ドッキリで婚約破棄を宣言するようなクズ男はいりませんので我儘な妹とお幸せに! 〜後から後悔してももう遅いので寄って来ないで!〜

mimiaizu

文字の大きさ
上 下
13 / 71

第13話 苦言、小言、非難

しおりを挟む
ソルティアは動揺を隠せなかった。自分の姉が公爵令息に婚約を申し込まれるなど思ってもいなかったからだ。ましてやドッキリとはいえ婚約破棄されたばかりだと言うのにもかかわらず、ちょっと目を離した隙に次の婚約者を見つけ出せるなど展開が早すぎる。


「おい、何が当然だよ! アスーナ、お前がそんなに薄情な女だとは思わなかったぞ!」

「ちょっと、今は俺と話してるんだろ」

「うるさい! 今はアスーナと話す方が重要なんだ! この僕を蔑ろにするなんて許されないからな!」

「お前の方こそアスーナ嬢を蔑ろにしてるくせに何を言うんだよ?」

「はぁ!? 僕は侯爵家の嫡男だ! 別に問題無いだろ!」


アスーナとソルティアの会話を聞いたカリブラは再びアスーナに怒りの矛先を向けて迫ろうとする。だが、アスーナは迫ってくるカリブラに臆することなく苦言を口にするのであった。


「カリブラ様、たとえ侯爵家の嫡男といえども女性を蔑ろにするような行為は褒められたことではないのですよ。ましてや婚約者ならなおさらのこと。貴方のそのような横暴な態度が昔から嫌でした。何度も苦言を申してきたのに代わりもしないところが」

「何だと!? こんな時までそんな事を言うのか!?」

「これで最後になると思うからこそ言わせてもらうのですよ。もっとも、貴方が反省するかどうかは別ですけど」

「この僕に反省などする理由がない!」

「先程、『婚約破棄のドッキリはしないし反省してやるよ』と言ったのは嘘であったと?」

「っ! そ、それは仕方なくてだな……!」


反省を仕方がないと言う時点で、カリブラが本心から反省していないと見抜いたアスーナは顔をしかめた。悪く言えば嘘だったわけなのだから。


「それは本心から反省していないではありませんか。本当に嘘つきでどうしようもない男ですね」

「くっ、そこまで言うことないだろ! 毎回毎回小言を言いやがって!」

「いや、言われて当然だ。アスーナ嬢の言葉にもっと耳を傾けるべきだったな」

「うるさい! お前には関係ないだろ!」


アスーナに咎められ、それをハラドにも補足される。そんな状況下でカリブラの苛立ちが最高にまで達しようとしていたが、アスーナとハラドの非難は止まらない。。


「いい年して子供みたいな言い訳ばかり。こんな人が婚約者だなんて本当に恥ずかしい限りです」

「アスーナ嬢には同情する。こんな男が侯爵令息なのだと思うとゲムデス侯爵家には未来が無いかもしれない」

「う、うるさい! 黙れぇっ!」

「感情的になるのが早すぎますわ。頭を冷やして対処しようと思われないのですか?」

「大声で喚き散らすな。嫡男ならもっと自覚を持つべきだ」

「うわああああああーっ!」


遂にカリブラは人目も気にせずに大声で叫んだ。これ以上苦言を聞きたくないとばかりに貴族らしからぬ叫びを上げたのだ。


「この僕を誰だと思ってるんだ! カリブラ・ゲムデス侯爵令息様だぞ! よくもこの僕を侮辱してくれたな! ここまで機嫌を損ねたのは生まれて初めてだ! 絶対に許さない!」
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

二人のお貴族様から見染められた平民の私。それと嫉妬を隠そうともしない令嬢。

田太 優
恋愛
試験の成績が優秀だったため学園への入学が認められた平民の私。 貴族が多く通う中、なぜかとある貴族の令息に見染められ婚約者になってしまった。 拒否することもできず、都合よく扱われても何も言えない関係。 でもそこに救いの手を差し伸べてくれた人がいた。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

婚約破棄されてしまった件ですが……

星天
恋愛
アリア・エルドラドは日々、王家に嫁ぐため、教育を受けていたが、婚約破棄を言い渡されてしまう。 はたして、彼女の運命とは……

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。

りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。 やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか 勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。 ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。 蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。 そんな生活もううんざりです 今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。 これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

処理中です...