させるために投げたのは失敗だったな。
俺相手に時間を食ってる間に、ニーズヘッグとアルマが消滅させられたぞ」
何だって?
レンジは、ついその言葉の真偽を確かめようとしてしまった。
ニーズヘッグもアルマもちゃんといた。
「こんな嘘に騙されるとか、お前まじで馬鹿かよ」
ショウゴもどきは、銃剣をレンジの脇腹に刺すと、そのままゼロ距離から銃弾を乱射した。
どちらも結晶化したエーテルで作られた魔装具であったが、脇腹に穴を空けられ、そこに銃弾を乱射されたため、鎧をまとっていることが逆にあだとなってしまった。
本来なら貫通するはずの銃弾が、鎧の中で跳弾を繰り返したのだ。
そのため、レンジの骨や筋肉、そして内臓に致命傷を与えた。
肺に穴があき、呼吸が困難になり、最後には心臓をも破壊した。
「レンジ!!」
ピノアは叫んだが、もうその声はレンジには届いていなかった。
「あいつには魔法は効かない。
ぼくとアルマがなんとかする」
「ピノアちゃんとブライさんは精霊たちを」
ニーズヘッグとアルマは、ショウゴもどきに向かっていったが、
「お前らじゃ俺に近づくのも無理だよ」
銃剣を乱射されてしまい、その通りの結果になってしまった。
「馬鹿ばっかりだな、救厄の聖者って奴らは。弱すぎ。誰でもなれるんじゃねーの?」
ショウゴもどきは、
「ふたりが、囮になってくれたのがわからなかったのか?」
その背中にケツァルコアトルがいることに気づいていなかった。
ケツァルコアトルは口を大きく開き、ショウゴもどきの首を食いちぎった。
その首を吐き捨てながら、
「ニーズヘッグらを馬鹿にするのは勝手だが、汝には絶対に聖者にはなれぬわ」
ケツァルコアトルは怒りをあらわにしていた。
「レンジはもうだめだ。死んでいる」
ヨルムンガンドが言った。
「嘘……」
「治癒魔法を使っても無理だろう」
「大丈夫だよ…… 身体の時を巻き戻したら……」
「ピノア、すまない。
彼らが最後のひとりになったとき、時を巻き戻させないために、ジパングの女王に頼んで、時の精霊の魔法の存在自体をもう消してもらってるんだ」
「何で、そんなこと……じゃあ、レンジは……」
「あ、そうなんだ?
じゃあ、もう、遊びはこれくらいにしとこっか」
残った精霊もどきたちは一斉にラディーレンを放ってきた。
ピノアはそれを相殺した。
「わたしには、そんな魔法は効かない」
「でも、君以外は皆消滅したよ。
君は自分以外に誰がここでぼくたちと戦っていたのかも覚えてないだろう?」
「ふーん、レンジとイルル以外にここに誰かいたんだ?
でもさ、レンジの死体をいっしょに消さなかったのは失敗だったね」
ピノアの身体に異変が起きはじめていた。
身体中に炎と雷をまとい、だがそれによって火傷を負った身体はすぐに治癒していた。
炎や雷だけでなく強風をもまとい、炎は要塞に燃え移りはじめていた。
150センチほどの彼女が一歩足を踏み出すたびに地響きが起こり、崩れかかっていた甲板にひびがはいった。
まぶしい光を放ち、その影は彼女とはまったく別の場所にあった。
彼女も影も、赤ん坊のようになったかと思えば、幼女にもなり、現在の彼女に戻り、そして、その姿はゆらいで見えていた。
「ピノア・カーバンクル、お前は一体何なんだ」
「あんたたちがついた嘘が本当になったね」
イルルが、次元の彼方の時の牢獄から帰っていた。
「わたしは命を司る精霊になった」
レンジが息を吹き返していた。
「そして、今、わたしはすべての精霊と一体化してる。
あんたらはもう終わりだよ。
わたしを怒らせちゃったから。
大厄災の魔法『カタストロフ』を超える魔法を見せてあげる」
『サンドリオン』
大精霊ピノア・カーバンクルは、彼女が持つ、彼女を含めた十柱の精霊の力をかけあわせた魔法によって、残っていたすべての精霊もどきたちと「我々」に属するすべての存在を、テラから排除した。
「あんたたちは、ただ消滅するだけじゃ許されない。
次元の彼方の時の牢獄で、同じ数十秒ほどの時の中で、永遠に消滅と出現を永遠に繰り返してもらう。
だけど、それでもわたしはあんたたちを許さない。
許すことは、絶対にない」
ダ・ヴィンチ・ソードとディカプリオ・ブレイドをけり飛ばされてしまい、レンジとショウゴもどきのスピードはほぼ互角であった。
ショウゴもどきの甲冑が魔法も魔法剣も無効化してしまうだけでなく、合体銃剣は接近戦も遠距離攻撃も可能だったからだ。
「大事な剣を、たかが精霊もどきを二匹消滅させるために投げたのは失敗だったな。
俺相手に時間を食ってる間に、ニーズヘッグとアルマが消滅させられたぞ」
何だって?
