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おまけ7 第40話補足
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恥をかいたカリブラは次の日から休んだ。休んだ理由はたくさんある。カリブラ自身が恥ずかしい噂のせいで学園にいたくないというのもあるが、両親からもしばらく学園に顔を出すなと言われたのだ。
何故か両親にも学園で何が起こったのか知られてしまったのだ。そのおかげで、アスーナとハラドに『婚約者の交換』を提案したことを咎められたのだ。
「お前は何を考えてるんだ! 婚約者の交換? 馬鹿もいい加減にしろ!」
「そ、ソルティアの考えたことで……」
「あの娘の考えたことを受け入れたお前にも非があるわ! せめて私達に相談でもしてくれれば止めたのに!」
「そ、それは……」
「そもそも学園で恥をかいたのもなんだ!? またお前たちが問題を起こしたからなのではないか!?」
「余計なことしないで、しばらく屋敷にいなさい!」
「そんな……!」
怒り狂う両親には逆らえないカリブラは悔しかった。だからこそ、ソルティアの提案に乗ったことを後悔するばかりだ。それとともに逆恨みの気持ちも膨らむ。
(こうなったのも全部、ソルティアとアスーナとハラド、そしてバニア・モタスのせいだ! アイツラのせいで僕はこんな目に……!)
「ぷははっ、カリブラ様ったら叱られてる~」
「「「っ!」」」
カリブラが叱られている様をソルティアは面白そうに眺めている。それに気づいた瞬間、侯爵親子の怒りが一転に集中するのであった。
「何を言うのだ! 元はと言えば君が息子に変な提案をしたせいではないか! 無関係だと思ったら大間違いだ!」
「貴女、カリブラが倒れた時に心配もしないで逃げたそうね! よくもノコノコと屋敷に戻ってきたわね!」
「ソルティアーっ! お前のせいで僕は、僕は!」
「な、何よ、あんな所で居眠りしたカリブラ様が悪いんでしょ! 私は悪くないもん!」
ソルティアも加わって怒り狂う親子の論争は激しさを加速していくのだった。
「とにかく! カリブラもソルティアもしばらくおとなしくせよ!」
「私も二人にはこれまで以上に厳しくするわ!」
「ソルティアのせいです!」
「カリブラ様のせいですわ!」
「黙れ! 異論は認めん! ともかく伯爵家にも苦情を申し入れ……ぐっ!?」
「あ、貴方?」
突如、侯爵は胸を押さえながら倒れてしまった。体が弱いのに、普段しないような怒声をあげたことで体に負担がかかったのかもしれない。侯爵はそのまま苦しそうにうずくまって意識も失った。
「父上!」
「貴方! だ、誰か来てーっ! カリブラ、お前も支えなさい!」
「はい! ソルティアも……ってあいつ、部屋に逃げやがった!」
侯爵は、カリブラと使用人に支えられてベッドに運ばれた。医師の見解によると、大声を上げたり感情が急激に高ぶったりしたことによる体調の変化が負担になったことで持病が悪化したらしい。しばらく安静にするようにとのことだった。
――ということがあって両親に叱られて屋敷にいることになったカリブラだが、大人しくするつもりはなかった。
「冗談じゃない。このままで済ますわけにはいかないんだ! 何としてでも復讐しなければいけないんだ!」
父親が倒れたばかりにかかわらず、カリブラは密かに屋敷を出て下級貴族の令息たちを集めていた。その令息たちはカリブラの取り巻きであり、どこか素行の悪い者たちでもあった。
「ドーラ、ルギリ、ローボル、トテマ。まずお前たちが集まってくれたか。早速だがもっと人を集めてほしい。この僕に恥をかかせた者全てに復讐するんだ」
カリブラは取り巻きたちにアスーナとバニア・モタスを手籠めにする計画を語る。計画の全てを聞いた取り巻きたちは最初は渋ったが、バニア・モタスを好きにして良いと聞いて計画に乗ると決めてしまった。
「学園には武器の携帯は認められないが、ナイフくらいは用意してくれ。殺すためじゃなくて脅したり痛めつけるためにな。くくく」
悍ましい計画を完璧なものだと思い込み下劣な笑みを浮かべるカリブラであったが、最終的に失敗して絶望するとは夢にも思っていなかった。
何故か両親にも学園で何が起こったのか知られてしまったのだ。そのおかげで、アスーナとハラドに『婚約者の交換』を提案したことを咎められたのだ。
「お前は何を考えてるんだ! 婚約者の交換? 馬鹿もいい加減にしろ!」
「そ、ソルティアの考えたことで……」
「あの娘の考えたことを受け入れたお前にも非があるわ! せめて私達に相談でもしてくれれば止めたのに!」
「そ、それは……」
「そもそも学園で恥をかいたのもなんだ!? またお前たちが問題を起こしたからなのではないか!?」
「余計なことしないで、しばらく屋敷にいなさい!」
「そんな……!」
怒り狂う両親には逆らえないカリブラは悔しかった。だからこそ、ソルティアの提案に乗ったことを後悔するばかりだ。それとともに逆恨みの気持ちも膨らむ。
(こうなったのも全部、ソルティアとアスーナとハラド、そしてバニア・モタスのせいだ! アイツラのせいで僕はこんな目に……!)
