時計塔には秘密が眠っている

無名小女

文字の大きさ
上 下
17 / 20

No.14,5

しおりを挟む
これは俺の記憶…
俺はソレスト村で魔道士の母さんと人間の父さんの間に産まれた。
魔道士の母さんはマナの異常で身体を悪くしており、俺は小さな頃から母さんの世話をしていたので家から出たことは一度もなかった。

父さんは母さんのために常に働いていた。
俺は毎日汗水垂らしながらも毎晩遅くまで働いて、母さんの為にお金を稼いでいる父さんが大好きだったし尊敬していた。

だから家から出れなくて他の友達と遊べなくても不満はなかった。
俺はそのくらい家族が大好きだった。

そんな俺からしたら3歳の頃のあの出来事は全てを失った気持ちになった。
母さんと二人っきりで、生活するようになってから毎日俺は働いた。
父さんほどではなかったがお金を稼いで母さんを治療してもらおうと努力した。

でも母さんはお金が貯まる前に亡くなった。
俺はその後から塞ぎこむことが多くなった。
そしてなぜかわからないが頭に残っていた悪魔の子が放火した。という記憶だけを頼りに復讐することをより決意した。

それが俺の記憶だったはずだった。
メリーからもらった記憶が俺の記憶の穴を埋める。

俺はある時、父さんから絵本を読んでもらった。
その話は村に代々伝わる話だった。
「昔、昔、ソレスト村は悪魔に魂を好き勝手に喰らわれ、困っていました。
なぜならソレスト村には悪魔の住む世界に繋がるゲートがあり、そのゲートを開いたのが紫の瞳を持った村人の一人でした。
その村人はゲートを開くことで悪魔の力を手に入れ、村で好き勝手にして、暮らしていました。
人々は悪魔と悪魔に魂を売った紫の瞳をもつ村人を悪魔の子と呼び、嫌いながらも対処法がわからず、困っていました。
ある時、その話を聞きつけたエクソシストの方が悪魔退治をしにやって来ました。
悪魔はみるみるやられていきます。
ただ、あの紫の瞳をもつ村人と契約した悪魔だけは倒せず、エクソシストは封印をする決意をしました。
そして、紫の瞳をもつ村人は力を無くし、他の村人達に処刑されました。
そうして、村は平和を取り戻し、平和を呼んだエクソシストを領主にしました。
それ以来ソレスト村は平和になりましたとさ。」

そして俺はそれをおとぎ話だと思っていた。
そしたら…
あの火事の日見てしまったんだ。
父さんを置いて泣きながら逃げているとき、黒い翼を持った悪魔と、紫の瞳をした少女を。

少女は無表情だがどこか満足気で、炎を放っていた。
悪魔の子だ。本当にいたんだ。
すると悪魔に見たことを気が付かれた。
「こいつに姿を見られたぞ。どうする?」
「この子は関係ない子だった。だから記憶を封印するだけにするわ。忘れてね。少年君。」

そうだった。
これが俺が悪魔の子を知っていた理由だった。
その記憶をメリーに封印させられていたんだ。

でも疑問に残ることがある。
どうして封印を解いた?
どうして俺に悪魔を殺させた?
復讐で悪魔と契約したって言ったがなんの復讐?
他にもたくさんあるが頭がぐるぐるして追いつかない。

行かなきゃ、早く。
メリーの口から全てを聞きたい。
だからメリーには助かってもらわなきゃ困るんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。 そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。 このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。 【web累計100万PV突破!】 著/イラスト なかの

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...