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最終章
あっという間
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◇
帝国軍と王国軍の戦いはあっという間に終わった。正確に言えば、通常の、今までの二国の戦いに比べると比較的短い時間で戦いの勝敗が決まったのだ。
本当に今までの歴史と比べれば。
「……まあ、こうなるよな。帝国軍は普段魔法なんか使わないからシンプルな戦闘技術に長けているし、今度こそ王国に勝てる見込みがあると全員が知っているから士気も高い。それに対して王国は魔法を中心にした戦闘が得意、いや魔法頼みとしているから通常の戦闘技術に関しては帝国どころか諸外国に劣ると見ていい。しかも、今は王国中が魔法を失って大混乱の真っ最中、それは騎士や兵士も例外じゃない。魔法も失って国そのものが混乱中、そんな状態の王国軍は不安と恐怖で士気も低い。精神面からしてもまともな戦いになるはずもないか」
戦いが治まった後に軍用馬車から出てきたローグが目にしたものは、無造作に転がる王国兵士たちの亡骸だった。もっとも、それはもともといた王国軍の数の半数にすぎず、残りの兵士は逃げ出したらしい。つまり、
「帝国側の圧倒的勝利ということか、当然だがな」
冷めた目で戦場跡を見つめるローグはそんなことはどうでもいいらしく、すぐに興味を無くしてしまう。彼はリオルの方に声を掛ける。
「どうだった? 王国軍は?」
「……ああ、弱い弱すぎる。魔法がないとここまで弱いとは思ってもみなかったよ。魔法がなければ脆弱な連中だと思っていたが、ここまでとはな……」
リオルは簡単に勝利したにもかかわらず、素直に喜べなかった。今までずっと王国相手に苦戦させられてきたというのに、その王国に魔法がないだけでここまで変わることに複雑な心境のようだ。勝っても嬉しくないのだ。
「仕方ないさ、向こうは国全体が混乱状態なんだ。精神的にも戦争していられる状態じゃない。まとめに戦えるはずがないんだ。士気が下がっている状態で戦えるとはリオさんも思わないだろ?」
「それは、まあ……」
「それにやることはまだある。このまま王都を制圧して王国そのものを乗っ取ってやるんだからな」
「! そうだな、君の言う通りだ」
リオルは顔を引き締めると、再び帝国軍に命じる。王都に進撃せよ、と。
「全軍! これより王都に向けて、」
その時に突然起こった。
ズゥウゥゥゥン!!
「「「「「っ!?」」」」」
リオルの指示を遮るかのように大地が揺れたのだ。
帝国軍と王国軍の戦いはあっという間に終わった。正確に言えば、通常の、今までの二国の戦いに比べると比較的短い時間で戦いの勝敗が決まったのだ。
本当に今までの歴史と比べれば。
「……まあ、こうなるよな。帝国軍は普段魔法なんか使わないからシンプルな戦闘技術に長けているし、今度こそ王国に勝てる見込みがあると全員が知っているから士気も高い。それに対して王国は魔法を中心にした戦闘が得意、いや魔法頼みとしているから通常の戦闘技術に関しては帝国どころか諸外国に劣ると見ていい。しかも、今は王国中が魔法を失って大混乱の真っ最中、それは騎士や兵士も例外じゃない。魔法も失って国そのものが混乱中、そんな状態の王国軍は不安と恐怖で士気も低い。精神面からしてもまともな戦いになるはずもないか」
戦いが治まった後に軍用馬車から出てきたローグが目にしたものは、無造作に転がる王国兵士たちの亡骸だった。もっとも、それはもともといた王国軍の数の半数にすぎず、残りの兵士は逃げ出したらしい。つまり、
「帝国側の圧倒的勝利ということか、当然だがな」
冷めた目で戦場跡を見つめるローグはそんなことはどうでもいいらしく、すぐに興味を無くしてしまう。彼はリオルの方に声を掛ける。
「どうだった? 王国軍は?」
「……ああ、弱い弱すぎる。魔法がないとここまで弱いとは思ってもみなかったよ。魔法がなければ脆弱な連中だと思っていたが、ここまでとはな……」
リオルは簡単に勝利したにもかかわらず、素直に喜べなかった。今までずっと王国相手に苦戦させられてきたというのに、その王国に魔法がないだけでここまで変わることに複雑な心境のようだ。勝っても嬉しくないのだ。
「仕方ないさ、向こうは国全体が混乱状態なんだ。精神的にも戦争していられる状態じゃない。まとめに戦えるはずがないんだ。士気が下がっている状態で戦えるとはリオさんも思わないだろ?」
「それは、まあ……」
「それにやることはまだある。このまま王都を制圧して王国そのものを乗っ取ってやるんだからな」
「! そうだな、君の言う通りだ」
リオルは顔を引き締めると、再び帝国軍に命じる。王都に進撃せよ、と。
「全軍! これより王都に向けて、」
その時に突然起こった。
ズゥウゥゥゥン!!
「「「「「っ!?」」」」」
リオルの指示を遮るかのように大地が揺れたのだ。
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