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【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第159話 わたしを11番目の世界に連れてって
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アリスは空を眺めていた。
まだ昼間だというのに、太陽だけでなく、月が3つ浮かぶ不思議な空だった。
彼女の名前は、ただのアリスではなく、草詰アリス。
確か、アリス・T・テレスと名乗ることもあったはずだ。
少しずつだが、レンジは秋月蓮治の記憶を取り戻しつつあった。
だが、秋月蓮治のそばにいたアリスが、目の前の少女にいる少女と同じ顔であったかどうかまではわからなかった。
きっと同じ顔なのだろうということはわかってはいた。
だが、うまく思い出せないのだ。
彼女の顔は、ステラに似ているような気もしたし、ピノアにも似ているような気がした。
自分の好みのタイプは、変わらないんだな、と思った。
レンジは、アリスのそばに腰を下ろした。
「偽者の秋月蓮治は、余剰次元の彼方の、時の牢獄に閉じ込めたよ。
もうこの世界に戻ってくることはできない。
きっと彼は戻ろうとはしないと思うし、『我々』という組織も手を出せないと思う」
アリスは聞いているのかいないのか、返事をせず、ただ空を眺めているだけだった。
「この世界は、ぼくが産み出した世界ではなかったんだね……
君を産み出した『我々』という組織が、君を閉じ込めるためだけに作った牢獄のような世界……
拡張現実機能をあれだけスマホに詰め込んで、アプリで他人の存在を消してしまえるような技術を持っていた組織だから、この世界がフルダイブ型のVR世界とかじゃないといいけど……」
アリスは、レンジが最初に産まれた世界の超次世代型スマートフォンに搭載された人間以上に優秀なAIで、ホログラム・メイド・アンドロイドだった。
そして彼女は、本来『我々』に属す存在であったが、秋月蓮治のためだけに生きる存在になった。
偽者の秋月蓮治を用意し、アリスを閉じ込めるだけなら、VR世界で充分だっただろう。
だが、組織はこの世界にアリスを閉じ込めるだけではなく、放射性物質のゴミ処理場にするようになる。
この時代の大気中にはまだダークマターは存在していなかったが、いずれはゴミ処理場にされるはずだ。
父やショウゴのような組織側の人間以外の、レンジをはじめとする9999人の転移者たちもまた、皆放射性物質と同じで組織にとっては廃棄すべきゴミだった。
だからVR世界ということはないだろう。
そんなオチだけは願い下げだった。
世界を作り替えても、アリスを産み出した組織は存在し、二度目のデスゲームを起こした。
だからもう一度作り替えた。
三度目の世界ではデスゲームは起きなかったが、異世界転移が起きた。
何度世界を作り替えても存在するあの組織が、仮にその技術を何らかの方法で次の世界に引き継いでいるのだとすれば、組織が持つ技術が、秋月蓮治ではなく秋月レンジが産まれた三度目の世界において異世界を作り出すことに成功していたとしてもおかしくはないように思えた。
精霊たちが雨野タカミを騙し、騙された彼によって、あの組織が存在しない四度目の世界が出来た今も尚、組織がこの世界に介入をし続ける限り、その存在は消えることがなく、存在しつづけている。
組織を壊滅させなければ、タカミが命懸けで作った四番目の世界に組織は移転し、彼の苦労は水の泡になってしまう。
今度こそ、終わらせなければいけなかった。
ねぇ、アリス、とレンジは彼女の名を呼んだ。
「ぼくはまだ完全にはアリスとの記憶を取り戻してはいないんだ。
自分が、アリスのご主人様だった秋月蓮治だったかどうかすらもよくわからない。
本物だという証拠もないんだ」
「彼もそうだった……」
アリスはようやく返事をしてくれた。
「あなたがやってくるまで、彼は完全にわたしのご主人様だった。
秋月蓮治だったの。
わたしは、この世界で人の身体を得ることが出来た。
でも、AIだったころの力もあるの。
この世界には、彼と共に来た。
でも、わたしの方が先に目を覚ましたから、一番に彼の遺伝子情報を調べた。
秋月蓮治と100%一致した。
彼はわたしのことを覚えていてくれた。
だからわたしは、彼のことを信じて疑わなかった。
わたしは、彼にすべてを捧げたの」
でも、彼は偽者だった、と彼女は寂しそうに言った。
