ドッキリで婚約破棄を宣言するようなクズ男はいりませんので我儘な妹とお幸せに! 〜後から後悔してももう遅いので寄って来ないで!〜

mimiaizu

文字の大きさ
上 下
2 / 71

第2話 喜んで受け入れます

しおりを挟む
そんなカリブラとソルティアの思惑を理解したアスーナは、ニヤニヤする二人に向かって自分にとっても彼らにとっても最適な答えを口にした。


「分かりました。喜んで婚約を破棄を受け入れさせていただきます」


当たり障りのない笑顔で。


「「え?」」

「どうぞ、ご自由に。この件に関しては私の方でお父様に伝えますので、お二人でお楽しみに」


予想外の答えが帰ってきたのか、アスーナの言葉を聞いたカリブラとソルティアも呆然と固まった。その間にアスーナは少し機嫌が良さそうに離れていった。





「はぁ~、やっとあの男から開放されたわ~。今回だけはソルティアには感謝しかないわね」


上機嫌に一人で歩いていくアスーナは父を探す。パーティー会場は広いため、別行動している父を探すのも少し手間があった。


「まさか、カリブラ様とソルティアがくっつくなんて……いや、有り得る話か。あの二人は我儘で自分勝手だからね。特にカリブラ様は本当にひどかった……」


カリブラと婚約していたアスーナにはカリブラに対する愛情は一切ない。というのも、カリブラの性格は意地の悪い子供をそのまま大きくしたようなもので、度々近しい人にイタズラやドッキリをする等して面倒だったのだ。侯爵令息という立場を誇ってか、世界の中心に自分がいると思いこんでいる節があるのだ。そんなカリブラが婚約者であることにアスーナは苦痛を感じていた。


「ソルティアも相当我儘だし、私の代わりに嫁入りしてくれて助かるわ。あの子にも苦労させられたわけだし……」


ソルティアは今は亡き母に似た顔立ちと同じ髪の色のため、父に大変可愛がられ、姉であるアスーナも可愛い妹として最初の頃は甘やかした。だが、その最初がいけなかったのか、ソルティアは今でも我儘で人のものを欲しがるような娘になってしまったのだ。特に姉のアスーナのものを欲しがるような傾向が強く出るようで、アスーナは困ることが多くなっていた。


「もしかしたら、カリブラ様とくっついたのも私のものを……だとしたらすぐに飽きるのかしら? 今度は長続きしてほしいわね……」


皮肉っぽい笑みを浮かべながらアスーナは父親を探す。記憶が正しければ友人の貴族と話をしているはずだ。大事な話らしいがもう終わる頃だろうとアスーナが思っている時、彼女に一人の男性が声をかけてきた。
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完

瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。 夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。 *五話でさくっと読めます。

奪われたから、奪い返します

ワールド
恋愛
奪われたから、あなたの大切なもの全て奪ってみせますわ。わたくし、イザベラ・フォン・エーデルヴァインは、この侮辱を決して忘れませんわ。あなたがわたくしにしたこと、すべてを記憶しておりますの。そして、あなたの大切なものを、一つ残らず奪い取ってみせます。それがわたくしの、エーデルヴァイン家の令嬢としての誇りですもの。覚悟なさい、フレデリック。あなたが落とした幕は、わたくしが再び上げるのですから。

【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?

宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。 そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。 婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。 彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。 婚約者を前に彼らはどうするのだろうか? 短編になる予定です。 たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます! 【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。 ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。

跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。 政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。 しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。 「承知致しました」 夫は二つ返事で承諾した。 私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…! 貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。 私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――… ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

処理中です...