「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな

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第88話 10001人目の転移者 ②

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 10001人目の転移者・大和ショウゴは、

「強そうな武器が結構あるな……
 火事場泥棒みたいな真似はしたくないんだが……」

 鎧や兜、盾はすぐに決まったが、武器がなかなか決まらなかった。

 そんな彼の目にふと止まったのは、中学生や高校生が着る学ランと、セーラー服とスクール水着をいっしょにしたようなマニアックなコスプレ衣裳(?)だった。

 学ランの胸ポケットから彼は生徒手帳を取り出すと、彼はにやりと笑った。

 それは彼の友人のものだったからだ。
 名前も、顔写真も。
 最後に会ってから五年近く経っていたから、現在の顔を直接は知らなかったが、幸いなことにニュースで見たばかりであったから、間違いなかった。

 そして、マニアックな衣裳を手に取った。
「すてら」と下手な字で名前が書いてあったが、これは元の世界に帰ったら妹に着させてみよう、と鞄にしまった。


「ま、こんなもんか。なかなか様になってるんじゃないかな」

 鎧、兜や盾、一通りの装備を身につけると、彼はたくさんある武器の中から、銃剣を手に取った。

 剣や刀であれば、両手剣よりも二刀流の方がロマンがある。
 二刀流よりも、銃剣はさらにロマンがあるからだった。

 その銃剣は、銃口と刀身がふたつずつあり、左右に安全装置が別々に存在していた。さらに、左側にだけ、それとは別の装置がついていた。
 その装置のオン、オフの切り替えで、銃剣はふたつに分かれる合体構造になっていた。

 ただの銃剣でなく合体銃剣、二刀流も可能というのはロマンがすぎる、と思った。

 盾は、小振りのものをふたつ腕につけることにした。


 店を出ると、

「火事場泥棒?」

「魔装具鍛冶の店だけにか?」

 彼にそう声をかけた者たちがいた。


「誰だ?」

 ショウゴはその双子の少年たちに尋ねた。


「俺は、ライト・リズム・エブリスタ」

「俺は、リード・ビカム・エブリスタ」


『この魔法大国エウロペに、その名を轟かせる(はずだった、未来の)二大賢者、エブリスタ兄弟たぁっ、俺たちのことよっ!!』


「悪い。馬鹿に付き合ってる暇、ねーんだわ」

 ショウゴは両手の銃剣を双子の顔に向けると躊躇いなく引き金を引いた。

 額を貫かれた双子は、何が起きたかわからないという顔をしていた。

「あと、俺、一回、人を殺してみたかったんだよね」

 銃剣をひとつに戻すと、双子が地面に崩れ落ちる前に、合体銃剣の切れ味を試した。

 ライトと名乗った方は、左の肩から右脇腹にかけて、そして、リードと名乗った方は、左の脇腹から右の太ももにかけて、合体銃剣はふたりの身体を真っ二つに切り裂いていた。

「お前らにはもう必要ないだろうから、金目の物や、旅に必要な物はもらっていくぞ」

 ショウゴはそう言い、ふたりの荷物を漁った。

 多少ではあったが、紙幣や硬貨に、日保ちがするであろう食糧、それに地図が手に入ったことはありがたかった。

「思ってたより大したことじゃないんだな」

 ショウゴは言った。
 人を殺した感想だった。


 そして、空を見上げると、

「さてと、じゃ、せっかく来た異世界だし、満喫させてもらおうかな」

 ショウゴはそう言い、見覚えのあるゆらぎが空に無数に存在しているのを見た。


 ショウゴにはそれが、自分がこの世界に迷い込んだ際に通ったゆらぎと同じものに見えた。

 だが、その大きさは比べ物にならないほど大きいのがわかった。

 無数の戦艦がそのゆらぎから現れ、空に浮かんでいた。

 彼が元いた世界では、空を飛ぶ戦艦はまだなかったはずだった。


 しかし、その中にはショウゴにも見覚えのある戦艦があった。

 イージス艦が空を飛んでいた。

 そのイージス艦のボディには、やはりというか案の定というか、日の丸が描かれており、

「こいつは、おもしろくなりそうだ」

 彼はこみ上げてくる笑いが止まらなかった。

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