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第3話 振り返ったら公爵令息が
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「アスーナ嬢、なにかいい事でもあったのかい?」
「え!?」
声をかけてきた人物の方を振り返ったアスーナは驚いた。その人物は、黒髪の短髪で、瞳の色が右目が赤で左目が青のオッドアイという珍しい特徴を持った童顔の好青年だったのだ。そんな特徴的な上級貴族の男性はこのパーティーどころか国の貴族の中でも一人しかいない。
(ハラド・グラファイト公爵令息! このパーティーの主催者のご子息!? どうして彼が!?)
アスーナが驚くのも無理はなかった。主催者の息子にして公爵家の嫡男が声をかけてきたのだ。だが、アスーナは驚きはするも顔に出さずに冷静に取り繕って挨拶をする。
「ハラド様、本日はお招きいただきありがとうございます」
「学園で同じクラスなんだし当然だよ。まあ、俺は家の用事とかで来れない時があるけどね。それよりもさっきは随分機嫌が良さそうだったね。いつもクールな感じなのに何かいいことでもあったの?」
「いいことですか……」
いつもクールと言われて少し気になったアスーナだが、すぐにこの場で婚約破棄されたことを話すかどうかという思考に切り替わった。
(ここで私がカリブラ様に婚約破棄されたといえば……それ以上にカリブラ様とソルティアがくっついたと強調して話せば、いざあの二人が『やっぱり婚約破棄は無かったことに』とかいい加減なことを言えなくすることができるかも……)
カリブラとソルティアが互いに飽きてアスーナとの関係をもとに戻そうとすることは考えられる。あの二人の適当な性格を熟知しているアスーナは、公爵令息であるハラドに話すのも手だという結論に至った。公爵家の嫡男の発言は大きな影響力がある。先手を打つのもいいだろうと。
「そうですね。いいことならありましたね」
「パーティーに招待されたからかい?」
「それもありますが……それ以上に婚約者に婚約破棄してもらえたからでしょうね。お陰で気が楽になって機嫌がいいのです」
「それは何より…………え? 婚約破棄? どういうこと?」
今度はハラドが驚く番だった。話が気になったハラドの様子を見て、アスーナは思惑通りに会話を進める。
「実は先程、妹とかリブラ様が……―――」
本来のアスーナは同級生とはいえ公爵令息にそういう話を軽々しく話す娘ではない。だが、このパーティーでカリブラに遊び半分で酒を飲まされてしまったことで思考が少し軽くなっていたのだ。正気に戻ったときには「もう遅い」というところまで話してしまったが、それが結果的にアスーナの運命を変えることになった。
「え!?」
声をかけてきた人物の方を振り返ったアスーナは驚いた。その人物は、黒髪の短髪で、瞳の色が右目が赤で左目が青のオッドアイという珍しい特徴を持った童顔の好青年だったのだ。そんな特徴的な上級貴族の男性はこのパーティーどころか国の貴族の中でも一人しかいない。
(ハラド・グラファイト公爵令息! このパーティーの主催者のご子息!? どうして彼が!?)
アスーナが驚くのも無理はなかった。主催者の息子にして公爵家の嫡男が声をかけてきたのだ。だが、アスーナは驚きはするも顔に出さずに冷静に取り繕って挨拶をする。
「ハラド様、本日はお招きいただきありがとうございます」
「学園で同じクラスなんだし当然だよ。まあ、俺は家の用事とかで来れない時があるけどね。それよりもさっきは随分機嫌が良さそうだったね。いつもクールな感じなのに何かいいことでもあったの?」
「いいことですか……」
いつもクールと言われて少し気になったアスーナだが、すぐにこの場で婚約破棄されたことを話すかどうかという思考に切り替わった。
(ここで私がカリブラ様に婚約破棄されたといえば……それ以上にカリブラ様とソルティアがくっついたと強調して話せば、いざあの二人が『やっぱり婚約破棄は無かったことに』とかいい加減なことを言えなくすることができるかも……)
カリブラとソルティアが互いに飽きてアスーナとの関係をもとに戻そうとすることは考えられる。あの二人の適当な性格を熟知しているアスーナは、公爵令息であるハラドに話すのも手だという結論に至った。公爵家の嫡男の発言は大きな影響力がある。先手を打つのもいいだろうと。
「そうですね。いいことならありましたね」
「パーティーに招待されたからかい?」
「それもありますが……それ以上に婚約者に婚約破棄してもらえたからでしょうね。お陰で気が楽になって機嫌がいいのです」
「それは何より…………え? 婚約破棄? どういうこと?」
今度はハラドが驚く番だった。話が気になったハラドの様子を見て、アスーナは思惑通りに会話を進める。
「実は先程、妹とかリブラ様が……―――」
本来のアスーナは同級生とはいえ公爵令息にそういう話を軽々しく話す娘ではない。だが、このパーティーでカリブラに遊び半分で酒を飲まされてしまったことで思考が少し軽くなっていたのだ。正気に戻ったときには「もう遅い」というところまで話してしまったが、それが結果的にアスーナの運命を変えることになった。
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