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第5章 外国編
閑話・トウガラシ2
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(この時代の食文明も捨てたもんじゃないな)
そう思ったローグは、嬉しそうに購入したを確認する、味見して。
(トウガラシ、ショウガ、塩・胡椒、豆板醤。これらが手に入る日が来るなんて!)
この日の夕食は宿の部屋で食べることにした。前世のように周りに騒がれてはたまらないからだ。好物を食べられる至福の時間に邪魔が入るのは前世でこりているのだ。
「ロ、ローグ……それ、全部使うの?」
ミーラが何か引きつった顔で聞いてくるがローグの反応は決まっていた。
「当然だ! 楽しみで仕方がないさ!」
「そ、そうなんだ。そんな辛いものを、全部……」
満面の笑みでローグはミーラに答えた。ミーラもローグに言われてみて味見をしてみたのだが、あまりの辛さにジタバタ悶えてしまったのだ。そのため、こんなものを料理に使おうとするローグの気持ちが分からないのだが……。
(私は馬鹿だからローグの言うことに口を出すことはない。多分、ローグにとっては必要なことなんだ)
ミーラは辛党ではない。そのため、特に何も言えなかった。というよりも、この場合はローグがおかしいのだ。買った調味料を全部使おうとする男のほうが。
この日の夕食はハンバーグ。すでにソースがかけられているのだが、その上からさらにトウガラシなどの調味料をかける。
(懐かしいなあ。よくこんなふうに辛くして更に美味しくしたっけ)
(うわあ、あんなにたっぷり……!)
そして、ローグはトウガラシで赤く染まったハンバーグを口にする。すると……。
「…………っ! うまいっ! 超うまいっ! これだよ! この辛さ! もう最高だ!」
思った通りの、望んだとおりの味を堪能できたローグ。喜びのあまり気付かないうちに目に涙が浮かぶ。
「……ローグ、目に涙が浮かんでるよ? 辛すぎるんじゃ……」
「確かに辛い! だからうまいんだ!」
「そ、そうなんだ……へえー……」
ローグはそのまま食べ進む。見た目だけでも辛いと分かるハンバーグを本当においしそうに食べ進めるローグを見て、ミーラは引きつるのを通り越して顔を青くする。
(……なんであんなに辛そうなのを食べ続けられるの……?)
ミーラがそんな風に思うのも無理はなかった。辛い料理のはずなのに途中で水を飲むことすらないのだ。ミーラには一口食べる勇気すらないのに。
やがて、いつもよりも早く夕食を平らげたローグは初めて水を飲む。その顔は満足そうだった。
「ごちそうさま。やっぱり辛いものはいいよな~。やっと最高の飯が食えたよ」
「そ、そう、よかったね……」
ローグはミーラに激辛料理を食べさせるようなことはしなかった。彼女の様子を見る限り辛いものが苦手だろうし、何より無理矢理進めて溝を作るようなことはもうしないと前世で誓っていたのだ。
しかし、数週間後に帝国の第二皇女に無理矢理トウガラシを舐めさせる時が来るとはローグも思ってもいなかった。
そう思ったローグは、嬉しそうに購入したを確認する、味見して。
(トウガラシ、ショウガ、塩・胡椒、豆板醤。これらが手に入る日が来るなんて!)
この日の夕食は宿の部屋で食べることにした。前世のように周りに騒がれてはたまらないからだ。好物を食べられる至福の時間に邪魔が入るのは前世でこりているのだ。
「ロ、ローグ……それ、全部使うの?」
ミーラが何か引きつった顔で聞いてくるがローグの反応は決まっていた。
「当然だ! 楽しみで仕方がないさ!」
「そ、そうなんだ。そんな辛いものを、全部……」
満面の笑みでローグはミーラに答えた。ミーラもローグに言われてみて味見をしてみたのだが、あまりの辛さにジタバタ悶えてしまったのだ。そのため、こんなものを料理に使おうとするローグの気持ちが分からないのだが……。
(私は馬鹿だからローグの言うことに口を出すことはない。多分、ローグにとっては必要なことなんだ)
ミーラは辛党ではない。そのため、特に何も言えなかった。というよりも、この場合はローグがおかしいのだ。買った調味料を全部使おうとする男のほうが。
この日の夕食はハンバーグ。すでにソースがかけられているのだが、その上からさらにトウガラシなどの調味料をかける。
(懐かしいなあ。よくこんなふうに辛くして更に美味しくしたっけ)
(うわあ、あんなにたっぷり……!)
そして、ローグはトウガラシで赤く染まったハンバーグを口にする。すると……。
「…………っ! うまいっ! 超うまいっ! これだよ! この辛さ! もう最高だ!」
思った通りの、望んだとおりの味を堪能できたローグ。喜びのあまり気付かないうちに目に涙が浮かぶ。
「……ローグ、目に涙が浮かんでるよ? 辛すぎるんじゃ……」
「確かに辛い! だからうまいんだ!」
「そ、そうなんだ……へえー……」
ローグはそのまま食べ進む。見た目だけでも辛いと分かるハンバーグを本当においしそうに食べ進めるローグを見て、ミーラは引きつるのを通り越して顔を青くする。
(……なんであんなに辛そうなのを食べ続けられるの……?)
ミーラがそんな風に思うのも無理はなかった。辛い料理のはずなのに途中で水を飲むことすらないのだ。ミーラには一口食べる勇気すらないのに。
やがて、いつもよりも早く夕食を平らげたローグは初めて水を飲む。その顔は満足そうだった。
「ごちそうさま。やっぱり辛いものはいいよな~。やっと最高の飯が食えたよ」
「そ、そう、よかったね……」
ローグはミーラに激辛料理を食べさせるようなことはしなかった。彼女の様子を見る限り辛いものが苦手だろうし、何より無理矢理進めて溝を作るようなことはもうしないと前世で誓っていたのだ。
しかし、数週間後に帝国の第二皇女に無理矢理トウガラシを舐めさせる時が来るとはローグも思ってもいなかった。
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