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第65話 ある人物の出生の秘密
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ニーズヘッグは、いい加減レンジたちを休ませなければいけないと思った。
だから彼はアルマと共にケツァルコアトルにまたがり、飛空艇へ向かった。
アンフィスは背中に羽根を生やしてついてきた。
「お帰りなさいませ、イボトレル様」
「イポトリルな。てか、お前わざとやってるだろ」
アンフィスは、ニーズヘッグとアルマに、
「こいつが、飛空艇の人工頭脳『ドレミファ』だ」
飛空艇の人工頭脳「ソラシド」を、そう紹介した。
無論わざとであり、仕返しのつもりであった。
「はじめまして。ニーズヘッグ様、アルマ様。
私はソラシド。
この飛空艇『オルフェウス』の人工頭脳にして、ステラ女王様の忠実なる僕(しもべ)です。
イボトレル様の仰ったドレミファは、私のプロトタイプにあたります」
「え、ドレミファいるの?
てか、ステラ女王様はマジ駄目なやつだから!!
未来のレンジ、ハンパなく強えーんだよ。マジで殺されるから! 俺!!」
だが、アンフィスはソラシドから思わぬ反撃をされることになった。
「はい、ドレミファは、大賢者を生んだ三人の賢者、ドレ、レミ、ミファによって産み出されました。
私はドレミファを元に作られた人工頭脳であり、ドレミファは現在、エーテルから風の精霊の魔法を起こし、飛空艇の推進力とする補助人工頭脳の役割をしています」
「三人の賢者が、大賢者を生んだ?
どういうことかしら?
三人とも女性の名前のようだけれど」
「大賢者ブライ・アジ・ダハーカは、人工的に産み出された魔人なのです。
ドレミファや私を産み出した三賢者は、三つ子の三姉妹でした。
三女のミファは前国王に犯され、子を孕まされてしまいました。
ミファは自害を考えましたが、ふたりの姉ドレとレミは、三人で前国王に復讐をしようと話し、ミファの自害を止めたのです。
ふたりは、ミファの胎内にいた赤ん坊に、結晶化する寸前まで凝縮した大量のエーテルを注ぎ込むことによって、人工的に魔人を作り出しました。
それが大賢者ブライ・アジ・ダハーカです。
そして、長女ドレと次女レミもまた、ミファと同じ悲しみや苦しみを背負うことにしたのです。
ふたりとも前国王に自ら抱かれ、孕んだ子を人工的に魔人としました。
ドレの子は国王となり、レミの子は魔装具鍛冶となりました」
「つまり、国王と大賢者は腹違いの兄弟……?」
「それだけじゃない。
魔装具鍛冶はエウロペにひとりしかいなかったと聞いている。
レンジ君やステラちゃんたちの魔装具や、ダークマターの浄化方法を編み出したレオナルドという男だ。
彼らは皆、腹違いの兄弟で、三人とも人工的に産み出された魔人だったのか……」
「ステラ女王様はマジでだめなやつってことがどうでもよくなるくらいに、とんでもないのぶちかましてきてくれたな……
ニーズヘッグ、大賢者は国王だけじゃなく、そのレオナルドって奴も殺したんだろ?
三人が全員そのことを知っていたかどうかはわからねーけど、これで三人の関係性が大分見えてきたんじゃねーか?」
「そうだね。大賢者は間違いなく知っていたんだろう。
それに、そういった経緯で自分が産み出されたと知っていたとすれば、彼がふたりを殺害しただけでなく、大厄災の魔法を手にしようとした、いや、それはこれからしようとするのか……
その先にあるだろう、ぼくらが考えた彼の目的のきっかけになったとしてもおかしくはないように思える……
ソラシド、とりあえず、飛空艇を町の近くの着陸可能なところへ停めてくれるかい?」
「ニーズヘッグとアルマはステラたちを起こしてきてくれるか?
