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第3章 王都防衛編
第85話 仲間1・一人じゃない
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突如として神樹の森の北側に現れた七体のゾンビ巨獣。
さっき倒した藍色ゾンビレベルのが七体。一斉に攻めて来られたらひとたまりもないだろう。俺だけじゃなく、国民も皆殺しにされる。
「……クッ、どうする……?」
汗も震えも止まらない。お、落ち着け。考えなければ。なにか、なにか策はないか……?
神樹の上にも下にも罠はもうない。火薬庫が壊れてしまったのでスライムボム改のストックもほぼない。
鎧兵が一万体いれば止められるんじゃないか? いや、王都と国民を守りながらだぞ? 無理だろ?
やばいやばいやばいやばい。視界が狭まり、喉が渇く。この瞬間も敵が攻めてくるかも知れないと考えると気が気ではない。
思い付け、思い付け。何かいい案を。あぁクソ、逃げたい。俺だけでも逃げてしまいたい。そんな弱い気持ちが油断をすれば顔を覗かせる。
心が挫けそうな、そんな時だった。俺の耳に二人の女性の声が届いた。
「シロ、落ち着いて。私達がついてるわ」
「そうですわ。三人ならいいアイデアが浮かぶはずですわ」
確かにそうだった。俺には二人の仲間がいる。もう一人じゃないんだ。
ゆっくりと立ち上がり、呼吸を整える。
「二人ともありがとう。一緒にゾンビを倒す方法を考えて欲しい」
二人は深く頷いた。
俺は未だ動かないゾンビ達を眺めながら、モニターでトマティナ&オイチと作戦会議を始めた。
「まだ何か有効な策はないわよね?」
「ああ、まだ何も」
二人のお陰で落ち着きを取り戻したものの、無策なのは変わらない。
「じゃあまずは状況を整理しましょ。今、私達はゾンビの群れに襲撃を受けている。第一波、第二波と退けて藍色のゾンビを倒したけれど、新たに現れた七体のゾンビのせいで窮地に立たされている。ここまではいいわね?」
「ああ。続けてくれ」
「雨のお陰か、あるいは偶然かは分からないけど敵に動きはないわ。そこで私達が優先すべきことは何だと考える?」
「……国民の避難かな」
「私も同じ考えね。ゾンビが神樹に登るのを防ぐ策がない現状では登られた先のことを考えないといけないわ。神樹の上はほぼ無防備で巨獣対策といえば王都の城壁か、大して役に立たない対巨獣兵器しかないのよね。だから大事をとって国民をどこかに退避させなければならないの。避難場所は分かるわよね?」
「“聖地”しかないよな。ゾンビは北側に陣取っているから対極である南の聖地が比較的安全だろう。宗教を利用して神樹様が守ってくれる、とでも国民に吹き込めば大半は大人しく従って避難してくれると思う」
「うん。それじゃあ女王様に掛け合ってみんなを避難させましょう」
とりあえずの方針が見えたので行動に移そうとした時だった。もう一人の彼女オイチが声を掛けてきた。
「ちょっと待ってくださいな」
「オイチどうした?」
「そう上手くいかないと思いますわ。聖騎士団にはまだまだ反勢力がいますわよね? 巨獣が神樹に登ったという事実は恐らく彼らにも知られたはず。それを脅し文句に難癖を付けてくることを考慮しておいた方がよろしいと思いますわ」
確かに。聖地でも聖騎士団が気に食わない輩を見かけたしなぁ。
「オイチの言う通りだな。ただ避難は必ずさせないといけないからその問題は適宜対応していくしかない」
「そうですわね。話の腰を折って申し訳ありませんわ」
「いや、助かったよ。起きうる問題を頭の隅に置いておけば早めに対処できる」
「それなら良かったですわ。全て終わったらご褒美をくださいね」
オイチは自身の唇に人差し指を当てて何かをアピールしている。お前はまずピンク脳を漂白しろ!
