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第8話 無礼な態度
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アスーナとハラドはパーティー会場の中心に戻っていった。互いの親に婚約のことを報告するためだ。
「まずは俺の父、その次に君の父に話すってことでいいかな」
「そうですね。このパーティーの目的の一つを達成できるのですから」
二人が楽しそうに会話していると、とある男女が近づいてきた。
「アスーナ!」
「お姉様!」
「「!」」
アスーナとハラドが振り返ってみると、そこにいたのは不機嫌な顔をしたカリブラとソルティアだった。
「どうして勝手に離れていったんだ! 予想外の反応をしたから焦ったんだぞ! 面白くなると思ったのに!」
「まったくよ! おかげで私達笑えなかったじゃない!」
「「…………」」
アスーナの顔を見るやいなや、まるでアスーナが悪いように文句を言い出すカリブラとソルティア。そんな二人にアスーナとハラドは嫌悪感を抱いた。
「……婚約破棄を言い渡された君に対して何を言っているんだあの二人……」
「……多分、私が泣くか嫌がると思っていたんでしょう。それなのに私は笑ってその場を離れていったから、そのことが気に入らなかったんでしょう……」
「……だとしたら、なんて奴らだ……」
(明らかにアスーナで遊んでいるとしか見えない。もしそうだとすれば心底軽蔑する)
ハラドの目が冷たく鋭くなった。そうとも知らずカリブラはそんなハラドに気づいて声をかけた。
「お前、ハラドじゃんか。なんでアスーナと一緒にいるんだよ?」
「まあ、この方がハラド様! 黒髪で左右の目の色が違うって本当なのね。変だけど顔はいい感じ!」
(この二人!?)
「……」
アスーナは絶句した。カリブラは侯爵令息……である以上に性格に問題があるが、ソルティアの口に出したことは格上の相手に無礼なものだった。伯爵令嬢が公爵令息に対してあまりにも気安すぎるし、何より相手の心を考えていない。ハラドの髪と目のことは確かに珍しいが『変だ』と口にするのは酷すぎる。下手をすれば、自分とハラドの関係にもヒビが入るかもと思ってしまった。
(最悪……ここまで馬鹿な子だったとは……)
「貴族令嬢とは思えない態度だね。初めてあった男性に『変』と言えるほど偉い立場じゃないだろう? 俺は仮にも公爵令息のハラド・グラファイトなんだけど意味分かる? ソルティア・ブラアラン伯爵令嬢?」
「え、ひっ……」
ハラドは嫌だったのか、笑顔で、それでいて威圧感を与える雰囲気を出しながらソルティアに挨拶した。ついでにサラッと自己紹介も。
「まずは俺の父、その次に君の父に話すってことでいいかな」
「そうですね。このパーティーの目的の一つを達成できるのですから」
二人が楽しそうに会話していると、とある男女が近づいてきた。
「アスーナ!」
「お姉様!」
「「!」」
アスーナとハラドが振り返ってみると、そこにいたのは不機嫌な顔をしたカリブラとソルティアだった。
「どうして勝手に離れていったんだ! 予想外の反応をしたから焦ったんだぞ! 面白くなると思ったのに!」
「まったくよ! おかげで私達笑えなかったじゃない!」
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「……多分、私が泣くか嫌がると思っていたんでしょう。それなのに私は笑ってその場を離れていったから、そのことが気に入らなかったんでしょう……」
「……だとしたら、なんて奴らだ……」
(明らかにアスーナで遊んでいるとしか見えない。もしそうだとすれば心底軽蔑する)
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「お前、ハラドじゃんか。なんでアスーナと一緒にいるんだよ?」
「まあ、この方がハラド様! 黒髪で左右の目の色が違うって本当なのね。変だけど顔はいい感じ!」
(この二人!?)
「……」
アスーナは絶句した。カリブラは侯爵令息……である以上に性格に問題があるが、ソルティアの口に出したことは格上の相手に無礼なものだった。伯爵令嬢が公爵令息に対してあまりにも気安すぎるし、何より相手の心を考えていない。ハラドの髪と目のことは確かに珍しいが『変だ』と口にするのは酷すぎる。下手をすれば、自分とハラドの関係にもヒビが入るかもと思ってしまった。
(最悪……ここまで馬鹿な子だったとは……)
「貴族令嬢とは思えない態度だね。初めてあった男性に『変』と言えるほど偉い立場じゃないだろう? 俺は仮にも公爵令息のハラド・グラファイトなんだけど意味分かる? ソルティア・ブラアラン伯爵令嬢?」
「え、ひっ……」
ハラドは嫌だったのか、笑顔で、それでいて威圧感を与える雰囲気を出しながらソルティアに挨拶した。ついでにサラッと自己紹介も。
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