俺はソラシドと少し話がある」
ニーズヘッグとアルマは、アンフィスとソラシドが何を話したのかは知らない。
おそらくは、ステラ女王様という謎のくだりについてなのだろうが、ふたりは聞かなかったことにすることにした。
ニーズヘッグは、皆に飛空艇の硬い床ではなく(よく見たら艇内には寝室があり、ベッドがあったが)、町の宿屋でゆっくりと食事をし、ゆっくりと眠ってもらう必要があると考えていた。
自分たちにも休息が必要だと思った。
しっかりと休息をした後で皆で話し合い、今後の方針を固めなければいけないと思った。
アルマにも、ヴァルキリーや竜騎士の話をしなければいけなかった。
そういう日が、今の自分たちには必要だった。
特にレンジにとってこの世界は異世界であり、アンフィスにとってこの時代は未来なのだ。
1日くらいは観光させてやりたかった。
ニーズヘッグはステラとピノアを起こすと、ゲルマーニとアルトリア、そしてランスに対し、風の精霊の魔法の伝書鳩を送ってもらうことにした。
エウロペで起きた惨劇と魔王と大賢者の襲撃の可能性があることを伝えるためだ。
エウロペの巫女からそのような知らせが届けば、おそらくは三国とも襲撃に備えるはずだ。
まずは1日、ゆっくり休もうと提案した。
そしてもう1日、観光や買い物をしようと。
さらにもう1日、ゲルマーニへ向かう準備を整え、今後のことをしっかりと話し合おう、と。
皆、最初こそ戸惑っていたが、空腹や睡魔には勝てず、食事を取るとすぐに眠った。
そして、その翌朝、レンジにとっては異世界転移四日目の朝、彼が目を覚ますと、ベッドのそばにステラがいた。
「おはよう、レンジ」
ステラはレンジに優しく微笑み、
「ゆうべニーズヘッグが言っていた通り、今日はあなたにこの世界を楽しんでもらおうと思うのだけれど……
わたしがガイド役でも良いかしら?」
レンジは、ステラじゃなきゃいやなくらいだよ、と言った。
「でもピノアがドアを少し開けて、すごい顔でこっちを見てるから、ピノアもいっしょにだね」
その言葉を聞いたステラは、ドアの方を向き、
「ほんと、わたしもはじめて見るような、すごい顔をしてる」
そんなピノアを見て笑った。
だから彼はアルマと共にケツァルコアトルにまたがり、飛空艇へ向かった。
アンフィスは背中に羽根を生やしてついてきた。
「お帰りなさいませ、イボトレル様」
「イポトリルな。てか、お前わざとやってるだろ」
アンフィスは、ニーズヘッグとアルマに、
「こいつが、飛空艇の人工頭脳『ドレミファ』だ」
飛空艇の人工頭脳「ソラシド」を、そう紹介した。
無論わざとであり、仕返しのつもりであった。
「はじめまして。ニーズヘッグ様、アルマ様。
私はソラシド。
この飛空艇『オルフェウス』の人工頭脳にして、ステラ女王様の忠実なる僕(しもべ)です。
イボトレル様の仰ったドレミファは、私のプロトタイプにあたります」
「え、ドレミファいるの?
てか、ステラ女王様はマジ駄目なやつだから!!
未来のレンジ、ハンパなく強えーんだよ。マジで殺されるから! 俺!!」
だが、アンフィスはソラシドから思わぬ反撃をされることになった。
「はい、ドレミファは、大賢者を生んだ三人の賢者、ドレ、レミ、ミファによって産み出されました。
私はドレミファを元に作られた人工頭脳であり、ドレミファは現在、エーテルから風の精霊の魔法を起こし、飛空艇の推進力とする補助人工頭脳の役割をしています」
「三人の賢者が、大賢者を生んだ?
どういうことかしら?
