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第6章 一週間編
五日目3
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帝城・西側の地下室。
サーファが率いる騎士団を伴って、リオルとローグとミーラは西の地下室に向かった。だが、遅かったようだ。地下室の入り口から死んでいなければおかしい人間たちが現れだしたのだ。
「あ、あれはクロズクの……っ! なんてことだ……っ!」
「し、信じられん、あんな状態で動き出すことができるなど……っ!」
リオルとサーファは信じられないものを目にした。先の兵士が知らせた話が事実だと証明してしまう現実を目の当たりにしたのだ。
「「「「ウ……ウウウ……オオオオ……」」」」
血だらけになってるだけなら生きているかもしれないと思うだろうが、それ以上に目立つ特徴がある。
胸に槍と剣が刺さった者。
胸に大きな穴が開いている者。
両手が無く、歯をむき出し人している者。
頭の半分がない者。
これでは生きている方がおかしい。なるほど、死体が動き出しているという表現が適切だ。事実でなければどんなに良かったか。
「う、げえ……」
リオルはあまりのおぞましさに吐き気がした。敵になったとはいえ、元は自国の人間だ。それがあのような姿になって動き回るどころか暴れているなど耐え難い思いが沸き上がってきたのだ。
「リオル様、お気を確かに。気持ちは痛いほど理解しますが、どうか気をしっかり持ってください!」
「す、すまぬ、サーファ。あやうく取り乱すところであった。そうだな、この私が最初に膝をつくわけにはいかぬ。これ以上帝国に混乱を招くわけにはいかないんだ!」
リオルは吐き気を霧散して、目の前の死人たちを睨みつけて後ろに控える兵士たちに命令を下す。
「ここで奴らをくい止める! 動くしたいというなら行動できないほど切り刻んでくれる! 皆、行くぞ!」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
兵士たちの士気も上がって、全員戦う覚悟も決まった。一気に突入しようという空気になったが、ここで待ったの声があった。ローグだ。
「おい、一ついいか?」
「ローグか! 何が気になるんだ?」
「クロズクは一人を残して全滅したんだろ? その一人が何か知ってるんじゃないのか?」
ローグの一言に、「あっ、いたな!」と言ってリオルは気付いた。クロズクのリーダー格のウルクスと一緒にいたが、ウルクスが死亡した後に捕まったはずだった。
「そういえばそうだった。これは盲点だ、確かに一人だけ捕らえていたな。サーファ!」
「はい、分かりました。早速、使いを寄こして牢屋に収監しているあの者にこの状況について問いたださせます。何かわかるかもしれません」
リオルとサーファは使いを送る打ち合わせを手早く済まそうとしたが、ここで待ったの声がかけられた。ローグではない。
「ああ、その必要はありませんよ」
サーファが率いる騎士団を伴って、リオルとローグとミーラは西の地下室に向かった。だが、遅かったようだ。地下室の入り口から死んでいなければおかしい人間たちが現れだしたのだ。
「あ、あれはクロズクの……っ! なんてことだ……っ!」
「し、信じられん、あんな状態で動き出すことができるなど……っ!」
リオルとサーファは信じられないものを目にした。先の兵士が知らせた話が事実だと証明してしまう現実を目の当たりにしたのだ。
「「「「ウ……ウウウ……オオオオ……」」」」
血だらけになってるだけなら生きているかもしれないと思うだろうが、それ以上に目立つ特徴がある。
胸に槍と剣が刺さった者。
胸に大きな穴が開いている者。
両手が無く、歯をむき出し人している者。
頭の半分がない者。
これでは生きている方がおかしい。なるほど、死体が動き出しているという表現が適切だ。事実でなければどんなに良かったか。
「う、げえ……」
リオルはあまりのおぞましさに吐き気がした。敵になったとはいえ、元は自国の人間だ。それがあのような姿になって動き回るどころか暴れているなど耐え難い思いが沸き上がってきたのだ。
「リオル様、お気を確かに。気持ちは痛いほど理解しますが、どうか気をしっかり持ってください!」
「す、すまぬ、サーファ。あやうく取り乱すところであった。そうだな、この私が最初に膝をつくわけにはいかぬ。これ以上帝国に混乱を招くわけにはいかないんだ!」
リオルは吐き気を霧散して、目の前の死人たちを睨みつけて後ろに控える兵士たちに命令を下す。
「ここで奴らをくい止める! 動くしたいというなら行動できないほど切り刻んでくれる! 皆、行くぞ!」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
兵士たちの士気も上がって、全員戦う覚悟も決まった。一気に突入しようという空気になったが、ここで待ったの声があった。ローグだ。
「おい、一ついいか?」
「ローグか! 何が気になるんだ?」
「クロズクは一人を残して全滅したんだろ? その一人が何か知ってるんじゃないのか?」
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「はい、分かりました。早速、使いを寄こして牢屋に収監しているあの者にこの状況について問いたださせます。何かわかるかもしれません」
リオルとサーファは使いを送る打ち合わせを手早く済まそうとしたが、ここで待ったの声がかけられた。ローグではない。
「ああ、その必要はありませんよ」
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