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No.14
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それからというものの悪魔退治にはとても苦戦した。
とてもじゃないけどこの剣がなければ歯も立たなかっただろう。
「もう、この際封印してしまいますか?倒すことは不可能だとしても封印なら私に任せてくれれば容易にやってみせます。」
エルはボロボロになった翼を見つめ、息を荒くしながら言った。
「駄目よ。封印だったら解かれる可能性がある。現に私は封印を解いて契約したんだから。」
「でも、そのほうがあなたも…」
「私はいいの。もう覚悟はできてる。」
メリーのその紫の瞳は真剣で立ち振舞も堂々としていた。
エルはそれに怯んだように口をすぼめた。
「わ、わかりましたよ…まあその方がこちら的にはありがたいんですからね。全力の中の全力を尽くして戦ってやりますよ!ね?ご主人」
「ああ…やってやるさ…そしたらメリー喜ぶんだろ?」
するとメリーはニコッと笑った。
「うん、そうしてくれる?そうしたら私は幸せだから。」
そのメリーの笑顔は儚くて消えてしまいそうだった。
でも、俺はそれに気が付かなかった。
目の前の悪魔に夢中だった。
「固定しました!ご主人、刺してください!」
エルは苦しそうに顔を歪ませていた。
「力を貸してくれるよな。メリー」
「うん、リック。ありがとう。」
俺はメリーから力を借りた。
ありったけの力を剣にこめる。
それを悪魔の心臓にめがけてぶっ刺した。
「ぐっ…」
悪魔はきつそうな顔をした。
俺は更に力を込める。
悪魔は苦しそうな顔をしながら、俺に向かって魔法を放った。
まずい、目の前で魔法を放たれた!
そう思っていたら、メリーがくれたペンダントが輝き、シールドを作った。
おかげで俺は攻撃はくらわなかった。
「くうっ…」
悪魔はどうやら力尽きたようでぐったりとし、倒れこんだ。
「ご主人、やりましたね!あんなに強い悪魔を倒せるなんてすごいですよ!」
「いやいや、これはエルとあとメリーの力がなかったら、無理だったよ。ありがとう…ってメリー?」
おかしい。いつもなら一番に褒めてくれるはずなのに。
嫌な予感がした。
俺はメリーのいる後ろを振り向いた。
すると…
メリーが倒れこんでいた。息苦しそうにしている。
「メリー!?」
俺はメリーに駆け寄った。
急いで治癒魔法を使うが効かない。
「エル、助けてくれ。メリーが…」
エルは首を横にふった。
「どうして…」
「助からないんですよ。悪魔を殺したら悪魔の契約者も死んでしまうんです。これを道連れ制度と言います。私はご主人が知ってると思ってました…でも知らなかったんですね…」
「そんな制度、嘘だ。メリーが死ぬなんて認めない!」
俺は声を荒げた。
メリーが死ぬなんて嫌だ。
でもメリーは首を横に振った。
かすれた声で俺に話しかける。
「リック…今まで…あり…がとう…実は…ずっと…騙して…いた…ことが…まだ…あるの…記憶…返すね…」
そう言ってメリーは俺の手を掴んだ。
すると俺は痛みの正体に気がついた。
いや、嘘だと信じたい。
そんなわけない。
俺はあの火事の出来事の時、悪魔と悪魔の子を見ていた。
その悪魔と悪魔の子の正体は…
「メリーだった?悪魔の子は…」
紫色の瞳のあの頃と変わらない姿をしたメリーと、さっき倒した悪魔そのものだった。
そう呟いたらメリーは悲しそうに笑い頷いた。
「言え…なかった…の…私…リック…の…こと…大好き…だから…」
そう言ってメリーは意識を失った。
このままじゃ何もわからない。
俺はメリーをおんぶしエルと一緒に理事長室に向かう決意をした。
真実を知るために…
とてもじゃないけどこの剣がなければ歯も立たなかっただろう。
「もう、この際封印してしまいますか?倒すことは不可能だとしても封印なら私に任せてくれれば容易にやってみせます。」
エルはボロボロになった翼を見つめ、息を荒くしながら言った。
「駄目よ。封印だったら解かれる可能性がある。現に私は封印を解いて契約したんだから。」
「でも、そのほうがあなたも…」
「私はいいの。もう覚悟はできてる。」
メリーのその紫の瞳は真剣で立ち振舞も堂々としていた。
エルはそれに怯んだように口をすぼめた。
「わ、わかりましたよ…まあその方がこちら的にはありがたいんですからね。全力の中の全力を尽くして戦ってやりますよ!ね?ご主人」
「ああ…やってやるさ…そしたらメリー喜ぶんだろ?」
するとメリーはニコッと笑った。
「うん、そうしてくれる?そうしたら私は幸せだから。」
そのメリーの笑顔は儚くて消えてしまいそうだった。
でも、俺はそれに気が付かなかった。
目の前の悪魔に夢中だった。
「固定しました!ご主人、刺してください!」
エルは苦しそうに顔を歪ませていた。
「力を貸してくれるよな。メリー」
「うん、リック。ありがとう。」
俺はメリーから力を借りた。
ありったけの力を剣にこめる。
それを悪魔の心臓にめがけてぶっ刺した。
「ぐっ…」
悪魔はきつそうな顔をした。
俺は更に力を込める。
悪魔は苦しそうな顔をしながら、俺に向かって魔法を放った。
まずい、目の前で魔法を放たれた!
そう思っていたら、メリーがくれたペンダントが輝き、シールドを作った。
おかげで俺は攻撃はくらわなかった。
「くうっ…」
悪魔はどうやら力尽きたようでぐったりとし、倒れこんだ。
「ご主人、やりましたね!あんなに強い悪魔を倒せるなんてすごいですよ!」
「いやいや、これはエルとあとメリーの力がなかったら、無理だったよ。ありがとう…ってメリー?」
おかしい。いつもなら一番に褒めてくれるはずなのに。
嫌な予感がした。
俺はメリーのいる後ろを振り向いた。
すると…
メリーが倒れこんでいた。息苦しそうにしている。
「メリー!?」
俺はメリーに駆け寄った。
急いで治癒魔法を使うが効かない。
「エル、助けてくれ。メリーが…」
エルは首を横にふった。
「どうして…」
「助からないんですよ。悪魔を殺したら悪魔の契約者も死んでしまうんです。これを道連れ制度と言います。私はご主人が知ってると思ってました…でも知らなかったんですね…」
「そんな制度、嘘だ。メリーが死ぬなんて認めない!」
俺は声を荒げた。
メリーが死ぬなんて嫌だ。
でもメリーは首を横に振った。
かすれた声で俺に話しかける。
「リック…今まで…あり…がとう…実は…ずっと…騙して…いた…ことが…まだ…あるの…記憶…返すね…」
そう言ってメリーは俺の手を掴んだ。
すると俺は痛みの正体に気がついた。
いや、嘘だと信じたい。
そんなわけない。
俺はあの火事の出来事の時、悪魔と悪魔の子を見ていた。
その悪魔と悪魔の子の正体は…
「メリーだった?悪魔の子は…」
紫色の瞳のあの頃と変わらない姿をしたメリーと、さっき倒した悪魔そのものだった。
そう呟いたらメリーは悲しそうに笑い頷いた。
「言え…なかった…の…私…リック…の…こと…大好き…だから…」
そう言ってメリーは意識を失った。
このままじゃ何もわからない。
俺はメリーをおんぶしエルと一緒に理事長室に向かう決意をした。
真実を知るために…
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