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おまけ15 元伯爵令嬢の末路2

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「お前は私の妻ハテナに似ていると思ったが……それは容姿だけだった! それなのに、私は妻の面影を追いかけるようにお前を甘やかし……本当に愚かなことをしたものだ! もはや妻に……ハテナに顔向けできん!」

「確かにお前のことは可愛いとは思ったが、それはもう過去の話……今のお前は最悪に尽きる! アスーナに申し訳ないと思うほどにな! 過去の自分を殴ってやりたいところだ! もう遅いんだがな!」

「…………!」


ノゲムスとリボールの怒号にソルティアは唖然とした。二人がこんなに激情を晒す姿など見たことがなかったのだ。ましてや苦悶の表情で憤るなど、この目で見ても信じられない気持ちだった。その衝撃はソルティアが怒りを忘れるほど、いやむしろ悪い予感さえ与えた。


「……お、お父様、お兄様、お、落ち着いてください。た、確かに私も悪いところもあったかもしれません……ですから、もうこの話は終わりということで……」


嫌な予感を感じ取ったため、話を終わらせたいソルティアだったが、そううまくいくはずもなかった。ノゲムスとリボールは顔を上げると険しい顔でソルティアを見ているのだから。


「ソルティア、お前を修道院に送る」

「修道院ってなんですか?」

「そんなことも知らんのか……」


修道院のことを知らない。そんなソルティアに失望しつつも元はと言えば甘やかしたせいかと思うノゲムスは、丁寧にわかりやすく修道院のことを説明した。

そして、修道院を理解したソルティアの反応はノゲムスとリボールの予想通りとなる。


「そんなところに行きたくありませんわ! 私はそこまで悪くないじゃないですか!」

「もう遅い。お前が行くのは決定事項だ。もっと早くから送ってやるべきであったが……」


ノゲムスはそこで言葉に詰まった。送る前に厳しく教育すればよかったと自分でも思ったばかりなのだから。


「父上、どうせ修道院に送るというのなら我が国で一番厳しいところに送りましょう。エグゼード公爵家直属のイプスナ修道院がよいかと」

「うむ。よかろう」

「そんな! 一番厳しいところだなんて!」


エグゼード公爵家直属のイプスナ修道院。歴代の王妃の実家である公爵家が運営する修道院であるため、修道院の中でも国一番厳しい場所で知られている。入ったしまえば二度と出てくることもないとまで言われているらしいが、そんな話もソルティアは知らない。修道院と言うだけで嫌だろうが。


「お父様! どうか私にチャンスを下さい! カリブラ様よりいい男性をくだされば……姉様よりもいい男を、」

「何を言っとる? もうお前の我儘を聞く愚かな父ではない」

「無論、私も父上と同意見だ。こんな結果は悲しいがお前に問題がありすぎる。今更遅いが後悔するがいい」

「……!」


ソルティアはこの後も喚き散らし、挙げ句には暴れまわったが、部屋に隠れていた『陰』によって静かにさせられるのであった。
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