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第35話 醜い言い争い
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「さっきも言ったけどソルティア、お前は迷惑なんだ。お前が馬鹿みたいに金を使ったり屋敷のものを使って壊したりするせいで僕も両親も屋敷の使用人すらも苦労してんだよ。何度も何度も注意したり叱っても繰り返して馬鹿をやらかすお前なんてハラドの言う通りの女だ。価値が無いな」
「なんですって!? カリブラ様までそんなこと……!」
「事実だろうが! 大体お前が婚約者の交換なんて言い出したからその話に乗ったのにこのザマだろうがよ! お前のせいで僕までアスーナとハラドにコケにされる羽目になったんだろうが! あの時、お前を代わりに婚約者にしたのが間違いだったよ!」
「何よそれ! お姉様に振られて私を取ったのはカリブラ様じゃない! 私のせいじゃないわ!」
(婚約者の交換はソルティアの考えたことだったのね)
(それにカリブラが乗った……どっちも馬鹿だ)
カリブラとソルティアは再び口論を始める。二人共、求めた相手から眼中に無いかのようにコケにされた苛立ちを互いにぶつけ合うかのように罵り合いだした。
「お前本当にあのアスーナの妹なのかよ!? それを疑うほど馬鹿すぎんだよ! 侯爵家の金はお前のものじゃないって何度言えば分かるんだ!」
「婚約者だから私のものでもいいじゃないって言ってるでしょ! そっちこそ私に最低なイタズラだのドッキリを仕掛けないでよ! その度に怒らなきゃいけない私の身にもなりなさいよ!」
「はぁ!? アスーナしてきたものよりはましだろうが! たかが虫やカエルを投げつけたくらいで怒り狂うなよ! そのくせに僕や母上に酒やスープをかけるガキよりもたちが悪いイタズラなんかしやがって! あれはもうドッキリでもない!」
「私、虫やカエルなんか大嫌いなのよ! そもそもカリブラ様がお姉様にしたドッキリを私もしてみただけって言ってるでしょ!」
「知るかそんなの! ガキの頃のことを真似るな!」
貴族の令息令嬢ともあろうに、かなり低レベルな罵り合い。しかも、何やらアスーナを苦しめたイタズラやドッキリの内容まで飛び交う始末。聞いている側からすれば最悪の内容だ。
「何なんだこの二人……」
「まさか、ここまでとは……」
当事者であるアスーナは改めて恥じた。カリブラが元婚約者であり、ソルティアが実の妹であることをこの時ほど恥ずかしく思ったことはないだろう。そんなアスーナにハラドは改めて同情するのであった。
「もう行こうアスーナ。わざわざ止める必要も無さそうだし、何より見るに耐えん」
「そうですね……私ももう疲れました。付き合いきれません」
アスーナとハラドがほっといて去ってしまおうとした直後、こんなタイミングでアスーナに向かってくる令嬢が現れるのであった。
「アスーナ、おはよう!」
「――っ! バニア、おはよう……」
アスーナの親友バニアだった。タイミングの悪い時に来たとアスーナは思ったが、バニアの方はカリブラとソルティアが醜い言い争いをしている光景が目に入った瞬間、ちょうどいい時に来たと思った。
顔をニヤリと悪意を込めて歪めるほどに。
「なんですって!? カリブラ様までそんなこと……!」
「事実だろうが! 大体お前が婚約者の交換なんて言い出したからその話に乗ったのにこのザマだろうがよ! お前のせいで僕までアスーナとハラドにコケにされる羽目になったんだろうが! あの時、お前を代わりに婚約者にしたのが間違いだったよ!」
「何よそれ! お姉様に振られて私を取ったのはカリブラ様じゃない! 私のせいじゃないわ!」
(婚約者の交換はソルティアの考えたことだったのね)
(それにカリブラが乗った……どっちも馬鹿だ)
カリブラとソルティアは再び口論を始める。二人共、求めた相手から眼中に無いかのようにコケにされた苛立ちを互いにぶつけ合うかのように罵り合いだした。
「お前本当にあのアスーナの妹なのかよ!? それを疑うほど馬鹿すぎんだよ! 侯爵家の金はお前のものじゃないって何度言えば分かるんだ!」
「婚約者だから私のものでもいいじゃないって言ってるでしょ! そっちこそ私に最低なイタズラだのドッキリを仕掛けないでよ! その度に怒らなきゃいけない私の身にもなりなさいよ!」
「はぁ!? アスーナしてきたものよりはましだろうが! たかが虫やカエルを投げつけたくらいで怒り狂うなよ! そのくせに僕や母上に酒やスープをかけるガキよりもたちが悪いイタズラなんかしやがって! あれはもうドッキリでもない!」
「私、虫やカエルなんか大嫌いなのよ! そもそもカリブラ様がお姉様にしたドッキリを私もしてみただけって言ってるでしょ!」
「知るかそんなの! ガキの頃のことを真似るな!」
貴族の令息令嬢ともあろうに、かなり低レベルな罵り合い。しかも、何やらアスーナを苦しめたイタズラやドッキリの内容まで飛び交う始末。聞いている側からすれば最悪の内容だ。
「何なんだこの二人……」
「まさか、ここまでとは……」
当事者であるアスーナは改めて恥じた。カリブラが元婚約者であり、ソルティアが実の妹であることをこの時ほど恥ずかしく思ったことはないだろう。そんなアスーナにハラドは改めて同情するのであった。
「もう行こうアスーナ。わざわざ止める必要も無さそうだし、何より見るに耐えん」
「そうですね……私ももう疲れました。付き合いきれません」
アスーナとハラドがほっといて去ってしまおうとした直後、こんなタイミングでアスーナに向かってくる令嬢が現れるのであった。
「アスーナ、おはよう!」
「――っ! バニア、おはよう……」
アスーナの親友バニアだった。タイミングの悪い時に来たとアスーナは思ったが、バニアの方はカリブラとソルティアが醜い言い争いをしている光景が目に入った瞬間、ちょうどいい時に来たと思った。
顔をニヤリと悪意を込めて歪めるほどに。
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