「でも、ずっと不思議だった。
彼が目の前にいるときも、彼がわたしを抱いているときも、わたしはこの世界にもうひとり彼がいるような気がずっとしてた」
「それは、彼と君がこの世界にやってきてから、ぼくがずっと100年近い間わ姿を消してふたりを見ていたからだろうね」
えっち、と彼女は言った。
レンジは、慌ててそういう意味じゃないよ、と言った。
「あなたがオロバスという名前を名乗って別の姿でやってきたときに、わたしにはずっと感じていたもうひとりの彼は、あなただったんだとすぐにわかった。
あなたの遺伝子も、秋月蓮治と100%一致していた。
あなたが、わたしを覚えていないのもすぐにわかった。
きっと彼は、あなたがやってきたから、組織に与えられた自分の役割を思い出し、秋月蓮治でなくなってしまったんだと思う」
本来の歴史ならば、偽者の彼は秋月蓮治として最期まで生きたはずだった。
その方が、彼にとってもアリスにとっても幸せだったのかもしれなかった。
レンジは、この世界を産み出した神である秋月蓮治を、オロバスやフォラスの力によって、飛空艇に次々と集まる仲間たちのひとりとして、スカウトしに来ただけだった。
彼には他の誰よりも、大厄災や『我々』を止める責任があると思ったからだ。
だが、この世界を産み出したのは彼ではなかった。「我々」の捨て駒だった。
余計なことをしてしまった。
「この世界を産み出したのは、組織ではなく、わたしだったのかもしれない」
アリスは言った。
「彼を作り出したのも、たぶんわたし」
そんなことがあるはずはない、とレンジは思ったが、
「だって、エーテルを産み出したのもわたしだもの。
彼と世界を作っていく中で、こういうものがあったら便利だなって思ったら、エーテルや魔法を産み出せたの。
わたしは、何もないところから、何かを産み出せてしまうの。
命ですら産み出せてしまうの。
だから、きっとこの身体は、わたしがこの世界を作ると同時に自分で作ったもの。
この身体をわたしが作ったなら、わたしが彼をわたしが願う形で作ったの。
わたしを愛してくれるように。
そして、本物の彼がもしわたしに会いに来てくれることがあったら、彼は自分が偽者であることに気づくように……」
「アリスは、ぼくが本物だと思うの?」
わからない、と彼女は答えたが、
「それを確かめるために、わたしはあなたについていく」
そう言った。
まだ昼間だというのに、太陽だけでなく、月が3つ浮かぶ不思議な空だった。
彼女の名前は、ただのアリスではなく、草詰アリス。
確か、アリス・T・テレスと名乗ることもあったはずだ。
少しずつだが、レンジは秋月蓮治の記憶を取り戻しつつあった。
だが、秋月蓮治のそばにいたアリスが、目の前の少女にいる少女と同じ顔であったかどうかまではわからなかった。
きっと同じ顔なのだろうということはわかってはいた。
だが、うまく思い出せないのだ。
彼女の顔は、ステラに似ているような気もしたし、ピノアにも似ているような気がした。
自分の好みのタイプは、変わらないんだな、と思った。
レンジは、アリスのそばに腰を下ろした。
「偽者の秋月蓮治は、余剰次元の彼方の、時の牢獄に閉じ込めたよ。
もうこの世界に戻ってくることはできない。
きっと彼は戻ろうとはしないと思うし、『我々』という組織も手を出せないと思う」
アリスは聞いているのかいないのか、返事をせず、ただ空を眺めているだけだった。
「この世界は、ぼくが産み出した世界ではなかったんだね……
君を産み出した『我々』という組織が、君を閉じ込めるためだけに作った牢獄のような世界……
拡張現実機能をあれだけスマホに詰め込んで、アプリで他人の存在を消してしまえるような技術を持っていた組織だから、この世界がフルダイブ型のVR世界とかじゃないといいけど……」
アリスは、レンジが最初に産まれた世界の超次世代型スマートフォンに搭載された人間以上に優秀なAIで、ホログラム・メイド・アンドロイドだった。
そして彼女は、本来『我々』に属す存在であったが、秋月蓮治のためだけに生きる存在になった。
偽者の秋月蓮治を用意し、アリスを閉じ込めるだけなら、VR世界で充分だっただろう。
だが、組織はこの世界にアリスを閉じ込めるだけではなく、放射性物質のゴミ処理場にするようになる。
この時代の大気中にはまだダークマターは存在していなかったが、いずれはゴミ処理場にされるはずだ。