とにかく最優先は国民の避難だ。俺はゾンビが動かないことを願いつつ、馬を女王の元へ走らせた。
さっき倒した藍色ゾンビレベルのが七体。一斉に攻めて来られたらひとたまりもないだろう。俺だけじゃなく、国民も皆殺しにされる。
「……クッ、どうする……?」
汗も震えも止まらない。お、落ち着け。考えなければ。なにか、なにか策はないか……?
神樹の上にも下にも罠はもうない。火薬庫が壊れてしまったのでスライムボム改のストックもほぼない。
鎧兵が一万体いれば止められるんじゃないか? いや、王都と国民を守りながらだぞ? 無理だろ?
やばいやばいやばいやばい。視界が狭まり、喉が渇く。この瞬間も敵が攻めてくるかも知れないと考えると気が気ではない。
思い付け、思い付け。何かいい案を。あぁクソ、逃げたい。俺だけでも逃げてしまいたい。そんな弱い気持ちが油断をすれば顔を覗かせる。
心が挫けそうな、そんな時だった。俺の耳に二人の女性の声が届いた。
「シロ、落ち着いて。私達がついてるわ」
「そうですわ。三人ならいいアイデアが浮かぶはずですわ」
確かにそうだった。俺には二人の仲間がいる。もう一人じゃないんだ。
ゆっくりと立ち上がり、呼吸を整える。
「二人ともありがとう。一緒にゾンビを倒す方法を考えて欲しい」
二人は深く頷いた。
俺は未だ動かないゾンビ達を眺めながら、モニターでトマティナ&オイチと作戦会議を始めた。
「まだ何か有効な策はないわよね?」
「ああ、まだ何も」
二人のお陰で落ち着きを取り戻したものの、無策なのは変わらない。
「じゃあまずは状況を整理しましょ。今、私達はゾンビの群れに襲撃を受けている。第一波、第二波と退けて藍色のゾンビを倒したけれど、新たに現れた七体のゾンビのせいで窮地に立たされている。ここまではいいわね?」
「ああ。続けてくれ」
「雨のお陰か、あるいは偶然かは分からないけど敵に動きはないわ。そこで私達が優先すべきことは何だと考える?」
「……国民の避難かな」
「私も同じ考えね。ゾンビが神樹に登るのを防ぐ策がない現状では登られた先のことを考えないといけないわ。神樹の上はほぼ無防備で巨獣対策といえば王都の城壁か、大して役に立たない対巨獣兵器しかないのよね。だから大事をとって国民をどこかに退避させなければならないの。避難場所は分かるわよね?」
「“聖地”しかないよな。ゾンビは北側に陣取っているから対極である南の聖地が比較的安全だろう。宗教を利用して神樹様が守ってくれる、とでも国民に吹き込めば大半は大人しく従って避難してくれると思う」
「うん。それじゃあ女王様に掛け合ってみんなを避難させましょう」
とりあえずの方針が見えたので行動に移そうとした時だった。もう一人の彼女オイチが声を掛けてきた。
「ちょっと待ってくださいな」
「オイチどうした?」
「そう上手くいかないと思いますわ。聖騎士団にはまだまだ反勢力がいますわよね? 巨獣が神樹に登ったという事実は恐らく彼らにも知られたはず。それを脅し文句に難癖を付けてくることを考慮しておいた方がよろしいと思いますわ」
確かに。聖地でも聖騎士団が気に食わない輩を見かけたしなぁ。
「オイチの言う通りだな。ただ避難は必ずさせないといけないからその問題は適宜対応していくしかない」
「そうですわね。話の腰を折って申し訳ありませんわ」
「いや、助かったよ。起きうる問題を頭の隅に置いておけば早めに対処できる」
「それなら良かったですわ。全て終わったらご褒美をくださいね」
オイチは自身の唇に人差し指を当てて何かをアピールしている。お前はまずピンク脳を漂白しろ!
とにかく最優先は国民の避難だ。俺はゾンビが動かないことを願いつつ、馬を女王の元へ走らせた。
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