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(03) 男に嬲られて
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俺はいつも通りシフトを入れていた。
壮太さんと店長の事は、心に封印し、日々何事もなかったように過ごす。
それは、案外、何でもない事のように思えた。
しかし、ある日、ちょっとした事件が起きた。
それは、バイト中の事。
「伊吹君。休憩に入って!」
「はい!」
店長は俺の肩を叩いた。
「休憩室にお菓子があるから、食べていいわよ。壮太君の差し入れ」
「はい、頂きます」
俺は、バックヤードに移動しながら、うーん、と伸びをした。
仕事にもようやく慣れてきた、と思えるだけの気持ちのゆとりが生まれていた。
ガチャ。
休憩室の扉を開く。
そこには、ソファにもたれる壮太さんの姿があった。
俺はすぐに頭を下げる。
「おはようございます!」
「ああ」
壮太さんは、ぶっきらぼうにそう答えた。
最近分かったのだが、壮太さんがこうやってやたらキツイ口調で話すのはバイトの中でも俺だけ。
新入りだからか、やはり俺は嫌われているのか、何とも分からない。
まぁ、いいや、と俺は一歩踏み出すと、壮太さんも時計を見て立ち上がった。
壮太さんはそのまま俺と入れ違うように出口へ向かう。
かのように見えた。
壮太さんは、横目で俺の顔をチラッと見ると突然、
ドン!
と、腕を伸ばし壁に手をついた。
俺は、行く手を阻まれ、驚きの表情で壮太さんを見つめる。
壮太さんは、顔を至近距離まで近づけ、小声で言った。
「なぁ、お前。見ていたんだろ? あれを」
「え、えっと、その何の事でしょう?」
俺はとぼけて言った。
もちろん、先日の事を言っているのは明白。
壮太さんの目が光る。
俺の額から、ツーっと汗が流れ落ちた。
「なぁ、取引と行かないか?」
「……取引?」
「ふふふ、黙っていてくれたら、お前も気持ちよくさせてやるよ。どうだ?」
壮太さんの手が俺の頬に触れた。
そして、その手はそのまま俺の唇をなぞる。
「えっと、その……」
壮太さんは、ぺろりと自分の上唇を舐めた。
壮太さんは俺の唇を弄ぶ。
壮太さんは、親指を俺の口の中にグイッと挿し込むと、舌を抑えるようにまさぐり始める。
何だ? この感覚。
今まで味わった事がない。
俺は不思議な感覚に襲われ戸惑いを覚えた。
「ほら、どうだ? 感じているんじゃないのか?」
心臓の鼓動が速くなり息が荒くなる。
「はぁはぁ、そ、そんな事……」
「我慢しなくていいぞ……」
壮太さんの目。
何でも見透かすような眼差し。
「そ、そんなに見つめないでください。恥ずかしいです……」
俺はうわごとのように呟く。
壮太さんの指が口から出たり入ったりするうちに、俺の口はヨダレで溢れてかえった。
頭がぼうっとしてくる。
何かおかしい。
足がガクガクして立っているのがやっと。
ポワッとしてふわふわと浮かんでいる錯覚。
「なぁ、想像してみろよ。こうやってオレの指がお前の口に突っ込んでるように、オレのペニスがお前のアナルに突っ込むところを……」
俺のアナルに、壮太さんのが……。
あのおっきな立派な男根。
何故か、下腹部がじわりと熱くなってくる。
それと同時に、自分のペニスが固くなってくるのが分かった。
「そして、かき回すんだ。こんな風に」
「うっうう……」
壮太さんの指がオレの口の中を容赦なく蹂躙する。
それに呼応するように体の芯が熱くなってくる。
パンツの中は、ペニスの先から吹き出した我慢汁で、ぐちょぐちょのお漏らし状態。
「どうだ? 気持ちいいか?」
「……はい、気持ちいいです」
目の前の景色が白くなっていく。
ああ、気持ちいい……。
こうやって壮太さんに導かれ俺は快楽の階段を駆け上がっていく。
ああ、いくっ……。
無重力のフワッとした感覚が全身を襲う。
とそのまま、力が抜けた。
ドクッ、ドクッっと、ペニスの先から精子が発射される感覚。
ああ、いってしまった……。
「おっと、いったのか? 目を潤ませて、どエロい顔しやがって……」
壮太さんに体を支えられて、俺はそのままソファに倒れ込んだ。
オレの耳元で、壮太さんが囁く。
「お前、なかなか可愛かったぞ。ふっ、ふはははは」
最後の方は大笑い。
「笑わなくてもいいじゃないですか……」
俺はそう言ったつもりだったけど言葉にならなかったようだ。
壮太さんは、振り返る事なくそのままシフトに戻っていく。
俺はその様子を、ソファにもたれながらぼんやりと見つめていた。
あの不思議な体験の後、俺は壮太さんを直視出来ずにいた。
どうして男性に嬲れて射精なんか……俺、男なのに……。
ただ言える事は、壮太さんは俺にとって特別な存在になったって事だ。
一緒のシフトになれば、嬉しくて胸が躍るし、そうで無ければ、悲しくて心が沈む。
そして、気になるのは店長との関係。
チラチラ二人を観察するのだが、あれ以来休憩室やバックヤードで情事が行われた形跡はなかった。
やはり、プライベートで付き合っている。
そう考えるのが妥当な所だろう。
店長が女だろうが男だろうが、美男美女のお似合いのカップルであるのは間違いないのだ。
俺が出る幕何てない……。
でも……。
そんな鬱々とした日々が始まっていた。
壮太さんと店長の事は、心に封印し、日々何事もなかったように過ごす。
それは、案外、何でもない事のように思えた。
しかし、ある日、ちょっとした事件が起きた。
それは、バイト中の事。
「伊吹君。休憩に入って!」
「はい!」
店長は俺の肩を叩いた。
「休憩室にお菓子があるから、食べていいわよ。壮太君の差し入れ」
「はい、頂きます」
俺は、バックヤードに移動しながら、うーん、と伸びをした。
仕事にもようやく慣れてきた、と思えるだけの気持ちのゆとりが生まれていた。
ガチャ。
休憩室の扉を開く。
そこには、ソファにもたれる壮太さんの姿があった。
俺はすぐに頭を下げる。
「おはようございます!」
「ああ」
壮太さんは、ぶっきらぼうにそう答えた。
最近分かったのだが、壮太さんがこうやってやたらキツイ口調で話すのはバイトの中でも俺だけ。
新入りだからか、やはり俺は嫌われているのか、何とも分からない。
まぁ、いいや、と俺は一歩踏み出すと、壮太さんも時計を見て立ち上がった。
壮太さんはそのまま俺と入れ違うように出口へ向かう。
かのように見えた。
壮太さんは、横目で俺の顔をチラッと見ると突然、
ドン!
