【完結】弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件

一終一(にのまえしゅういち)

文字の大きさ
上 下
41 / 68
第2章 無限イチャイチャ計画

第41話 忍ばないデート1・クソダンス

しおりを挟む
 デート計画を立てて数日後。

 俺は狭いような広いような微妙なラインの公園で風華を待っていた。

 すると花柄のワンピースを着た風華が走り寄ってきた。見た目だけは死ぬほどかわいい。見た目だけは。

「お待たせしました。あなたは空雄さんですか?」

「それ以外ねぇだろ」

「では合言葉を……私の好きな食べ物は?」

 はぁ? 合言葉なんて決めてなかっただろ。まぁ好きな食べ物くらいは知ってるし、ノリに合わせてやるか。

「マカロンだろ」

「血液型は?」

「B型」

「スリーサイズは?」

「上から85、58、85」

「何で知ってるんですか、きもぉ」

 お前を助けるために何度もプロフィール見たからだよクソッタレ!

「つーか合言葉ってなんだよ」

「今日はお忍びデートですからね。ニンニン」

 ニンニンやめろ。それじゃ忍者同士のデートだろ。

「全然忍べてないけどな」

「ところでその首に下げているのは何ですか? 迷子札ですか?」

 俺は首から長いストラップを付けたカード入れをぶら下げていた。半透明のカード入れの中には俺の顔写真と軽いプロフィールが書かれている。

「社員証もどきだよ。お前は人気者なんだから男といるのがバレたらマズイだろ。だから保険としてこれぶら下げておけばマネージャーかスタッフと勘違いしてくれると思ったんだよ」

「なるほど。たまにはいいこと思い付きますね」

「お前よりはな」

「それじゃあエッチな動画撮りますか」

「普通のダンス動画な」

 俺が曲を掛けてスマホを構えると、踊り始めた。

「ずんちゃ、ずんちゃ」

 なんだよそのリズム。かわいくなければ許されないぞ。かわいいから許されるけども。

 曲が佳境かきょうに入ったところで、風華がくるりとその場で回転した。瞬間、スカートがめくり上がり、太ももの辺りまで足があらわになる。俺はそれを見て思わず視線をらした。

「おい。気をつけないと、その……見えるぞ」

「サービスですよ」

「いやマズイだろ。一応清楚なお天気お姉さんなんだからそういう売り方は良くない」

「なるほど、自分以外には見せるなと。束縛ですね?」

「なぜそうなる」

 口が裂けても言わないが正直、見せて欲しくないなとは思う。それは束縛というよりも俺の交友関係の少なさから来るものだ。昔から友達が他の友達と遊んでいるとモヤモヤした気持ちになる。

 遊び人や顔の広い人間なら誰が誰と遊ぼうが、自分も他の友人や女と遊ぶので気にしないのだろう。だが俺は交友関係が狭く、一人当たりの依存度が高いのでこういった嫉妬に似た感情が生まれやすい。ホント、損な性格してんなぁ俺。

 勝手にネガティブになっていると、風華が気持ちを察したのか、ヤレヤレといったリアクションをとった。

「仕方ないですねぇ。後でエッチな画像送ってあげますからそれで何かをいたしてください」

「致さねぇよ!」

 コイツよく今まで犯罪に巻き込まれず生きてこれたな!

 風華は俺の見下した視線をもろともせず、次はロボットダンスを始めた。

「ウィーンガシャーン、ウィーンガシャーン」

 その擬音いらねぇだろ!

 さらに何を血迷ったかコサックダンスを始めた。

「ほい! ほい!」

 何気に凄くうまい。じゃなかったマズイぞ!

「おいバカ、見えてはいけないものが見えるって!」

「パンツの一枚や二枚で騒がないでくださいよ。減るもんじゃあるまいし」

 それセクハラオヤジが言うセリフだろ!

「それでは最後にヘッドスピンをお見せしましょう」

「多分色々と大惨事になるから辞めてくれ」

 俺は何とか説得した。

 その後。

「ちょっと腹減ったな」

「それじゃあお弁当を食べましょう」

「そんなの持って来てたのか」

「彼女の手作りお弁当食べたいでしょう?」

 そりゃあ食べたいけどコイツは弁当に関しては前科があるからな。その名もカレーぶち撒け事件。ピクニック企画でビッキーの頭にカレーをぶち撒けたアレだ。あの事件の動画は切り抜かれて今もネット上で再生数を伸ばし続けている。

「まさかカレーじゃねぇよな?」

「あはは! 同じ失敗はしませんよ。今回はシチューです」

 コイツ一回脳みそのメンテナンスした方がいいんじゃねぇか?

 その後、警戒しながらもシチューを無事食べ終えた。結構美味かったのがムカつくわ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...