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No.15
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俺達が理事長に着くとそこには、ばあやらしき人がいた。
「メリー様!?どうされましたか?」
俺が事情を話すと理事長はもうすぐ帰ってくるのてお待ちくださいと言われた。
その人は俺を見て、何かを悟ったのか取り乱しはせず、メリーに回復魔法をかけ続けていた。
俺もそれを手伝う。
エルは、その様子を痛々しそうに見ていた。
すると、扉が開く音がした。
「理事長!大変です!メリー様が…」
「ばあや、その子はもう助からないわ。だからもう眠らせてあげて。リック君よね。知ってるわ。私のわかることならすべて話すから座ってもらえる?」
それを聞き、俺は椅子に座った。
ばあやは渋々とメリーに回復魔法をかけるのを辞め、失礼しますと言って退散した。
その声は涙ぐんでいた。
理事長は静かにゆっくりと話し始めた。
「貴方のことは[運命]で知っていたわ。やがてメリーを殺す男の子。私はそれを避けるためにメリーを時計塔に隠したの。でも[運命]は変わらなかったわね…」
「[運命]って知ってる?それは神様が描いたシナリオ。はじめは悪魔の子について自分の中の記憶の封印を解き、突き止めた貴方が私の自宅でメリーと悪魔を殺していた。」
「私は理事長で家に中々帰れなかった。だからメリーが殺されないようにそばで見守る必要があった。だから生徒、関係者以外を立入禁止にした時計塔にメリーをそっと隠したのよ。」
だからメリーは時計塔に暮らしていたのか。
でも、じゃあなんで俺は時計塔に入れたんだ?
その疑問を見透かしたように、理事長は話を続ける。
「メリーは悪魔と契約した自分への嫌悪感や、エクソシストの一家に生まれたのにそれを裏切ってしまうような罪悪感。そして村を燃やしたことに対する反省で胸がいっぱいだったの。だからずっと死にたがっていた。元エクソシストの私に「殺して」と何度も言われたわ。だから殺してくれるちょうどいい人を見つけたのね。それが貴方だった。だからきっとメリーは自ら時計塔に貴方を招いたのね。たくさんの魔法を駆使して…」
理事長は少し涙ぐんでいた。
「私はどうしたらいいのかしら。理事長としてはあなたを褒めなくてはいけない。悪魔を殺したことは天使と契約したものにとってはとても名誉なこと。ただ、一人のおばあちゃんとしてはメリーを失った悲しみで胸が張り裂けそうだわ。貴方が知らなかったのはわかっている。だけど許せるかはわからないわ。」
するとメリーがくれたペンダントが、優しく光った。
理事長はそれをみて驚いた顔をする。
「メリー…そうなのね。貴方がこれを託したってことは…そういうことなのね。」
そして理事長は覚悟を決めたように俺に告げた。
「私は理事長として貴方を悪魔討伐したことを表彰します。メリーは貴方に殺されたかったみたい。悪魔はもちろんのこと。自分自身までも…」
すると理事長は席を立ち、魔法の水が入っている瓶を取り出した。
「でも貴方には知ってほしいことがあるの。お願いがある。一人の時、この水にメリーのペンダントを落として。そしたらメリーの記憶が見れるから。メリーの好きになった人には知ってもらいたい。悪魔の子を憎んでいた貴方なら尚更…」
そう言い残すと理事長は切なそうな顔をしてメリーのもとに向かった。
「私はかわいい孫娘の葬式をあげてリック君よね?と過ごした時計塔に永遠に眠らせるわ。あの子はあそこが大好きだったみたいだから…」
そう言い、俺に退席を願った。
俺は退席するしかなかった。
そしてもらった瓶とペンダントを握りしめる。
俺はメリーの記憶を見る義務がある。
どんな、重い記憶でも罪悪感に胸が締め付けられそうになっても。
それが、メリーを殺した償いになると信じて…
「メリー様!?どうされましたか?」
俺が事情を話すと理事長はもうすぐ帰ってくるのてお待ちくださいと言われた。
その人は俺を見て、何かを悟ったのか取り乱しはせず、メリーに回復魔法をかけ続けていた。
俺もそれを手伝う。
エルは、その様子を痛々しそうに見ていた。
すると、扉が開く音がした。
「理事長!大変です!メリー様が…」
「ばあや、その子はもう助からないわ。だからもう眠らせてあげて。リック君よね。知ってるわ。私のわかることならすべて話すから座ってもらえる?」
それを聞き、俺は椅子に座った。
ばあやは渋々とメリーに回復魔法をかけるのを辞め、失礼しますと言って退散した。
その声は涙ぐんでいた。
理事長は静かにゆっくりと話し始めた。
「貴方のことは[運命]で知っていたわ。やがてメリーを殺す男の子。私はそれを避けるためにメリーを時計塔に隠したの。でも[運命]は変わらなかったわね…」
「[運命]って知ってる?それは神様が描いたシナリオ。はじめは悪魔の子について自分の中の記憶の封印を解き、突き止めた貴方が私の自宅でメリーと悪魔を殺していた。」
「私は理事長で家に中々帰れなかった。だからメリーが殺されないようにそばで見守る必要があった。だから生徒、関係者以外を立入禁止にした時計塔にメリーをそっと隠したのよ。」
だからメリーは時計塔に暮らしていたのか。
でも、じゃあなんで俺は時計塔に入れたんだ?
その疑問を見透かしたように、理事長は話を続ける。
「メリーは悪魔と契約した自分への嫌悪感や、エクソシストの一家に生まれたのにそれを裏切ってしまうような罪悪感。そして村を燃やしたことに対する反省で胸がいっぱいだったの。だからずっと死にたがっていた。元エクソシストの私に「殺して」と何度も言われたわ。だから殺してくれるちょうどいい人を見つけたのね。それが貴方だった。だからきっとメリーは自ら時計塔に貴方を招いたのね。たくさんの魔法を駆使して…」
理事長は少し涙ぐんでいた。
「私はどうしたらいいのかしら。理事長としてはあなたを褒めなくてはいけない。悪魔を殺したことは天使と契約したものにとってはとても名誉なこと。ただ、一人のおばあちゃんとしてはメリーを失った悲しみで胸が張り裂けそうだわ。貴方が知らなかったのはわかっている。だけど許せるかはわからないわ。」
するとメリーがくれたペンダントが、優しく光った。
理事長はそれをみて驚いた顔をする。
「メリー…そうなのね。貴方がこれを託したってことは…そういうことなのね。」
そして理事長は覚悟を決めたように俺に告げた。
「私は理事長として貴方を悪魔討伐したことを表彰します。メリーは貴方に殺されたかったみたい。悪魔はもちろんのこと。自分自身までも…」
すると理事長は席を立ち、魔法の水が入っている瓶を取り出した。
「でも貴方には知ってほしいことがあるの。お願いがある。一人の時、この水にメリーのペンダントを落として。そしたらメリーの記憶が見れるから。メリーの好きになった人には知ってもらいたい。悪魔の子を憎んでいた貴方なら尚更…」
そう言い残すと理事長は切なそうな顔をしてメリーのもとに向かった。
「私はかわいい孫娘の葬式をあげてリック君よね?と過ごした時計塔に永遠に眠らせるわ。あの子はあそこが大好きだったみたいだから…」
そう言い、俺に退席を願った。
俺は退席するしかなかった。
そしてもらった瓶とペンダントを握りしめる。
俺はメリーの記憶を見る義務がある。
どんな、重い記憶でも罪悪感に胸が締め付けられそうになっても。
それが、メリーを殺した償いになると信じて…
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