220 / 252
第6章 一週間編
五日目3
しおりを挟む
帝城・西側の地下室。
サーファが率いる騎士団を伴って、リオルとローグとミーラは西の地下室に向かった。だが、遅かったようだ。地下室の入り口から死んでいなければおかしい人間たちが現れだしたのだ。
「あ、あれはクロズクの……っ! なんてことだ……っ!」
「し、信じられん、あんな状態で動き出すことができるなど……っ!」
リオルとサーファは信じられないものを目にした。先の兵士が知らせた話が事実だと証明してしまう現実を目の当たりにしたのだ。
「「「「ウ……ウウウ……オオオオ……」」」」
血だらけになってるだけなら生きているかもしれないと思うだろうが、それ以上に目立つ特徴がある。
胸に槍と剣が刺さった者。
胸に大きな穴が開いている者。
両手が無く、歯をむき出し人している者。
頭の半分がない者。
これでは生きている方がおかしい。なるほど、死体が動き出しているという表現が適切だ。事実でなければどんなに良かったか。
「う、げえ……」
リオルはあまりのおぞましさに吐き気がした。敵になったとはいえ、元は自国の人間だ。それがあのような姿になって動き回るどころか暴れているなど耐え難い思いが沸き上がってきたのだ。
「リオル様、お気を確かに。気持ちは痛いほど理解しますが、どうか気をしっかり持ってください!」
「す、すまぬ、サーファ。あやうく取り乱すところであった。そうだな、この私が最初に膝をつくわけにはいかぬ。これ以上帝国に混乱を招くわけにはいかないんだ!」
リオルは吐き気を霧散して、目の前の死人たちを睨みつけて後ろに控える兵士たちに命令を下す。
「ここで奴らをくい止める! 動くしたいというなら行動できないほど切り刻んでくれる! 皆、行くぞ!」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
兵士たちの士気も上がって、全員戦う覚悟も決まった。一気に突入しようという空気になったが、ここで待ったの声があった。ローグだ。
「おい、一ついいか?」
「ローグか! 何が気になるんだ?」
「クロズクは一人を残して全滅したんだろ? その一人が何か知ってるんじゃないのか?」
ローグの一言に、「あっ、いたな!」と言ってリオルは気付いた。クロズクのリーダー格のウルクスと一緒にいたが、ウルクスが死亡した後に捕まったはずだった。
「そういえばそうだった。これは盲点だ、確かに一人だけ捕らえていたな。サーファ!」
「はい、分かりました。早速、使いを寄こして牢屋に収監しているあの者にこの状況について問いたださせます。何かわかるかもしれません」
リオルとサーファは使いを送る打ち合わせを手早く済まそうとしたが、ここで待ったの声がかけられた。ローグではない。
「ああ、その必要はありませんよ」
サーファが率いる騎士団を伴って、リオルとローグとミーラは西の地下室に向かった。だが、遅かったようだ。地下室の入り口から死んでいなければおかしい人間たちが現れだしたのだ。
「あ、あれはクロズクの……っ! なんてことだ……っ!」
「し、信じられん、あんな状態で動き出すことができるなど……っ!」
リオルとサーファは信じられないものを目にした。先の兵士が知らせた話が事実だと証明してしまう現実を目の当たりにしたのだ。
「「「「ウ……ウウウ……オオオオ……」」」」
血だらけになってるだけなら生きているかもしれないと思うだろうが、それ以上に目立つ特徴がある。
胸に槍と剣が刺さった者。
胸に大きな穴が開いている者。
両手が無く、歯をむき出し人している者。
頭の半分がない者。
これでは生きている方がおかしい。なるほど、死体が動き出しているという表現が適切だ。事実でなければどんなに良かったか。
「う、げえ……」
リオルはあまりのおぞましさに吐き気がした。敵になったとはいえ、元は自国の人間だ。それがあのような姿になって動き回るどころか暴れているなど耐え難い思いが沸き上がってきたのだ。
「リオル様、お気を確かに。気持ちは痛いほど理解しますが、どうか気をしっかり持ってください!」
「す、すまぬ、サーファ。あやうく取り乱すところであった。そうだな、この私が最初に膝をつくわけにはいかぬ。これ以上帝国に混乱を招くわけにはいかないんだ!」
リオルは吐き気を霧散して、目の前の死人たちを睨みつけて後ろに控える兵士たちに命令を下す。
「ここで奴らをくい止める! 動くしたいというなら行動できないほど切り刻んでくれる! 皆、行くぞ!」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
兵士たちの士気も上がって、全員戦う覚悟も決まった。一気に突入しようという空気になったが、ここで待ったの声があった。ローグだ。
「おい、一ついいか?」
「ローグか! 何が気になるんだ?」
「クロズクは一人を残して全滅したんだろ? その一人が何か知ってるんじゃないのか?」
ローグの一言に、「あっ、いたな!」と言ってリオルは気付いた。クロズクのリーダー格のウルクスと一緒にいたが、ウルクスが死亡した後に捕まったはずだった。
「そういえばそうだった。これは盲点だ、確かに一人だけ捕らえていたな。サーファ!」
「はい、分かりました。早速、使いを寄こして牢屋に収監しているあの者にこの状況について問いたださせます。何かわかるかもしれません」
リオルとサーファは使いを送る打ち合わせを手早く済まそうとしたが、ここで待ったの声がかけられた。ローグではない。
「ああ、その必要はありませんよ」
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる