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おまけ2 第19話補足
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「アスーナ? その方は、公爵令息のハラド・グラファイト殿ではないか!」
「カリブラ殿は、どこへ行ったのだ?」
アスーナがカリブラとの話を終えたあとすぐに、アスーナの父ノゲムス・ブラアラン伯爵と義兄リボール・ブラアラン伯爵令息と伯爵家の執事チャーリーが近づいてきた。
「あれが君の父と兄か?」
「はい、ちょうどいい時に来てくれたみたいですね」
アスーナとハラドはほくそ笑む。いいタイミングに来てくれたと思ったのだ。
「はじめまして、ブラアラン伯爵。そしてリボール殿。グラファイト公爵家嫡男、ハラド・グラファイトです。お会いできて光栄です。未来の義父様に義兄上」
「えっ!?」
ハラドは軽く自己紹介するついでに、わざわざ『未来の義父様に義兄上』と言った。まだ何の説明をしていないのにいきなりアスーナの父と兄を『義父様』に『義兄上』と呼べば困惑するはずなのに。
「いえ、こちらこそ……は? 未来の義父様に義兄上?」
「な、何をおっしゃられるハラド殿? あ、アスーナはカリブラ殿と婚約するので……」
「ああ、それなら今さっきカリブラとは婚約破棄となってすぐに私と婚約することになりましたよ」
「「えっ!?」」
「ちょっと、ハラド様!?」
ノゲムスもリボールも肝心のアスーナも驚いた。いくらなんでも説明を省いて簡単に言い過ぎだ。
「それから、ソルティア嬢がカリブラと婚約するそうですよ」
「「ええーっ!?」」
更にソルティアが婚約。まだ何も聞いていないため、目を丸くするほど驚くことになった父と義兄にアスーナは、頭を抱える前にハラドを攻めた。
「ハラド様! 話を省略しすぎです! ややこしくなるだけですわ!」
「いいじゃないか。話がややこしくなったぶんだけ説明しがいがあるんだよ」
「それなら私が全部するので大丈夫です! 私優秀ですから!」
「あれ? 俺の出番ないの?」
ハラドなりに『貴族間の緊張』をほぐそうと思ってのことだったのだが、アスーナは自分で全部説明するつもりだったようだ。つまり、ハラドのしたことは要らぬ気遣いのようなもの。
「あ、アスーナ! 少し目を離していた隙に何が!?」
「とりあえず婚約破棄と婚約しておめでとう!」
「旦那様、リボール様。まずは落ち着きましょうぞ」
ノゲムスもリボールも動揺を隠せず、口にする言葉も早口だ。ただチャーリーだけは落ち着き払っていたため、ノゲムスはハッとなってアスーナを見る。
「あ、アスーナ、一体何があったのだ!? また、カリブラ殿がなにかしたのか!? イタズラだのドッキリだのもう本当にいい加減に……!」
「はい、実は――」
説明を求める父と義兄と執事に対して、アスーナはカリブラとソルティアの悪質なドッキリが原因で二人に愛想を尽かし、自分を見初めたハラドと婚約するまでの経緯を的確に説明した。
そして、アスーナとハラドの婚約はブラアラン伯爵家とグラファイト公爵家、双方の同意を持って成立することとなった。
「カリブラ殿は、どこへ行ったのだ?」
アスーナがカリブラとの話を終えたあとすぐに、アスーナの父ノゲムス・ブラアラン伯爵と義兄リボール・ブラアラン伯爵令息と伯爵家の執事チャーリーが近づいてきた。
「あれが君の父と兄か?」
「はい、ちょうどいい時に来てくれたみたいですね」
アスーナとハラドはほくそ笑む。いいタイミングに来てくれたと思ったのだ。
「はじめまして、ブラアラン伯爵。そしてリボール殿。グラファイト公爵家嫡男、ハラド・グラファイトです。お会いできて光栄です。未来の義父様に義兄上」
「えっ!?」
ハラドは軽く自己紹介するついでに、わざわざ『未来の義父様に義兄上』と言った。まだ何の説明をしていないのにいきなりアスーナの父と兄を『義父様』に『義兄上』と呼べば困惑するはずなのに。
「いえ、こちらこそ……は? 未来の義父様に義兄上?」
「な、何をおっしゃられるハラド殿? あ、アスーナはカリブラ殿と婚約するので……」
「ああ、それなら今さっきカリブラとは婚約破棄となってすぐに私と婚約することになりましたよ」
「「えっ!?」」
「ちょっと、ハラド様!?」
ノゲムスもリボールも肝心のアスーナも驚いた。いくらなんでも説明を省いて簡単に言い過ぎだ。
「それから、ソルティア嬢がカリブラと婚約するそうですよ」
「「ええーっ!?」」
更にソルティアが婚約。まだ何も聞いていないため、目を丸くするほど驚くことになった父と義兄にアスーナは、頭を抱える前にハラドを攻めた。
「ハラド様! 話を省略しすぎです! ややこしくなるだけですわ!」
「いいじゃないか。話がややこしくなったぶんだけ説明しがいがあるんだよ」
「それなら私が全部するので大丈夫です! 私優秀ですから!」
「あれ? 俺の出番ないの?」
ハラドなりに『貴族間の緊張』をほぐそうと思ってのことだったのだが、アスーナは自分で全部説明するつもりだったようだ。つまり、ハラドのしたことは要らぬ気遣いのようなもの。
「あ、アスーナ! 少し目を離していた隙に何が!?」
「とりあえず婚約破棄と婚約しておめでとう!」
「旦那様、リボール様。まずは落ち着きましょうぞ」
ノゲムスもリボールも動揺を隠せず、口にする言葉も早口だ。ただチャーリーだけは落ち着き払っていたため、ノゲムスはハッとなってアスーナを見る。
「あ、アスーナ、一体何があったのだ!? また、カリブラ殿がなにかしたのか!? イタズラだのドッキリだのもう本当にいい加減に……!」
「はい、実は――」
説明を求める父と義兄と執事に対して、アスーナはカリブラとソルティアの悪質なドッキリが原因で二人に愛想を尽かし、自分を見初めたハラドと婚約するまでの経緯を的確に説明した。
そして、アスーナとハラドの婚約はブラアラン伯爵家とグラファイト公爵家、双方の同意を持って成立することとなった。
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