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第6章 一週間編
『真実』
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皇帝の演説による『真実』は要約すると以下のものになる。
皇帝の病の正体は、ウルクスという国家転覆をはかった犯罪者が第一皇子アゼルを騙して盛らせた毒によるものだった。
リオルの冤罪事件もアゼルを利用したウルクスの陰謀によるものであり、リオルに一切の罪はない。サーラが介入しなかったのは催眠術を掛けられていたからだった。
そして、城の騒ぎの原因は、リオルの無実を信じる騎士団とウルクス率いる秘密部隊の戦いによるものであった。
つまり、一連の事件は、皇帝に使える臣下同士の『内戦』だったのだ。その戦いにリオルが参戦し、ウルクスたちに利用されて疲弊しきったアゼルも救出して事件の幕を閉じた。
国民たちには、そういうことにしてしまった。
「……その時の戦いで、首謀者のウルクスは討伐することができた。愚息アゼルも救出することができたのだ。それら全ては、リオルとリオルを信じる部下たちによるものだ。我が娘は見事無実を証明できたのだ」
皇帝が真っ直ぐに突きつけた『真実』に、群衆の反応は様々だ。泣く者と喜ぶ者、肩を抱いて震える者とホッと安心する者、ただただ絶望に打ちひしがれて青ざめる者と怒りで顔を赤くする者、現実を受け入れる者と受け入れない者。
皇帝は、始まる前から様々な反応をする群衆を見つめながらも、そのまま重い口を開く。
「余が語ったことは、すべて事実だ。残念ながら、アゼルのことも事実である。根拠のひとつとして先日、そのアゼルが知っていることを全て話したのだ。ウルクスに騙されて犯してしまった己の罪と共にな」
「そ、そのアゼル様はど、どうなったのでしょうか!?」
一人の小太りな中年男性が緊張しながらも、誰もが抱いたであろう疑問を代弁した。
「アゼルは利用されたとはいえ、余に毒を盛り、妹にその罪を着せてしまった。その罪はあまりにも大きい。よって、北の塔に幽閉することが決まった」
「……っ!」
北の塔とは、罪を犯した帝国の重要人物や皇族が入れられる牢屋を代用した場所だ。一度はいれば二度と出られないとも言われている。そこにアゼルが入ったということの意味を考えただけで中年男性は言葉を発せられなくなった。
「愚息アゼル及びウルクスの暴走を許し、我が国民に不安を与えてしまったこと自体余の責任なのだ。本当に申し訳ない!」
頭を深々と下げる皇帝を見て群衆は「そんなことない! 悪いのは反逆したウルクスだ!」「陛下は良い皇帝ですから、謝らないでください!」「卑怯な反逆者が悪いんだ!」皇帝を次々と擁護し始めた。
ただ一人、黒髪黒目の少年ローグ・ナイトを除いては。
皇帝の病の正体は、ウルクスという国家転覆をはかった犯罪者が第一皇子アゼルを騙して盛らせた毒によるものだった。
リオルの冤罪事件もアゼルを利用したウルクスの陰謀によるものであり、リオルに一切の罪はない。サーラが介入しなかったのは催眠術を掛けられていたからだった。
そして、城の騒ぎの原因は、リオルの無実を信じる騎士団とウルクス率いる秘密部隊の戦いによるものであった。
つまり、一連の事件は、皇帝に使える臣下同士の『内戦』だったのだ。その戦いにリオルが参戦し、ウルクスたちに利用されて疲弊しきったアゼルも救出して事件の幕を閉じた。
国民たちには、そういうことにしてしまった。
「……その時の戦いで、首謀者のウルクスは討伐することができた。愚息アゼルも救出することができたのだ。それら全ては、リオルとリオルを信じる部下たちによるものだ。我が娘は見事無実を証明できたのだ」
皇帝が真っ直ぐに突きつけた『真実』に、群衆の反応は様々だ。泣く者と喜ぶ者、肩を抱いて震える者とホッと安心する者、ただただ絶望に打ちひしがれて青ざめる者と怒りで顔を赤くする者、現実を受け入れる者と受け入れない者。
皇帝は、始まる前から様々な反応をする群衆を見つめながらも、そのまま重い口を開く。
「余が語ったことは、すべて事実だ。残念ながら、アゼルのことも事実である。根拠のひとつとして先日、そのアゼルが知っていることを全て話したのだ。ウルクスに騙されて犯してしまった己の罪と共にな」
「そ、そのアゼル様はど、どうなったのでしょうか!?」
一人の小太りな中年男性が緊張しながらも、誰もが抱いたであろう疑問を代弁した。
「アゼルは利用されたとはいえ、余に毒を盛り、妹にその罪を着せてしまった。その罪はあまりにも大きい。よって、北の塔に幽閉することが決まった」
「……っ!」
北の塔とは、罪を犯した帝国の重要人物や皇族が入れられる牢屋を代用した場所だ。一度はいれば二度と出られないとも言われている。そこにアゼルが入ったということの意味を考えただけで中年男性は言葉を発せられなくなった。
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頭を深々と下げる皇帝を見て群衆は「そんなことない! 悪いのは反逆したウルクスだ!」「陛下は良い皇帝ですから、謝らないでください!」「卑怯な反逆者が悪いんだ!」皇帝を次々と擁護し始めた。
ただ一人、黒髪黒目の少年ローグ・ナイトを除いては。
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