「ぷははっ、カリブラ様ったら叱られてる~」
「「「っ!」」」
カリブラが叱られている様をソルティアは面白そうに眺めている。それに気づいた瞬間、侯爵親子の怒りが一転に集中するのであった。
「何を言うのだ! 元はと言えば君が息子に変な提案をしたせいではないか! 無関係だと思ったら大間違いだ!」
「貴女、カリブラが倒れた時に心配もしないで逃げたそうね! よくもノコノコと屋敷に戻ってきたわね!」
「ソルティアーっ! お前のせいで僕は、僕は!」
「な、何よ、あんな所で居眠りしたカリブラ様が悪いんでしょ! 私は悪くないもん!」
ソルティアも加わって怒り狂う親子の論争は激しさを加速していくのだった。
「とにかく! カリブラもソルティアもしばらくおとなしくせよ!」
「私も二人にはこれまで以上に厳しくするわ!」
「ソルティアのせいです!」
「カリブラ様のせいですわ!」
「黙れ! 異論は認めん! ともかく伯爵家にも苦情を申し入れ……ぐっ!?」
「あ、貴方?」
突如、侯爵は胸を押さえながら倒れてしまった。体が弱いのに、普段しないような怒声をあげたことで体に負担がかかったのかもしれない。侯爵はそのまま苦しそうにうずくまって意識も失った。
「父上!」
「貴方! だ、誰か来てーっ! カリブラ、お前も支えなさい!」
「はい! ソルティアも……ってあいつ、部屋に逃げやがった!」
侯爵は、カリブラと使用人に支えられてベッドに運ばれた。医師の見解によると、大声を上げたり感情が急激に高ぶったりしたことによる体調の変化が負担になったことで持病が悪化したらしい。しばらく安静にするようにとのことだった。
――ということがあって両親に叱られて屋敷にいることになったカリブラだが、大人しくするつもりはなかった。
「冗談じゃない。このままで済ますわけにはいかないんだ! 何としてでも復讐しなければいけないんだ!」
父親が倒れたばかりにかかわらず、カリブラは密かに屋敷を出て下級貴族の令息たちを集めていた。その令息たちはカリブラの取り巻きであり、どこか素行の悪い者たちでもあった。
「ドーラ、ルギリ、ローボル、トテマ。まずお前たちが集まってくれたか。早速だがもっと人を集めてほしい。この僕に恥をかかせた者全てに復讐するんだ」
カリブラは取り巻きたちにアスーナとバニア・モタスを手籠めにする計画を語る。計画の全てを聞いた取り巻きたちは最初は渋ったが、バニア・モタスを好きにして良いと聞いて計画に乗ると決めてしまった。
「学園には武器の携帯は認められないが、ナイフくらいは用意してくれ。殺すためじゃなくて脅したり痛めつけるためにな。くくく」
悍ましい計画を完璧なものだと思い込み下劣な笑みを浮かべるカリブラであったが、最終的に失敗して絶望するとは夢にも思っていなかった。
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