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第1章 弱男だけどなぜかお天気お姉さんと付き合うことになった件
第18話 弱男の家
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マスコットキャラドライくんのとち狂った歌とダンスが終わって数日後。
「いやー、ここってウサギ小屋みたいで落ち着きますよね」
誰がウサギ小屋おじさんだよ。俺は子供部屋おじさんだよ。
いつものように天気を伝えないお天気キャスターの乃和木風華が勝手にウチのボロアパートに上がっていた。
コイツはまたクビにならなかったらしく、次の厄介ごとを持ってきたのだ。
「次もマスコットキャラっすか?」
「いやいや、もうマスコットは二度とやらなくていいと言われました。やっぱりお天気キャスターは笑顔を振り撒くのが仕事ですからねぇ」
お前が振り撒いてんのは厄災だよ。てかクビになっただけだろ。
「私、会社の近くの寮に住んでるんですけど今度はそこを紹介することになったんです」
いつになったら天気予報やらせてもらえるんだか。
「よかったっすね。じゃあ頑張——」
「そこで! いつものやつ持ってきましたよ!」
会話のキャッチボールしろよ。投げ返す前から二球目を豪速球で投げてんじゃねぇぞ。
例のごとく番組の構成表を渡される。猿に餌を与えてしまったせいで家に居着かれてとんだ災難だ。
俺は嫌がらせのようにクソデカため息をついた。
「あ、そんな大きな呼吸をすると酸素が尽きませんか!?」
ここは沈没船のエアポケットかよ! いくらここがクソ狭いアパートでも酸素は無くならねぇよ! むしろ窓からの隙間風で酸素ビュービューだわ! ギャハハ! ……笑えねぇよ!
失礼なノー天気女をひと睨みした後、仕方なく構成表に目を通す。
えっーと、社員寮を回って共用スペースの紹介、自室の私物紹介、他のキャスターの部屋紹介。以上。なんか大ざっぱだなぁ。
「自分の寮だし、今回は簡単そうっすね」
「今回もですね」
お前の中ではな!
「ところで! 部屋って何置けばいいんですか?」
しらねぇよ。
「生活に必要なもの、後は好きなものとかっすかね」
「木彫りのクマですか?」
土産物屋かよ。
「それとも剣のキーホルダーとかですか?」
初々しい修学旅行生かよ。
「もしくは木刀とか?」
だから修学旅行生かよって。
「それが好きならいいんじゃないっすか」
「いや別に。というか既に全部部屋に置いてあります」
コイツ……無駄なカロリー使わせんなよ。貧乏はお腹が減るからカロリー消費を抑えないといけないんだからな。
「自室には他に何を置いてるんすか?」
「茣蓙です」
座敷牢かよ。
「なんでゴザ?」
「和の物があると安心しません?」
よく聞くけどいまいちピンと来ないな。海外行ったやつがご飯とみそ汁が恋しくなるっての聞くけど海外旅行行ったことねぇしな。
「俺は洋風の方が好きっすね」
「裏切り者ですね」
どういう論理だよ。
「ともかくゴザは座っていると回復するんですよ」
セーブポイントかよ。
「……それは良かったっすね。後は変な物は捨てるか実家に送っとくかした方がいいかもっすね」
「変な物?」
「ひ、避妊具とかっす」
「あ、コンドームならありますよ」
なにっ!? やはりビッチだったか……!
「サバイバルの時水筒に使えると聞いたので、もしもの時のために持ち歩いています! 遭難したら大変ですからねぇ」
コイツに普通の発想はねぇのかよ。遭難なんてそうそうしねぇよ、と言いたいけどコイツは年一回くらいしそうだな。トラブルメーカーだし。
「あはは、とにかくそれは見えないとこに隠すべきっす。後はタバコとか」
「それは吸わないから大丈夫です」
「後は怪しい薬とか、怪しい情報商材とか、怪しい宗教の小冊子とか、違法ダウンロードしたゲームとか」
「私をなんだと思ってるんですか!」
犯罪者予備軍だよ。
「とにかくヤバいものは片付けとくように。それから番組を盛り上げたいならなんか面白いものがあるといいかもしれないっすね」
「死体ですか?」
名探偵ー! 早くコイツを捕まえてくれー!
「もっと現実味のあるものがいいっす」
「木漏れ日」
うーん、風流だねぇ。やかましいわ。
「他にないっすか?」
「思いつきませんねぇ。そうだ、空雄さんの家にある面白いもの貸してくださいよ」
俺の家に面白いものなんてねぇよ。骨董品にもならないホコリ被った謎の物体しかねぇよ。
「京都へ修学旅行に行った時に勢いで買った謎の部族の仮面ならあるっす」
「そういうのはせめて海外で買いません?」
うるせぇよ。学生の時なんて謎のテンションで変なもの買っちゃうことあるだろ。
「あとは萌えフィギュアくらいすかね」
面白くはないが、女が持ってたら話題になるだろ。しらねぇけど。
「あ、いいですねぇ」
と言って棚にあるフィギュアのスカートの中を覗き出した。
「ハッ! 原作と同じ下着!」
着眼点がキモオタ過ぎんだろ!
