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第13話 苦言、小言、非難
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ソルティアは動揺を隠せなかった。自分の姉が公爵令息に婚約を申し込まれるなど思ってもいなかったからだ。ましてやドッキリとはいえ婚約破棄されたばかりだと言うのにもかかわらず、ちょっと目を離した隙に次の婚約者を見つけ出せるなど展開が早すぎる。
「おい、何が当然だよ! アスーナ、お前がそんなに薄情な女だとは思わなかったぞ!」
「ちょっと、今は俺と話してるんだろ」
「うるさい! 今はアスーナと話す方が重要なんだ! この僕を蔑ろにするなんて許されないからな!」
「お前の方こそアスーナ嬢を蔑ろにしてるくせに何を言うんだよ?」
「はぁ!? 僕は侯爵家の嫡男だ! 別に問題無いだろ!」
アスーナとソルティアの会話を聞いたカリブラは再びアスーナに怒りの矛先を向けて迫ろうとする。だが、アスーナは迫ってくるカリブラに臆することなく苦言を口にするのであった。
「カリブラ様、たとえ侯爵家の嫡男といえども女性を蔑ろにするような行為は褒められたことではないのですよ。ましてや婚約者ならなおさらのこと。貴方のそのような横暴な態度が昔から嫌でした。何度も苦言を申してきたのに代わりもしないところが」
「何だと!? こんな時までそんな事を言うのか!?」
「これで最後になると思うからこそ言わせてもらうのですよ。もっとも、貴方が反省するかどうかは別ですけど」
「この僕に反省などする理由がない!」
「先程、『婚約破棄のドッキリはしないし反省してやるよ』と言ったのは嘘であったと?」
「っ! そ、それは仕方なくてだな……!」
反省を仕方がないと言う時点で、カリブラが本心から反省していないと見抜いたアスーナは顔をしかめた。悪く言えば嘘だったわけなのだから。
「それは本心から反省していないではありませんか。本当に嘘つきでどうしようもない男ですね」
「くっ、そこまで言うことないだろ! 毎回毎回小言を言いやがって!」
「いや、言われて当然だ。アスーナ嬢の言葉にもっと耳を傾けるべきだったな」
「うるさい! お前には関係ないだろ!」
アスーナに咎められ、それをハラドにも補足される。そんな状況下でカリブラの苛立ちが最高にまで達しようとしていたが、アスーナとハラドの非難は止まらない。。
「いい年して子供みたいな言い訳ばかり。こんな人が婚約者だなんて本当に恥ずかしい限りです」
「アスーナ嬢には同情する。こんな男が侯爵令息なのだと思うとゲムデス侯爵家には未来が無いかもしれない」
「う、うるさい! 黙れぇっ!」
「感情的になるのが早すぎますわ。頭を冷やして対処しようと思われないのですか?」
「大声で喚き散らすな。嫡男ならもっと自覚を持つべきだ」
「うわああああああーっ!」
遂にカリブラは人目も気にせずに大声で叫んだ。これ以上苦言を聞きたくないとばかりに貴族らしからぬ叫びを上げたのだ。
「この僕を誰だと思ってるんだ! カリブラ・ゲムデス侯爵令息様だぞ! よくもこの僕を侮辱してくれたな! ここまで機嫌を損ねたのは生まれて初めてだ! 絶対に許さない!」
「おい、何が当然だよ! アスーナ、お前がそんなに薄情な女だとは思わなかったぞ!」
「ちょっと、今は俺と話してるんだろ」
「うるさい! 今はアスーナと話す方が重要なんだ! この僕を蔑ろにするなんて許されないからな!」
「お前の方こそアスーナ嬢を蔑ろにしてるくせに何を言うんだよ?」
「はぁ!? 僕は侯爵家の嫡男だ! 別に問題無いだろ!」
アスーナとソルティアの会話を聞いたカリブラは再びアスーナに怒りの矛先を向けて迫ろうとする。だが、アスーナは迫ってくるカリブラに臆することなく苦言を口にするのであった。
「カリブラ様、たとえ侯爵家の嫡男といえども女性を蔑ろにするような行為は褒められたことではないのですよ。ましてや婚約者ならなおさらのこと。貴方のそのような横暴な態度が昔から嫌でした。何度も苦言を申してきたのに代わりもしないところが」
「何だと!? こんな時までそんな事を言うのか!?」
「これで最後になると思うからこそ言わせてもらうのですよ。もっとも、貴方が反省するかどうかは別ですけど」
「この僕に反省などする理由がない!」
「先程、『婚約破棄のドッキリはしないし反省してやるよ』と言ったのは嘘であったと?」
「っ! そ、それは仕方なくてだな……!」
反省を仕方がないと言う時点で、カリブラが本心から反省していないと見抜いたアスーナは顔をしかめた。悪く言えば嘘だったわけなのだから。
「それは本心から反省していないではありませんか。本当に嘘つきでどうしようもない男ですね」
「くっ、そこまで言うことないだろ! 毎回毎回小言を言いやがって!」
「いや、言われて当然だ。アスーナ嬢の言葉にもっと耳を傾けるべきだったな」
「うるさい! お前には関係ないだろ!」
アスーナに咎められ、それをハラドにも補足される。そんな状況下でカリブラの苛立ちが最高にまで達しようとしていたが、アスーナとハラドの非難は止まらない。。
「いい年して子供みたいな言い訳ばかり。こんな人が婚約者だなんて本当に恥ずかしい限りです」
「アスーナ嬢には同情する。こんな男が侯爵令息なのだと思うとゲムデス侯爵家には未来が無いかもしれない」
「う、うるさい! 黙れぇっ!」
「感情的になるのが早すぎますわ。頭を冷やして対処しようと思われないのですか?」
「大声で喚き散らすな。嫡男ならもっと自覚を持つべきだ」
「うわああああああーっ!」
遂にカリブラは人目も気にせずに大声で叫んだ。これ以上苦言を聞きたくないとばかりに貴族らしからぬ叫びを上げたのだ。
「この僕を誰だと思ってるんだ! カリブラ・ゲムデス侯爵令息様だぞ! よくもこの僕を侮辱してくれたな! ここまで機嫌を損ねたのは生まれて初めてだ! 絶対に許さない!」
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