レンジは、ついその言葉の真偽を確かめようとしてしまった。
ニーズヘッグもアルマもちゃんといた。
「こんな嘘に騙されるとか、お前まじで馬鹿かよ」
ショウゴもどきは、銃剣をレンジの脇腹に刺すと、そのままゼロ距離から銃弾を乱射した。
どちらも結晶化したエーテルで作られた魔装具であったが、脇腹に穴を空けられ、そこに銃弾を乱射されたため、鎧をまとっていることが逆にあだとなってしまった。
本来なら貫通するはずの銃弾が、鎧の中で跳弾を繰り返したのだ。
そのため、レンジの骨や筋肉、そして内臓に致命傷を与えた。
肺に穴があき、呼吸が困難になり、最後には心臓をも破壊した。
「レンジ!!」
ピノアは叫んだが、もうその声はレンジには届いていなかった。
「あいつには魔法は効かない。
ぼくとアルマがなんとかする」
「ピノアちゃんとブライさんは精霊たちを」
ニーズヘッグとアルマは、ショウゴもどきに向かっていったが、
「お前らじゃ俺に近づくのも無理だよ」
銃剣を乱射されてしまい、その通りの結果になってしまった。
「馬鹿ばっかりだな、救厄の聖者って奴らは。弱すぎ。誰でもなれるんじゃねーの?」
ショウゴもどきは、
「ふたりが、囮になってくれたのがわからなかったのか?」
その背中にケツァルコアトルがいることに気づいていなかった。
ケツァルコアトルは口を大きく開き、ショウゴもどきの首を食いちぎった。
その首を吐き捨てながら、
「ニーズヘッグらを馬鹿にするのは勝手だが、汝には絶対に聖者にはなれぬわ」
ケツァルコアトルは怒りをあらわにしていた。
「レンジはもうだめだ。死んでいる」
ヨルムンガンドが言った。
「嘘……」
「治癒魔法を使っても無理だろう」
「大丈夫だよ…… 身体の時を巻き戻したら……」
「ピノア、すまない。
彼らが最後のひとりになったとき、時を巻き戻させないために、ジパングの女王に頼んで、時の精霊の魔法の存在自体をもう消してもらってるんだ」
「何で、そんなこと……じゃあ、レンジは……」
「あ、そうなんだ?
じゃあ、もう、遊びはこれくらいにしとこっか」
残った精霊もどきたちは一斉にラディーレンを放ってきた。
ピノアはそれを相殺した。
「わたしには、そんな魔法は効かない」
「でも、君以外は皆消滅したよ。
君は自分以外に誰がここでぼくたちと戦っていたのかも覚えてないだろう?」
「ふーん、レンジとイルル以外にここに誰かいたんだ?
でもさ、レンジの死体をいっしょに消さなかったのは失敗だったね」
ピノアの身体に異変が起きはじめていた。
身体中に炎と雷をまとい、だがそれによって火傷を負った身体はすぐに治癒していた。
炎や雷だけでなく強風をもまとい、炎は要塞に燃え移りはじめていた。
150センチほどの彼女が一歩足を踏み出すたびに地響きが起こり、崩れかかっていた甲板にひびがはいった。
まぶしい光を放ち、その影は彼女とはまったく別の場所にあった。
彼女も影も、赤ん坊のようになったかと思えば、幼女にもなり、現在の彼女に戻り、そして、その姿はゆらいで見えていた。
「ピノア・カーバンクル、お前は一体何なんだ」
「あんたたちがついた嘘が本当になったね」
イルルが、次元の彼方の時の牢獄から帰っていた。
「わたしは命を司る精霊になった」
レンジが息を吹き返していた。
「そして、今、わたしはすべての精霊と一体化してる。
あんたらはもう終わりだよ。
わたしを怒らせちゃったから。
大厄災の魔法『カタストロフ』を超える魔法を見せてあげる」
『サンドリオン』
大精霊ピノア・カーバンクルは、彼女が持つ、彼女を含めた十柱の精霊の力をかけあわせた魔法によって、残っていたすべての精霊もどきたちと「我々」に属するすべての存在を、テラから排除した。
「あんたたちは、ただ消滅するだけじゃ許されない。
次元の彼方の時の牢獄で、同じ数十秒ほどの時の中で、永遠に消滅と出現を永遠に繰り返してもらう。
だけど、それでもわたしはあんたたちを許さない。
許すことは、絶対にない」
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