何はともあれ、後は適当に助言してその日は解散した。
「いやー、ここってウサギ小屋みたいで落ち着きますよね」
誰がウサギ小屋おじさんだよ。俺は子供部屋おじさんだよ。
いつものように天気を伝えないお天気キャスターの乃和木風華が勝手にウチのボロアパートに上がっていた。
コイツはまたクビにならなかったらしく、次の厄介ごとを持ってきたのだ。
「次もマスコットキャラっすか?」
「いやいや、もうマスコットは二度とやらなくていいと言われました。やっぱりお天気キャスターは笑顔を振り撒くのが仕事ですからねぇ」
お前が振り撒いてんのは厄災だよ。てかクビになっただけだろ。
「私、会社の近くの寮に住んでるんですけど今度はそこを紹介することになったんです」
いつになったら天気予報やらせてもらえるんだか。
「よかったっすね。じゃあ頑張——」
「そこで! いつものやつ持ってきましたよ!」
会話のキャッチボールしろよ。投げ返す前から二球目を豪速球で投げてんじゃねぇぞ。
例のごとく番組の構成表を渡される。猿に餌を与えてしまったせいで家に居着かれてとんだ災難だ。
俺は嫌がらせのようにクソデカため息をついた。
「あ、そんな大きな呼吸をすると酸素が尽きませんか!?」
ここは沈没船のエアポケットかよ! いくらここがクソ狭いアパートでも酸素は無くならねぇよ! むしろ窓からの隙間風で酸素ビュービューだわ! ギャハハ! ……笑えねぇよ!
失礼なノー天気女をひと睨みした後、仕方なく構成表に目を通す。
えっーと、社員寮を回って共用スペースの紹介、自室の私物紹介、他のキャスターの部屋紹介。以上。なんか大ざっぱだなぁ。
「自分の寮だし、今回は簡単そうっすね」
「今回もですね」
お前の中ではな!
「ところで! 部屋って何置けばいいんですか?」
しらねぇよ。
「生活に必要なもの、後は好きなものとかっすかね」
「木彫りのクマですか?」
土産物屋かよ。
「それとも剣のキーホルダーとかですか?」
初々しい修学旅行生かよ。
「もしくは木刀とか?」
だから修学旅行生かよって。
「それが好きならいいんじゃないっすか」
「いや別に。というか既に全部部屋に置いてあります」
コイツ……無駄なカロリー使わせんなよ。貧乏はお腹が減るからカロリー消費を抑えないといけないんだからな。
「自室には他に何を置いてるんすか?」
「茣蓙です」
座敷牢かよ。
「なんでゴザ?」
「和の物があると安心しません?」
よく聞くけどいまいちピンと来ないな。海外行ったやつがご飯とみそ汁が恋しくなるっての聞くけど海外旅行行ったことねぇしな。
「俺は洋風の方が好きっすね」
「裏切り者ですね」
どういう論理だよ。
「ともかくゴザは座っていると回復するんですよ」
セーブポイントかよ。
「……それは良かったっすね。後は変な物は捨てるか実家に送っとくかした方がいいかもっすね」
「変な物?」
「ひ、避妊具とかっす」
「あ、コンドームならありますよ」
なにっ!? やはりビッチだったか……!
「サバイバルの時水筒に使えると聞いたので、もしもの時のために持ち歩いています! 遭難したら大変ですからねぇ」
コイツに普通の発想はねぇのかよ。遭難なんてそうそうしねぇよ、と言いたいけどコイツは年一回くらいしそうだな。トラブルメーカーだし。
「あはは、とにかくそれは見えないとこに隠すべきっす。後はタバコとか」
「それは吸わないから大丈夫です」
「後は怪しい薬とか、怪しい情報商材とか、怪しい宗教の小冊子とか、違法ダウンロードしたゲームとか」
「私をなんだと思ってるんですか!」
犯罪者予備軍だよ。
「とにかくヤバいものは片付けとくように。それから番組を盛り上げたいならなんか面白いものがあるといいかもしれないっすね」
「死体ですか?」
名探偵ー! 早くコイツを捕まえてくれー!
「もっと現実味のあるものがいいっす」
「木漏れ日」
うーん、風流だねぇ。やかましいわ。
「他にないっすか?」
「思いつきませんねぇ。そうだ、空雄さんの家にある面白いもの貸してくださいよ」
俺の家に面白いものなんてねぇよ。骨董品にもならないホコリ被った謎の物体しかねぇよ。
「京都へ修学旅行に行った時に勢いで買った謎の部族の仮面ならあるっす」
「そういうのはせめて海外で買いません?」
うるせぇよ。学生の時なんて謎のテンションで変なもの買っちゃうことあるだろ。
「あとは萌えフィギュアくらいすかね」
面白くはないが、女が持ってたら話題になるだろ。しらねぇけど。
「あ、いいですねぇ」
と言って棚にあるフィギュアのスカートの中を覗き出した。
「ハッ! 原作と同じ下着!」
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