時計塔には秘密が眠っている

無名小女

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NO.3

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次の日、俺は放課後、時計塔に向かった。

メリーのいる部屋に行くと
「ちゃんと約束通りに来てくれてありがとうね」
と素直にお礼されて戸惑った。

それに昨日は気が付かなかったがよく見たらメリーのいる部屋はまるでホテルの部屋の様な作りになっていてトイレやお風呂まであったこと。どうやらメリーはここで暮らしているらしい。

そんなメリーに課された第一の課題は…
「とりあえず問題児になるのをやめようか(笑)」
そう言ってメリーは座っていたベットから降りて本棚から俺が使ってる教科書を取り出した。

「君は実技の魔法授業以外を軽視してるみたいだけど、他の授業もとても大切なの。だから真面目に受けて今度ある実力テストで全科目80点以上とってみて。倒し方を本格的に教えるのはそれからかな。」
そう言ってメリーはパラパラと教科書をめくる。

「なんでそんなことする必要があるんだよ?実技の魔法試験は一位なんだ。問題ないだろ?」
俺は反発した。早く色々教えてほしいのに。時間を無駄にしたくない。

「なんでかって?うーん…そうね」
メリーは俺が座っている椅子に対面式に座り机に教科書を広げた。

「例えば昨日見た本、覚えてる?その人について詳しくわかる本」
「ああ」
「あれ、教科書に載ってるのよ。しかもリックの学年の」
そう言ってメリーは載っているページを指差した。
確かにそこには封印されている代表的な本達が載っていた。

「こういう知識を知らないのは戦いに不利なの。魔法は使えればいいわけじゃない。道具とかについても学ばなければいけないし、何より…」
メリーは紫色の目を鋭くこちらに向け、
「その、魔法さえできれば大丈夫って態度が一番駄目。相手のこともよく見る知識もつけないともあるし、何より油断が命とりなんだからね!」
メリーはそう言って机を叩いた。
彼女は本気のようだ。

「わ、わかったよ…」
こうして俺は小学生のような背丈の少女になぜか圧倒され、勉強するはめになった。

こうして俺が真面目に勉強し始めると、友達、先生、皆揃って驚き、何故か体調を心配する生徒まで出始めた。

宿題をだしたら感動したらしく先生に泣かれ、授業のノートを真面目にとったら横の席の人がこちらをガン見し、授業で発表して答えたら拍手がでる始末。

「疲れる…」
俺はお昼休みにため息をついた。
確かに今まで宿題を一度もやらなかったし、ノートもとらなかったし、発表もしなかったけど…
周りの反応がこんなに変わるとは思わなかった。

「まあまあ俺達もはじめはすごいびっくりしたもんな。」とジレット
「うんうん。具合でも悪くなったかと思っちゃったもんね。心配だったよ。」と女友達のリエル
「わかる、だって一年の終わりに急に態度が変わるんだよ?いくら仲いいからってびっくりしちゃうよ。」とリエルの友達のミーシャ
お昼の食べるメンバーの三人だ。

「俺だって真面目にやるときはやるんだよ。ほら、学年末テストも近いし。」
そう、俺は3週間後にある学年末テストに向かって勉強している。
じゃないとなんにも教えないとかメリーが言うし渋々だ。

すると、みんなが大笑いした。
「リックからついにテストって単語がでたよ。そんなの今まで気にしてなかったじゃないか。」
「そうよ、テスト中ずっと寝てたこともあったじゃない。」
ジレットとミーシャが馬鹿にしたように笑う。
それにいらついたがリエルに落ち着いてと言われて仕方なく俺は黙っていた。
とにかく今は周りの反応は無視して勉強するしかないな…と俺は若干憂鬱だった。

放課後、俺はまた時計塔に向かう。
メリーが勉強を教えてくれるらしいし、何よりあそこなら周りがうるさくない。

時計塔に行く途中にリエルとばったり会った。
「あれ?リック君どこ行くの?探してたんだ。今から4人で勉強会しようかって話になってたんだけど…」
「ああ、そうなんだ。でもごめん。先約あるから。」
「そうなんだ…ごめんね、誘っちゃって」
リエルはどこか残念そうだった。
正直、勉強会なら俺は邪魔な気がするんだが…
「先約って女の子かな…」
小声で何かリエルが考えていそうな顔をしながら言った。

もしかしたら悩みごとでもあるのかもしれない。ならちゃんと聞きたい。
「なんかいった?ごめん、聞こえなかった。」
「ううん、なんでもない。いってらっしゃい、リック君、わからないところとかあったら私も教えるから頼ってね。」
「ありがとな。」
俺は誘ってくれたリエルに申し訳ない気持ちになりながら時計塔に向かっていった。
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