三人とも女性の名前のようだけれど」
「大賢者ブライ・アジ・ダハーカは、人工的に産み出された魔人なのです。
ドレミファや私を産み出した三賢者は、三つ子の三姉妹でした。
三女のミファは前国王に犯され、子を孕まされてしまいました。
ミファは自害を考えましたが、ふたりの姉ドレとレミは、三人で前国王に復讐をしようと話し、ミファの自害を止めたのです。
ふたりは、ミファの胎内にいた赤ん坊に、結晶化する寸前まで凝縮した大量のエーテルを注ぎ込むことによって、人工的に魔人を作り出しました。
それが大賢者ブライ・アジ・ダハーカです。
そして、長女ドレと次女レミもまた、ミファと同じ悲しみや苦しみを背負うことにしたのです。
ふたりとも前国王に自ら抱かれ、孕んだ子を人工的に魔人としました。
ドレの子は国王となり、レミの子は魔装具鍛冶となりました」
「つまり、国王と大賢者は腹違いの兄弟……?」
「それだけじゃない。
魔装具鍛冶はエウロペにひとりしかいなかったと聞いている。
レンジ君やステラちゃんたちの魔装具や、ダークマターの浄化方法を編み出したレオナルドという男だ。
彼らは皆、腹違いの兄弟で、三人とも人工的に産み出された魔人だったのか……」
「ステラ女王様はマジでだめなやつってことがどうでもよくなるくらいに、とんでもないのぶちかましてきてくれたな……
ニーズヘッグ、大賢者は国王だけじゃなく、そのレオナルドって奴も殺したんだろ?
三人が全員そのことを知っていたかどうかはわからねーけど、これで三人の関係性が大分見えてきたんじゃねーか?」
「そうだね。大賢者は間違いなく知っていたんだろう。
それに、そういった経緯で自分が産み出されたと知っていたとすれば、彼がふたりを殺害しただけでなく、大厄災の魔法を手にしようとした、いや、それはこれからしようとするのか……
その先にあるだろう、ぼくらが考えた彼の目的のきっかけになったとしてもおかしくはないように思える……
ソラシド、とりあえず、飛空艇を町の近くの着陸可能なところへ停めてくれるかい?」
「ニーズヘッグとアルマはステラたちを起こしてきてくれるか?
俺はソラシドと少し話がある」
ニーズヘッグとアルマは、アンフィスとソラシドが何を話したのかは知らない。
おそらくは、ステラ女王様という謎のくだりについてなのだろうが、ふたりは聞かなかったことにすることにした。
ニーズヘッグは、皆に飛空艇の硬い床ではなく(よく見たら艇内には寝室があり、ベッドがあったが)、町の宿屋でゆっくりと食事をし、ゆっくりと眠ってもらう必要があると考えていた。
自分たちにも休息が必要だと思った。
しっかりと休息をした後で皆で話し合い、今後の方針を固めなければいけないと思った。
アルマにも、ヴァルキリーや竜騎士の話をしなければいけなかった。
そういう日が、今の自分たちには必要だった。
特にレンジにとってこの世界は異世界であり、アンフィスにとってこの時代は未来なのだ。
1日くらいは観光させてやりたかった。
ニーズヘッグはステラとピノアを起こすと、ゲルマーニとアルトリア、そしてランスに対し、風の精霊の魔法の伝書鳩を送ってもらうことにした。
エウロペで起きた惨劇と魔王と大賢者の襲撃の可能性があることを伝えるためだ。
エウロペの巫女からそのような知らせが届けば、おそらくは三国とも襲撃に備えるはずだ。
まずは1日、ゆっくり休もうと提案した。
そしてもう1日、観光や買い物をしようと。
さらにもう1日、ゲルマーニへ向かう準備を整え、今後のことをしっかりと話し合おう、と。
皆、最初こそ戸惑っていたが、空腹や睡魔には勝てず、食事を取るとすぐに眠った。
そして、その翌朝、レンジにとっては異世界転移四日目の朝、彼が目を覚ますと、ベッドのそばにステラがいた。
「おはよう、レンジ」
ステラはレンジに優しく微笑み、
「ゆうべニーズヘッグが言っていた通り、今日はあなたにこの世界を楽しんでもらおうと思うのだけれど……
わたしがガイド役でも良いかしら?」
レンジは、ステラじゃなきゃいやなくらいだよ、と言った。
「でもピノアがドアを少し開けて、すごい顔でこっちを見てるから、ピノアもいっしょにだね」
その言葉を聞いたステラは、ドアの方を向き、
「ほんと、わたしもはじめて見るような、すごい顔をしてる」
そんなピノアを見て笑った。
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