と、腕を伸ばし壁に手をついた。
俺は、行く手を阻まれ、驚きの表情で壮太さんを見つめる。
壮太さんは、顔を至近距離まで近づけ、小声で言った。
「なぁ、お前。見ていたんだろ? あれを」
「え、えっと、その何の事でしょう?」
俺はとぼけて言った。
もちろん、先日の事を言っているのは明白。
壮太さんの目が光る。
俺の額から、ツーっと汗が流れ落ちた。
「なぁ、取引と行かないか?」
「……取引?」
「ふふふ、黙っていてくれたら、お前も気持ちよくさせてやるよ。どうだ?」
壮太さんの手が俺の頬に触れた。
そして、その手はそのまま俺の唇をなぞる。
「えっと、その……」
壮太さんは、ぺろりと自分の上唇を舐めた。
壮太さんは俺の唇を弄ぶ。
壮太さんは、親指を俺の口の中にグイッと挿し込むと、舌を抑えるようにまさぐり始める。
何だ? この感覚。
今まで味わった事がない。
俺は不思議な感覚に襲われ戸惑いを覚えた。
「ほら、どうだ? 感じているんじゃないのか?」
心臓の鼓動が速くなり息が荒くなる。
「はぁはぁ、そ、そんな事……」
「我慢しなくていいぞ……」
壮太さんの目。
何でも見透かすような眼差し。
「そ、そんなに見つめないでください。恥ずかしいです……」
俺はうわごとのように呟く。
壮太さんの指が口から出たり入ったりするうちに、俺の口はヨダレで溢れてかえった。
頭がぼうっとしてくる。
何かおかしい。
足がガクガクして立っているのがやっと。
ポワッとしてふわふわと浮かんでいる錯覚。
「なぁ、想像してみろよ。こうやってオレの指がお前の口に突っ込んでるように、オレのペニスがお前のアナルに突っ込むところを……」
俺のアナルに、壮太さんのが……。
あのおっきな立派な男根。
何故か、下腹部がじわりと熱くなってくる。
それと同時に、自分のペニスが固くなってくるのが分かった。
「そして、かき回すんだ。こんな風に」
「うっうう……」
壮太さんの指がオレの口の中を容赦なく蹂躙する。
それに呼応するように体の芯が熱くなってくる。
パンツの中は、ペニスの先から吹き出した我慢汁で、ぐちょぐちょのお漏らし状態。
「どうだ? 気持ちいいか?」
「……はい、気持ちいいです」
目の前の景色が白くなっていく。
ああ、気持ちいい……。
こうやって壮太さんに導かれ俺は快楽の階段を駆け上がっていく。
ああ、いくっ……。
無重力のフワッとした感覚が全身を襲う。
とそのまま、力が抜けた。
ドクッ、ドクッっと、ペニスの先から精子が発射される感覚。
ああ、いってしまった……。
「おっと、いったのか? 目を潤ませて、どエロい顔しやがって……」
壮太さんに体を支えられて、俺はそのままソファに倒れ込んだ。
オレの耳元で、壮太さんが囁く。
「お前、なかなか可愛かったぞ。ふっ、ふはははは」
最後の方は大笑い。
「笑わなくてもいいじゃないですか……」
俺はそう言ったつもりだったけど言葉にならなかったようだ。
壮太さんは、振り返る事なくそのままシフトに戻っていく。
俺はその様子を、ソファにもたれながらぼんやりと見つめていた。
あの不思議な体験の後、俺は壮太さんを直視出来ずにいた。
どうして男性に嬲れて射精なんか……俺、男なのに……。
ただ言える事は、壮太さんは俺にとって特別な存在になったって事だ。
一緒のシフトになれば、嬉しくて胸が躍るし、そうで無ければ、悲しくて心が沈む。
そして、気になるのは店長との関係。
チラチラ二人を観察するのだが、あれ以来休憩室やバックヤードで情事が行われた形跡はなかった。
やはり、プライベートで付き合っている。
そう考えるのが妥当な所だろう。
店長が女だろうが男だろうが、美男美女のお似合いのカップルであるのは間違いないのだ。
俺が出る幕何てない……。
でも……。
そんな鬱々とした日々が始まっていた。
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