父やショウゴのような組織側の人間以外の、レンジをはじめとする9999人の転移者たちもまた、皆放射性物質と同じで組織にとっては廃棄すべきゴミだった。
だからVR世界ということはないだろう。
そんなオチだけは願い下げだった。
世界を作り替えても、アリスを産み出した組織は存在し、二度目のデスゲームを起こした。
だからもう一度作り替えた。
三度目の世界ではデスゲームは起きなかったが、異世界転移が起きた。
何度世界を作り替えても存在するあの組織が、仮にその技術を何らかの方法で次の世界に引き継いでいるのだとすれば、組織が持つ技術が、秋月蓮治ではなく秋月レンジが産まれた三度目の世界において異世界を作り出すことに成功していたとしてもおかしくはないように思えた。
精霊たちが雨野タカミを騙し、騙された彼によって、あの組織が存在しない四度目の世界が出来た今も尚、組織がこの世界に介入をし続ける限り、その存在は消えることがなく、存在しつづけている。
組織を壊滅させなければ、タカミが命懸けで作った四番目の世界に組織は移転し、彼の苦労は水の泡になってしまう。
今度こそ、終わらせなければいけなかった。
ねぇ、アリス、とレンジは彼女の名を呼んだ。
「ぼくはまだ完全にはアリスとの記憶を取り戻してはいないんだ。
自分が、アリスのご主人様だった秋月蓮治だったかどうかすらもよくわからない。
本物だという証拠もないんだ」
「彼もそうだった……」
アリスはようやく返事をしてくれた。
「あなたがやってくるまで、彼は完全にわたしのご主人様だった。
秋月蓮治だったの。
わたしは、この世界で人の身体を得ることが出来た。
でも、AIだったころの力もあるの。
この世界には、彼と共に来た。
でも、わたしの方が先に目を覚ましたから、一番に彼の遺伝子情報を調べた。
秋月蓮治と100%一致した。
彼はわたしのことを覚えていてくれた。
だからわたしは、彼のことを信じて疑わなかった。
わたしは、彼にすべてを捧げたの」
でも、彼は偽者だった、と彼女は寂しそうに言った。
「でも、ずっと不思議だった。
彼が目の前にいるときも、彼がわたしを抱いているときも、わたしはこの世界にもうひとり彼がいるような気がずっとしてた」
「それは、彼と君がこの世界にやってきてから、ぼくがずっと100年近い間わ姿を消してふたりを見ていたからだろうね」
えっち、と彼女は言った。
レンジは、慌ててそういう意味じゃないよ、と言った。
「あなたがオロバスという名前を名乗って別の姿でやってきたときに、わたしにはずっと感じていたもうひとりの彼は、あなただったんだとすぐにわかった。
あなたの遺伝子も、秋月蓮治と100%一致していた。
あなたが、わたしを覚えていないのもすぐにわかった。
きっと彼は、あなたがやってきたから、組織に与えられた自分の役割を思い出し、秋月蓮治でなくなってしまったんだと思う」
本来の歴史ならば、偽者の彼は秋月蓮治として最期まで生きたはずだった。
その方が、彼にとってもアリスにとっても幸せだったのかもしれなかった。
レンジは、この世界を産み出した神である秋月蓮治を、オロバスやフォラスの力によって、飛空艇に次々と集まる仲間たちのひとりとして、スカウトしに来ただけだった。
彼には他の誰よりも、大厄災や『我々』を止める責任があると思ったからだ。
だが、この世界を産み出したのは彼ではなかった。「我々」の捨て駒だった。
余計なことをしてしまった。
「この世界を産み出したのは、組織ではなく、わたしだったのかもしれない」
アリスは言った。
「彼を作り出したのも、たぶんわたし」
そんなことがあるはずはない、とレンジは思ったが、
「だって、エーテルを産み出したのもわたしだもの。
彼と世界を作っていく中で、こういうものがあったら便利だなって思ったら、エーテルや魔法を産み出せたの。
わたしは、何もないところから、何かを産み出せてしまうの。
命ですら産み出せてしまうの。
だから、きっとこの身体は、わたしがこの世界を作ると同時に自分で作ったもの。
この身体をわたしが作ったなら、わたしが彼をわたしが願う形で作ったの。
わたしを愛してくれるように。
そして、本物の彼がもしわたしに会いに来てくれることがあったら、彼は自分が偽者であることに気づくように……」
「アリスは、ぼくが本物だと思うの?」
わからない、と彼女は答えたが、
「それを確かめるために、わたしはあなたについていく」
そう言った。
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